【応用】指数と対数の混じった計算
ここでは、指数と対数が混じった計算を見ていきます。
対数乗
対数の定義を振り返っておくと、 $a^p=M$ が成り立つときに、 $p=\log_a M$ と書くのでしたね。なので、1つ目の式を2つ目に代入した\[ a^{\log_a M}=M \]が成り立ちます。もともと、対数は「 $a$ を何乗すれば $M$ になるか」の答えなので、対数乗をすればもとの $M$ に戻る、ということです。【基本】対数の基本性質でも取り上げています。
これを踏まえ、次のような問題を考えてみましょう。
いろいろ求め方はありますが、まずは、 $a^{\log_a M}=M$ を使う方法を見てみましょう。
$4$ と $2$ 、2つの底があります。これをどちらかに合わせましょう。小さい方に合わせると、考えやすくなります。
\begin{eqnarray}
4^{\log_2 5}
&=&
(2^2)^{\log_2 5} \\[5pt]
&=&
(2^{\log_2 5})^2 \\[5pt]
\end{eqnarray}が成り立ちます。 $(a^p)^q=a^{pq}=(a^q)^p$ が成り立つからですね。ここで、カッコ内は先ほども見た内容から、 $5$ になることがわかります。よって、\[ 4^{\log_2 5}=5^2=25 \]となることがわかります。
一般に、 $a^{\log_b c}$ は、次のように変形することができます。
\begin{eqnarray}
a^{\log_b c}
&=&
(b^{\log_b a})^{\log_b c} \\[5pt]
&=&
(b^{\log_b c})^{\log_b a} \\[5pt]
&=&
c^{\log_b a} \\[5pt]
\end{eqnarray}これより、次の関係式が成り立ちます。\[ a^{\log_b c}=c^{\log_b a} \]$a,c$ が入れ替わっても値が変わらないんですね。この関係式は特に覚えておく必要はないですが、もし知っていれば、\[ 4^{\log_2 5}=5^{\log_2 4}=5^2=25 \]と求めることもできます。
また、対数をとって考える、という方法もあります。指数の部分の文字が小さくなるので、対数を考えると少し見やすくなります。今、 $4^{\log_2 5}=M$ とおいて、両辺の $2$ を底とする対数をとってみましょう。右辺は $\log_2 M$ ですね。左辺は
\begin{eqnarray}
\log_2 4^{\log_2 5}
&=&
(\log_2 5)(\log_2 4) \\[5pt]
&=&
2\log_2 5 \\[5pt]
&=&
\log_2 25 \\[5pt]
\end{eqnarray}となります。よって、 $\log_2 M=\log_2 25$ だから、求めたかった $M$ は $25$ だとわかります。
3つの解き方を紹介しましたが、1つ目と3つ目はできるようになりましょう。
べき乗が等しい、という条件を使う問題
条件式を変形しようとして、掛けたり割ったりしても、きれいな式が出てきません。
このような条件式は、べき乗の形になっているので考えにくいのですが、対数を使えば考えやすい形に変えることができます。
底は何でもいいですが、 $\sqrt{6}$ があるので、底を $6$ としてみましょう。条件式の各辺に対して、底を $6$ とする対数を考えると\[ x\log_6 2=y\log_6 3=\dfrac{1}{2} \] となることがわかります。これをさらに変形すれば
\begin{eqnarray}
\frac{1}{x} &=& 2\log_6 2 \\[5pt]
\frac{1}{y} &=& 2\log_6 3 \\[5pt]
\end{eqnarray}となるので、
\begin{eqnarray}
\frac{1}{x}+\frac{1}{y} &=& 2(\log_6 2+\log_6 3)=2
\end{eqnarray}となることがわかります。
このように、「べき乗が等しい」という条件があった場合に、対数を考える、という式変形が有効な場合があります。結果には残らないのに、途中で $\log_6 2$ などを使って式変形ができる、というのは少し不思議ですね。
おわりに
ここでは、指数と対数の混じった問題を見てきました。対数の定義が使えるように変形をしたり、条件式の各辺の対数を考える方法を見てきました。難しい問題だと、こうした変形を使うことが増えてくるので、できるようになっておきましょう。