高校数学指導要領(2012年度以降適用分)
🕒 2016/04/18
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このページでは、2012年度より適用の「高等学校学習指導要領」の数学の項目について説明します(2009年3月告示)。2015年度の大学入試からは、このページで説明する指導要領が採用されています。
なお、このページはPCで閲覧することをオススメします。
📘 目次
概要
詳細に入る前に、各科目と分野の概要をまとめておきます。
【数学I・数学A】
科目 | 分野 | 備考 |
---|---|---|
数I | 数と式 | 実数、集合、命題、展開、因数分解、一次不等式など。三次の乗法公式と因数分解は除く |
図形と計量 | 三角比。角度は0度から180度まで。正弦定理や余弦定理など | |
二次関数 | 二次方程式や二次不等式を含む | |
データの分析 | 四分位偏差、分散、標準偏差、散布図、相関係数など | |
数A | 場合の数と確率 | 順列、組合せ、独立な試行、条件付確率など |
整数の性質 | ユークリッドの互除法、二元一次不定方程式、n進法など | |
図形の性質 | 三角形の性質、円の性質など |
【数学II・数学B】
科目 | 分野 | 備考 |
---|---|---|
数II | いろいろな式 | 三次の乗法公式と因数分解、分数式、複素数と二次方程式、因数定理など |
図形と方程式 | 直線や円の方程式、軌跡と領域など | |
指数関数・対数関数 | 指数、累乗根、対数、logなど | |
三角関数 | 一般角、加法定理など | |
微分・積分の考え | 導関数(三次までの関数)、増減表、定積分(二次までの関数)など | |
数B | 確率分布と統計的な推測 | 二項分布、正規分布、母集団と標本など |
数列 | 等差数列、等比数列、数列の和、漸化式、数学的帰納法など | |
ベクトル | ベクトルの演算、内積など |
【数学III】(数Cはありません)
科目 | 分野 | 備考 |
---|---|---|
数III | 平面上の曲線と複素数平面 | 二次曲線、媒介変数表示、極形式、複素数平面、ド・モアブルの定理など |
極限 | 数列の極限、無限級数の和。分数関数、無理関数、合成関数、逆関数、関数の極限、連続など | |
微分法 | 合成関数の微分、三角関数・指数関数・対数関数の微分、自然対数、変曲点など | |
積分法 | 置換積分、部分積分、図形の面積、立体の体積、曲線の長さなど |
科目ごとの詳細
数学の科目は、「数学I」「数学II」「数学III」「数学A」「数学B」「数学活用」に分けられます。一般的に、大学入試の範囲に「数学活用」は含まれないので、以下ではそれ以外の5科目について、内容の詳細を記載していきます。また、指導要領は、「I、II、III、A、B」という順番で記載されていますが、ここでは「I、A、II、B、III」という順番で紹介していきます。
一般の大学入試では、文系は数学IA・数学IIBを、理系はこれらに数学IIIを加えたものが出題範囲となります。なお、「数学B」は、「数列」「ベクトル」だけを出題範囲とするケースが多いです。
数学I
数学Iには、「数と式」「図形と計量」「二次関数」「データの分析」が含まれます。
分野 | 内容 | 詳細 |
---|---|---|
数と式 | 数と集合 | 実数(無理数の四則演算を含む) 集合(命題を含む) |
式 | 式の展開と因数分解(二次式を扱う) 一次不等式 | |
図形と計量 | 三角比 | 鋭角の三角比(相互関係を含む) 鈍角の三角比 正弦定理・余弦定理 |
図形の計量 | ||
二次関数 | 二次関数とそのグラフ | |
二次関数の値の変化 | 二次関数の最大・最小 二次方程式・二次不等式 | |
データの分析 | データの散らばり | 四分位偏差、分散、標準偏差など |
データの相関 | 散布図、相関係数など |
数学A
数学Aには、「場合の数と確率」「整数の性質」「図形の性質」が含まれます。
分野 | 内容 | 詳細 |
---|---|---|
場合の数と確率 | 場合の数 | 数え上げの原則 順列・組合せ |
確率 | 確率とその基本的な法則 独立な試行と確率 条件付き確率 | |
整数の性質 | 約数と倍数 | 素因数分解を含む |
ユークリッドの互除法 | 二元一次不定方程式を含む | |
整数の性質の活用 | 二進法、有限小数、循環小数を含む | |
図形の性質 | 平面図形 | 三角形の性質 円の性質 作図 |
空間図形 | 多面体を含む |
数学II
