高校数学指導要領(1994年度以降適用分)
🕒 2016/04/18
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このページでは、1994年度より適用の「高等学校学習指導要領」の数学の項目について説明します(1989年3月告示)。この指導要領に沿った大学入試は、1997年度から2005年度まで行われていました。
なお、このページはPCで閲覧することをオススメします。
📘 目次
概要
詳細に入る前に、各科目と分野の概要をまとめておきます。
【数学I・数学A】
科目 | 分野 | 備考 |
---|---|---|
数I | 二次関数 | 二次方程式や二次不等式を含む |
図形と計量 | 三角比。角度は0度から180度まで。正弦定理や余弦定理など | |
個数の処理 | 順列、組合せなど。集合の基本事項を含む | |
確率 | 独立な試行、期待値など。事象の独立は含まず | |
数A | 数と式 | 整数、実数、整式、等式と不等式など |
平面幾何 | 平面図形、平面上の変換など | |
数列 | 漸化式、数学的帰納法、二項定理など | |
計算とコンピュータ | 流れ図など |
【数学II・数学B】
科目 | 分野 | 備考 |
---|---|---|
数II | いろいろな関数 | 指数関数、対数関数、三角関数、加法定理など |
図形と方程式 | 直線や円の方程式など。軌跡と領域を含む | |
関数の値の変化 | 極限、微分や積分(三次程度の関数)など | |
数B | ベクトル | 平面ベクトル、内積、空間ベクトルなど |
複素数と複素数平面 | 複素数の演算、高次方程式、因数定理、極形式、ド・モアブルの定理など | |
確率分布 | 条件付確率、標準偏差、二項分布など | |
算法とコンピュータ | ユークリッドの互除法など |
【数学III・数学C】
科目 | 分野 | 備考 |
---|---|---|
数III | 関数と極限 | 分数関数、無理関数、合成関数、逆関数。数列の極限、無限級数の和、関数の極限など |
微分法 | 合成関数の微分、三角関数・指数関数・対数関数の微分、自然対数、変曲点など | |
積分法 | 置換積分、部分積分、面積、体積、道のりなど | |
数C | 行列と線形計算 | 行列(3x3まで)、逆行列(2x2)、連立一次方程式など |
いろいろな曲線 | 楕円や双曲線、媒介変数表示、極座標と極方程式など | |
数値計算 | 近似解、数値積分法(区分求積法)など | |
統計処理 | 代表値、相関。母集団と標本、正規分布、推定など |
科目ごとの詳細
数学の科目は、「数学I」「数学II」「数学III」「数学A」「数学B」「数学C」に分けられます。指導要領は、「I、II、III、A、B、C」という順番で記載されていますが、ここでは「I、A、II、B、III、C」という順番で紹介していきます。
一般の大学入試では、文系は数学IA・数学IIBを、理系はこれらに数学IIICを加えたものが出題範囲となります。なお、数学Aは「数と式」と「数列」、数学Bは「ベクトル」「複素数と複素数平面」、数学Cは「行列と線形計算」「いろいろな曲線」のみを出題範囲とするケースが多いです。
数学I
数学Iには、「二次関数」「図形と計量」「個数の処理」「確率」が含まれます。
分野 | 内容 | 詳細 |
---|---|---|
二次関数 | ニ次関数とグラフ | 関数とグラフ 二次関数とそのグラフ |
ニ次関数の値の変化 | 二次関数の最大・最小 二次方程式(実数解を持つもののみ)と二次不等式 | |
図形と計量 | 三角比 | 正弦、余弦、正接(0度から180度まで) 三角比の相互関係 |
三角比と図形 | 正弦定理、余技定理 図形の計量(平面図形や空間図形の計量。ヘロンの公式は除く) | |
個数の処理 | 数えあげの原則 | 集合の基本事項や集合の要素の個数も含む |
自然数の列 | ||
場合の数 | 順列(階乗を含む) 組合せ | |
確率 | 確率とその基本的な法則 | 余事象、排反を含む |
独立な試行と確率 | 事象の独立・従属は除く | |
