【応用】対数の計算
ここでは、対数の性質や底の変換公式を使って、対数に関する計算をしていきます。【標準】対数の計算で見た内容よりも、見た目が少しごつい感じになっています。
対数の計算1
値がわかっている対数は、底が $x$ になっています。しかし、求めたい対数は、底が $ab$ であり、 $x$ ではありません。こういう場合、底を $x$ に揃えたほうが考えやすいです(参考:【基本】底の変換公式)。
底の変換公式より
\begin{eqnarray}
\log_{ab} x
&=&
\frac{\log_{x} x}{\log_x ab} \\[5pt]
&=&
\frac{1}{\log_x ab} \\[5pt]
\end{eqnarray}となります。底と真数を入れ替えると、逆数になるのでしたね。
$\log_x ab$ を求めれば答えにたどりつくことがわかります。この値を直接求めることはできませんが、積の対数は分解できるのでしたね(参考:【基本】対数の性質(積や累乗の対数))。これより、
\begin{eqnarray}
\log_x ab
&=&
\log_x a+\log_x b \\[5pt]
&=&
\dfrac{1}{3}+\dfrac{1}{6} \\[5pt]
&=&
\dfrac{1}{2} \\[5pt]
\end{eqnarray}となります。
ここまでのことをまとめれば、
\begin{eqnarray}
\log_{ab} x
&=&
\frac{1}{\log_x ab} \\[5pt]
&=&
\frac{1}{\frac{1}{2} } \\[5pt]
&=&
2
\end{eqnarray}と求められます。
対数の計算2
底と真数が循環していて規則正しい式ですね。しかし、対数の観点からすれば、底がそろっていない式です。やはり、底をそろえることを考えましょう。
底は何でもいいのですが、 $a$ で揃えてみましょう。2つ目と3つ目を変換して計算すると
\begin{eqnarray}
& &
\log_a b \cdot \log_b c \cdot \log_c a \\[5pt]
&=&
\log_a b \cdot \frac{\log_a c}{\log_a b} \cdot \frac{\log_a a}{\log_a c} \\[5pt]
&=&
1
\end{eqnarray}となります。これが答えです。きれいな答えになりましたね。
この例題に関連して、底の変換公式を変形したものを導いておきましょう。 $\log_b c$ の底を $a$ に変える式を使います。底の変換公式を使えば\[ \log_b c = \frac{\log_a c}{\log_a b} \]となります。両辺に $\log_a b$ を掛ければ、次の関係式が得られます。\[ \log_a b \cdot \log_b c=\log_a c \]この関係式をよく見てみましょう。底の変換公式を変形しただけの式ですが、左辺は、1つ目の真数と2つ目の底が一致しています。また、1つ目の底と2つ目の真数だけが残って、右辺と一致しています。しりとりのようになっていれば、間の文字を消してもいい、このような式が成り立つんですね。
これを使えば、この例題の式は、
\begin{eqnarray}
& &
\log_a b \cdot \log_b c \cdot \log_c a \\[5pt]
&=&
\log_a c \cdot \log_c a \\[5pt]
&=&
\log_a a \\[5pt]
&=&
1
\end{eqnarray}となることがわかります。知っておくと、計算が簡単になります。もちろん、底の変換公式をそのまま使う方法で解いても構いません。
おわりに
ここでは、対数の計算について見てきました。底の変換公式や積・累乗の対数の計算がスムーズにできるようになっておきましょう。