【応用】2直線の交点を通る直線
ここでは、2直線の交点を通る直線について考えます。
2直線の交点を通る直線
連立方程式を解いて2つの直線の交点を求め、その交点と $(-1,1)$ とをつないだ直線の方程式を求めて解くこともできます。しかし、ここでは、別の解き方をしてみましょう。少し難しいですが、今後重要になってくる解き方です。
別の解き方では、【標準】定点を通る直線で見た内容を逆に使って解いていきます。
唐突ですが、定数 k を使って、次のような式を考えてみましょう。\[ (2x+y-3)+k(x-3y-5)=0 \]これは、2つの直線の式の左辺を、片方を k 倍して足したものです。
これは、 x, y の一次方程式になっています(両方の係数が $0$ になることはありません)。よって、直線の方程式を表しています。
さらに、この式から、元の2つの直線の交点を通ることがわかります。交点の座標を入れれば、両方のカッコの中が $0$ になるからです。
以上から、\[ (2x+y-3)+k(x-3y-5)=0 \]は、2つの直線の交点を通る直線の方程式を表しています(後で見ますが、すべてを表しているわけではないです)。なので、このように表すことのできる直線の方程式のうち、 $(-1,1)$ を通るものが得られれば、それが答えになるはずです。 $(-1,1)$ は交点ではないので、この点と交点の2点を指定すれば、この2点を通る直線は1本に決まりますからね。
さて、 $(-1,1)$ を通るとすると
\begin{eqnarray}
(-2+1-3)+k(-1-3-5) &=& 0 \\[5pt]
-9k &=& 4 \\[5pt]
k &=& -\frac{4}{9} \\[5pt]
\end{eqnarray}が得られます。よって、これを代入して
\begin{eqnarray}
(2x+y-3)-\frac{4}{9}(x-3y-5) &=& 0 \\[5pt]
9(2x+y-3)-4(x-3y-5) &=& 0 \\[5pt]
18x+9y-27-4x+12y+20 &=& 0 \\[5pt]
14x+21y-7 &=& 0 \\[5pt]
2x+3y-1 &=& 0 \\[5pt]
\end{eqnarray}が求める方程式となります。
交点を求めずに、交点を通る直線の方程式が求められる、という点がいいんですね。直線の場合はあまり計算量が減りませんが、今後、円を使った場合などではグッと計算量が減ります。
2直線の交点を通る直線の方程式
上で考えたことを一般的な状況で書いてみます。2直線の交点を通る直線のうち、どのような直線が表現できているのかを見てみましょう。特に、すべての直線が表現できるわけではないことを確認しましょう。
2つの直線 $l: ax+by+c=0$ と $l': a'x+b'y+c'=0$ があり、これらは平行ではないとします。これらの交点を $(p,q)$ とすると、代入したときに等式が成り立つことから\[ (ax+by+c)+k(a'x+b'y+c')=0 \]は、交点 $(p,q)$ を通る直線の方程式を表します。
もし、これが別の点 $(p',q')$ も通るとしましょう。そのとき、\[ (ap'+bq'+c)+k(a'p'+b'q'+c')=0 \]が成り立ちます。ここで、 $a'p'+b'q'+c'\ne0$ とすると、\[ k=-\frac{ap'+bq'+c}{a'p'+b'q'+c'} \]が得られるので、この k の値を代入すれば、2点を通る直線の方程式が得られます。
しかし、 $a'p'+b'q'+c'=0$ の場合は、上の式は\[ ax+by+c=0 \]となってしまいます。 $a'p'+b'q'+c'=0$ となるのは、 $(p',q')$ が直線 $l'$ 上にあるときですが、この場合、交点と $(p',q')$ とを通る直線は $l'$ そのものですね。なので、この場合は、上の式は使えません。
これらから何がわかるかというと、\[ (ax+by+c)+k(a'x+b'y+c')=0 \]は、2直線の交点を通る直線のうち、直線 $l'$ 以外のすべての直線の方程式を表している、ということです。直線 $l'$ だけ表すことができません。この点に注意しましょう。
k が掛けられている方は表せない、ということに注意です。答案に書くときも、「交点を通る直線は、 $(ax+by+c)+k(a'x+b'y+c')=0$ と表すことができる」と書かないようにしましょう。 $l'$ が求めるものでないことを確かめておくか、すべてを表しているととられないように「 $(ax+by+c)+k(a'x+b'y+c')=0$ は2直線の交点を通る直線」とだけ書くようにしましょう。
おわりに
ここでは、2直線の交点を通る直線の方程式について見てきました。 k 倍して足すことで、交点を求めなくても交点を通ることがわかる、という点をおさえておきましょう。