数学IIには、「いろいろな式」「図形と方程式」「指数関数・対数関数」「三角関数」「微分・積分の考え」が含まれます。
分野 | 内容 | 詳細 |
---|---|---|
いろいろな式 | 式と証明 | 整式の乗法・除法、分数式の計算 (三次の乗法公式・因数分解を扱う。二項定理も含む) 等式と不等式の証明 |
高次方程式 | 複素数と二次方程式(二次方程式の解の判別、解と係数の関係を含む) 因数定理と高次方程式 | |
図形と方程式 | 直線と円 | 点と直線(内分点・外分点など) 円の方程式 |
軌跡と領域 | ||
指数関数・対数関数 | 指数関数 | 指数の拡張(累乗根を含む) 指数関数とそのグラフ |
対数関数 | 対数(常用対数を含む) 対数関数とそのグラフ | |
三角関数 | 角の拡張 | 弧度法を含む |
三角関数 | 三角関数とそのグラフ 三角関数の基本的な性質 | |
三角関数の加法定理 | 2倍角の公式、三角関数の合成を含む | |
微分・積分の考え | 微分の考え | 微分係数と導関数(三次までの関数を扱う。接線を含む) 導関数の応用(極大・極小、グラフの概形を含む) |
積分の考え | 不定積分と定積分(二次までの関数を扱う) 面積 |
数学B
数学Bには、「確率分布と統計的な推測」「数列」「ベクトル」が含まれます。
分野 | 内容 | 詳細 |
---|---|---|
確率分布と統計的な推測 | 確率分布 | 確率変数と確率分布 (確率変数の平均・分散・標準偏差を扱う) 二項分布 |
正規分布 | ||
統計的な推測 | 母集団と標本 統計的な推測の考え | |
数列 | 数列とその和 | 等差数列と等比数列(一般項、和を扱う) いろいろな数列 |
漸化式と数学的帰納法 | 漸化式と数列 数学的帰納法 | |
ベクトル | 平面上のベクトル | ベクトルとその演算 ベクトルの内積 |
空間座標とベクトル |
数学III
数学IIIには、「平面上の曲線と複素数平面」「極限」「微分法」「積分法」が含まれます。
分野 | 内容 | 詳細 |
---|---|---|
平面上の曲線と複素数平面 | 平面上の曲線 | 直交座標による表示(放物線・楕円・双曲線も扱う。焦点、準線も含む) 媒介変数による表示 極座標による表示 |
複素数平面 | 複素数の図表示(極形式、複素数の四則演算の図形的意味を含む) ド・モアブルの定理 | |
極限 | 数列とその極限 | 数列の極限 無限等比級数の和 |
関数とその極限 | 分数関数と無理関数(グラフも含む) 合成関数と逆関数 関数値の極限 | |
微分法 | 導関数 | 関数の和・差・積・商の導関数 合成関数の導関数 三角関数・指数関数・対数関数の導関数 (自然対数、第二次導関数、変曲点を含む) |
導関数の応用 | 点の運動の速度・加速度も扱う | |
積分法 | 不定積分と定積分 | 積分とその基本的な性質 置換積分法・部分積分法 いろいろな関数の積分 |
積分の応用 | 面積・体積・曲線の長さを含む |
前過程からの主な変更点
ここでは、前過程からの主な変更点を各科目ごとにまとめていきます。
【数学I】
- 前過程の数学Bの「統計とコンピュータ」が、数学Iの「データの分析」に移動してきました(必修化)。
- 前過程の数学Aの「集合と論理」が、数学Iの「数と式」に移動してきました。
- 「三次の乗法公式と因数分解」は、数学IIの「いろいろな式」に移動しました。
【数学A】
- 「整数の性質」が新設されました。
- 「場合の数と確率」に、「条件付確率」が加わりました。
- 「二項定理」は、数学IIの「いろいろな式」に移動しました。
- 「図形の性質」に、「作図」と「空間図形」が加わりました。
【数学II】
- 前過程の数学Iの「三次の乗法公式と因数分解」が、「いろいろな式」に移動してきました。
- 前過程の数学Aの「二項定理」が、「いろいろな式」に移動してきました。
【数学B】
- 「統計とコンピュータ」が、数学Iの「データの分析」へ移動しました。
- 「数値計算とコンピュータ」が、廃止されました。
- 前過程の数学Cの「確率分布」「統計処理」が、「確率分布と統計的な推測」に移動してきました。
【数学III】
- 前過程の数学Cの「式と曲線」(二次曲線、媒介変数表示、極座標)が、「平面上の曲線と複素数平面」に移動してきました。
- 「複素数平面」が新設されました(復活)。
【数学C】
- 「式と曲線」が、数学IIIの「平面上の曲線と複素数平面」に移動しました。
- 「確率分布」「統計処理」が、数学Bの「確率分布と統計的な推測」に移動しました。
- 「行列とその応用」が廃止されました。
- 「数学C」そのものが廃止されました。