【基本】直線と領域
ここでは、領域について、そして、一次不等式によって表される領域について見ていきます。【導入】領域を事前に見ておくと、より理解しやすくなると思います。
一次不等式と領域
$y=x+1$ というのは、直線の方程式でしたね。これを満たす点 $(x,y)$ を集めて座標平面上にかくと、直線になるのでした。
ここで、等号を不等号に変えた\[ y\gt x+1 \]について考えてみましょう。これを満たす $(x,y)$ を集めると、どんな図形になるでしょうか。
例えば、 $x=0$ の場合を考えてみましょう。これを先ほどの不等式に代入すれば\[ y\gt 1 \]となります。つまり、 y 軸上で考えれば、 $(0,1)$ より上にある点なら、この不等式を満たすことがわかります。
同じように考えると、 $x=k$ のときは、\[ y\gt k+1 \]となるので、 $(k,k+1)$ より上の部分の点は、この不等式を満たすことがわかります。そして、 $(k,k+1)$ というのは、直線 $y=x+1$ 上の点です。ということは、この直線 $y=x+1$ より上の点は、\[ y \gt x+1 \]を満たすことがわかります。
すべての x について同じように考えれば、この不等式を満たす点は、次の図のようになることがわかります。
この図の色のついた部分が、不等式 $y\gt x+1$ を満たす点です。なお、境界線上の点は含みません。「 $(k,k+1)$ より上の部分の点」ですからね。
逆に、不等式 $y\lt x+1$ を満たす $(x,y)$ 全体の集合は、次の色のついた部分(境界線上の点は除く)となります。
このように、 x, y に関する不等式を満たす座標平面上の点 $(x,y)$ 全体の集合を、この不等式の表す領域(region) といいます。
上で見たことから、次のことがわかります。
不等式 $y \lt ax+b$ の表す領域は、直線 $y=ax+b$ の下側の部分。
一次不等式が表す領域の例
$x-2y-1\geqq 0$ が表す領域を考えてみましょう。これは、傾きと切片がわかるように変形したほうがわかりやすいでしょう。
\begin{eqnarray}
-2y & \geqq & -x+1 \\[5pt]
y & \leqq & \frac{1}{2}x-\frac{1}{2} \\[5pt]
\end{eqnarray}となります。これより、領域は次のようになります。
上の、色のついた部分(境界線上の点を含む)となります。イコールがついているので、境界線上の点を含むことに注意しましょう。
最後に、少しトリッキーですが、 $x \geqq -1$ の表す領域を考えてみましょう。ここまでの内容を踏まえ、まず境界線が $x=-1$ となることに気づくのがポイントです。そして、 x 座標が $-1$ 以上の部分が対象なので、右側ですね。
上の、色のついた部分(境界線上の点を含む)となります。
領域を図示せよ、といわれたら
このサイトでは、領域を色で塗って表しますが、「領域を図示せよ」と言われた場合、普通は次のように斜線で表します。
また、境界線上の点が領域に含まれるのか含まれないのか、図ではよくわからないので、言葉で説明します。今までの例で見たように、「境界線上の点を含む・除く」などと書きます。
おわりに
ここでは、一次不等式が表す領域を見ました。境界線が直線となり、不等号の向きによって、直線の上側か下側かが決まります。また、右側・左側が領域となる例も見ました。境界線から考えていくとわかりやすいですね。