【応用】対数と無理数
ここでは、 $\log_2 3$ が無理数かどうかを見ていきます。
対数と無理数
$a^p=M$ のとき、 $p=\log_a M$ と書くのでした。例えば、 $2^3=8$ なので、 $\log_2 8=3$ となります。このように、結果が有理数になることはあります。
では、 $\log_2 3$ はどうでしょうか。これは有理数か、無理数か、どちらになるでしょうか。「2のなんとか乗」できれいに表せる場合はわかりやすいですが、3の場合は値を具体的に求めることができないので、難しいですね。
$\sqrt{2}$ が無理数であることの証明(参考:【基本】背理法)では、「もし有理数とすると、矛盾が生じる」ということを示して、無理数であることを証明しました。ここでも、まずは、有理数であると仮定して考えてみましょう。
$\log_2 3$ が有理数であるとすると、整数 $p$ と自然数 $q$ を用いて、\[ \log_2 3=\dfrac{p}{q} \]と書くことができます。
ここで、対数の定義から、\[ 2^{\frac{p}{q} }=3 \]が成り立ちます。このことから、 $\dfrac{p}{q}\gt 1$ であることがわかるので、 $p,q$ はともに正であることがわかります。
両辺を $q$ 乗すると\[ 2^p=3^q \]となります。 $p,q$ はともに正の整数なので、左辺は偶数、右辺は奇数となるため、矛盾します。
以上のことから、 $\log_2 3$ は $\dfrac{p}{q}$ の形で書けないので、無理数であることがわかります。
ここでは、 $\log_2 3$ の場合を見ましたが、他の対数でも、無理数であることを示すために似たような手法が使えるケースがあります。
おわりに
ここでは、 $\log_2 3$ が無理数であることを示す方法について見ました。 $\sqrt{2}$ が無理数であることを示すときに背理法を用いましたが、同じように背理法を使って示すことができました。入試などで問われることは少ないですが、「無理数であることの証明」の典型的なパターンですので、知っておいて損はないでしょう。