【基本】円のベクトル方程式
ここでは、円のベクトル方程式について見ていきます。
円のベクトル方程式
直線のベクトル方程式は、【基本】直線のベクトル方程式や【基本】2点を通る直線のベクトル方程式で見ました。円に対しても、同じようにベクトルで考えてみましょう。
円というのは、中心からの距離が一定の点が集まったものですね。中心を C とし、この位置ベクトルを $\vec{c}$ とします。また、半径を $r$ としましょう。
このとき、円周上の点を P で表し、この位置ベクトルを $\vec{p}$ とします。これらの間で成り立つ関係を式で表してみましょう。
といっても、 CP 間の距離が $r$ だ、ということを表すだけなので、次のように書けることがわかりますね。\[ |\vec{p}-\vec{c}|=r \]円のベクトル方程式はこれです。直線のベクトル方程式とは違い、媒介変数は使いません。意味を考えれば、簡単に表すことができますね。
例えば、\[ |\vec{p}-\vec{c}|=1 \]は、 C を中心とする半径 $1$ の円のベクトル方程式です。\[ |\vec{p}-2\vec{c}|=1 \]は、 OC を $2:1$ に外部する点を中心とする半径 $1$ の円のベクトル方程式です。
それでは、\[ |2\vec{p}+\vec{c}|=1 \]ならどうなるでしょうか。 P がどの点からどれだけ離れているかを考えないといけないため、 $\vec{p}$ の係数が $1$ になるように変形する必要があります。
\begin{eqnarray}
\left| \vec{p}- \left(-\frac{1}{2}\vec{c}\right) \right|=\frac{1}{2}
\end{eqnarray}となります。なので、中心となる点は、位置ベクトルが $-\dfrac{1}{2}\vec{c}$ となる点です。よって、 OC を $1:3$ に外分する点を中心とする、半径 $\dfrac{1}{2}$ の円のベクトル方程式である、ということがわかります。
P の係数が $1$ になるようにしてから、中心と半径を考える、というところがポイントです。
円のベクトル方程式と成分
【基本】直線のベクトル方程式と成分では、直線のベクトル方程式を成分で書き、その結果、直線の方程式が得られることを見ました。円の場合も同様に見ていきましょう。
$\mathrm{ P }(x,y)$, $\mathrm{ C }(a,b)$ としましょう。すると、
\begin{eqnarray}
|\vec{p}-\vec{c}| &=& r \\[5pt]
|\vec{p}-\vec{c}|^2 &=& r^2 \\[5pt]
|(x-a,y-b)|^2 &=& r^2 \\[5pt]
(x-a)^2+(y-b)^2 &=& r^2 \\[5pt]
\end{eqnarray}となります。これは、円の方程式ですね(参考:【基本】円の方程式)。やはり、この場合も、ベクトル方程式から円の方程式が得られました。
これは、問題によっては、円が絡んだ図形の問題を、座標を使って解くこともできるし、ベクトルを使って解くこともできる、ということを示唆しています。どちらで解けば簡単になるか、というのは問題によって違うので、どちらも理解できるようにしておきましょう。
おわりに
ここでは、円のベクトル方程式について見てきました。円の性質を考えれば、ベクトル方程式の形は理解しやすいと思います。ベクトル方程式が与えられたときに、それがどのような円を表すかは、少し変形が必要なことがあるので注意しましょう。