期待値 |
数学A
数学Aには、「数と式」「平面幾何」「数列」「計算とコンピュータ」が含まれます。
分野 | 内容 | 詳細 |
---|---|---|
数と式 | 数 | 整数、有理数、実数 |
式 | 整式 等式と不等式 (必要条件、十分条件、対偶、背理法などを含む) | |
平面幾何 | 平面図形の性質 | 平面図形に関する基本的な定理 条件によって定まる図形 |
平面上の変換 | 合同変換 相似変換 | |
数列 | 数列とその和 | 等差数列、等比数列の和、二乗和を含む |
漸化式と数学的帰納法 | 漸化式は二項間の関係式を取り扱う | |
二項定理 | ||
計算とコンピュータ | コンピュータの操作 | |
流れ図とプログラム | ||
コンピュータによる計算 |
数学II
数学IIには、「いろいろな関数」「図形と方程式」「関数の値の変化」が含まれます。
分野 | 内容 | 詳細 |
---|---|---|
いろいろな関数 | 指数関数 | 指数の拡張 指数関数 対数関数 |
三角関数 | 角の拡張 三角関数とその基本的な性質 三角関数の加法定理 (2倍角の公式、単振動の合成を含む) | |
図形と方程式 | 点と直線 | 点の座標 直線の方程式 (軌跡、不等式の表す領域を含む) |
円 | 円の方程式 円と直線 | |
関数の値の変化 | 微分係数と導関数 | 極限値を含む。三次の関数を扱う |
導関数の応用 | ||
積分の考え | (不定積分・定積分を含む) |
数学B
数学Bには、「ベクトル」「複素数と複素数平面」「確率分布」「算法とコンピュータ」が含まれます。
分野 | 内容 | 詳細 |
---|---|---|
ベクトル | 平面上のベクトル | ベクトルとその演算 ベクトルの内積 |
空間におけるベクトル | 空間座標 空間におけるベクトル | |
複素数と複素数平面 | 複素数と方程式の解 | 複素数とその演算(偏角、極形式を含む) 二次方程式の解(判別式を含む) 簡単な高次方程式(因数定理を含む) |
複素数平面 | 複素数の図表示 ド・モアブルの定理 | |
確率分布 | 確率の計算 | 条件つき確率を含む |
確率分布 | 確率変数と確率分布(平均、標準偏差を含む) 二項分布 | |
算法とコンピュータ | コンピュータの機能 | |
いろいろな算法のプログラム | ユークリッドの互除法、繰り返しによる平方根の計算などを扱う |
数学III
数学IIIには、「関数と極限」「微分法」「積分法」が含まれます。
分野 | 内容 | 詳細 |
---|---|---|
関数と極限 | 関数の概念 | 分数関数、無理関数 合成関数、逆関数 |
極限 | 等比数列の極限 無限等比級数の和 関数値の極限 | |
微分法 | 導関数 | 関数の和・差・積・商の導関数 合成関数の導関数 三角関数・指数関数・対数関数の導関数 |
導関数の応用 | 接線、関数値の増減、速度、加速度 (弧度法、自然対数、第二次導関数、変曲点を含む) | |
積分法 | 不定積分と定積分 | 積分の意味 簡単な置換積分法・部分積分法 いろいろな関数の積分 |
積分の応用 | 面積、体積、道のり |
数学C
数学Cには、「行列と線形計算」「いろいろな曲線」「数値計算」「統計処理」が含まれます。
分野 | 内容 | 詳細 |
---|---|---|
行列と線形計算 | 行列 | 行列とその演算(3×3行列までの和、差、実数倍) 行列の積と逆行列(逆行列は2×2行列を扱う) |
連立一次方程式 | 行列による表現 消去法による解法 | |
いろいろな曲線 | 式と図形 | 方程式の表す曲線 楕円と双曲線 (焦点、準線を含む) |
媒介変数表示と極座標 | 曲線の媒介変数表示 極座標と極方程式 いろいろな曲線 | |
数値計算 | 方程式の近似解 | ニュートン法・二分法を扱う |
数値積分法 | 区分求積法 面積の近似計算 | |
統計処理 | 統計資料の整理 | 代表値と散布度 相関(分散、標準偏差、相関係数を含む) |
統計的な推測 | 母集団と標本 正規分布 統計的推測の考え(推定を含む) |