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【基本】樹形図と積の法則

ここでは、場合の数における、積の法則を見ていきます。過去に見てきた内容・考え方が繰り返し出てきますが、重要ですので見ていきましょう。【基本】まとめて数えるの内容も参考になります。

📘 目次

東京駅から新宿駅経由で渋谷駅に行く方法

東京駅を出発して、新宿駅に行った後、渋谷駅に行く方法が何通りあるかを考えてみましょう。東京駅から新宿駅までは、JRか東京メトロ丸ノ内線のどちらかで移動するとします。また、新宿駅からは、

  • JRで移動する
  • 新宿三丁目駅まで移動して東京メトロ副都心線で移動する
  • バスで移動する
の3つのパターンがあるとします。全部で何通りあるでしょうか。

とりあえず、まず樹形図をかいてみましょう。東京から新宿まで、新宿から渋谷までの経路をかくと、次のようになります。ちょっと横着をした書き方になっています。

     ┏JR
 ┏JR ┣副都心線
 ┃   ┗バス
 ┃
 ┃   ┏JR
 ┗丸ノ内┣副都心線
     ┗バス

数えるとわかりますが、6通りですね。

ただ、予想できる人もいるかもしれませんが、いちいち書き出さなくても計算で求められます。東京駅から新宿駅までは

 ┏JR
 ┗丸ノ内

という2つの選択肢があり、それぞれの選択肢に

 ┏JR
 ┣副都心線
 ┗バス

という3つの選択肢があります。樹形図で見てもわかる通り、同じかたまりがありますよね。なので、\[ 2\times 3 =6 \]通り、と出すことができます。

樹形図に出てくる同じかたまりをまとめて数えればいいので、掛け算を使って求めることができます。

積の法則

上の例の解き方の背景には、積の法則(rule of product)があります。一般的な書き方だと少し難しそうですが、上の例題と同じ内容を指しています。

積の法則
A が起こる場合が a 通りあり、それぞれに対して B が起こる場合が b 通りあるとする。このとき、 A かつ B が起こる場合は、 $ab$ 通りある。

上の例題では、「東京から新宿に行く方法が2通り、そのそれぞれに対して、新宿から渋谷までの行き方が3通りあるので、東京から新宿に行って渋谷に行く方法は $2\times 3= 6$ 通り」ということです。

なお、上では AB となっていますが、3つ以上になっても同じことです。樹形図で考えれば、同じように掛け算で求められることがわかるでしょう。

項の数は全部でいくつか

最後に、次のような例題を考えてみましょう

例題
次の項の数は、全部でいくつあるか。
$(a+b+c+d)(x+y+z)$

もちろん、展開すれば終わりです。実際、少しだけ展開してみると、次のようになります。
\begin{eqnarray} & & a(x+y+z) \\ &+& b(x+y+z) \\ &+& c(x+y+z) \\ &+& d(x+y+z) \\ \end{eqnarray}もう一度展開すれば答えが出ます。しかし、この式をじっと見ると、式が4行に分かれていることが「樹形図の左側」に対応するように見えてきませんか?

上の式を次のように考えてみましょう。「展開するときに、左のカッコ内から文字を選ぶ方法が4通り、そのそれぞれに対して、右のカッコ内から文字を選ぶ方法が3通り」と。こう考えると、 $4\times 3=12$ 個だと求められます。上の式からでも、「4行あって、各行から3つの項ができる」と考えれば同じ式が導けますね。

同様に考えれば\[ (a+b)(m+n)(x+y+z) \]を展開すると、項の数は\[2\times 2\times 3=12\]個と求められます。気になる人は、実際に展開して確かめてみましょう。

ちなみに、この問題は、出てくる文字がすべて違っていたので、単純に掛け算で項の数を求めることができます。しかし、もし同じ文字が含まれていれば、展開した後の項をまとめることができるようになり、同じようには求められないことがあります。例えば、\[ (x+y)(x+y) \]の項の数は、 $2\times 2=4$ ではありません。 $x^2+2xy+y^2$ なので、3つです。 使いどころには注意しましょう。

おわりに

ここでは、積の法則を使って、いくつかの例題を見てきました。樹形図でかくと、同じかたまりをまとめて計算していることに対応しているんでしたね。この考え方も頻繁に使うので、よく理解しておきましょう。

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