【基本】空間における位置ベクトル
ここでは、空間の場合に位置ベクトルを考えていきます。
空間における位置ベクトル
【基本】位置ベクトルデモ見たように、位置ベクトルとは基準を1つ固定して考えるベクトルです。これは空間の場合でも同じです。
空間で、点 $\mathrm{O}$ を基準として固定します。このとき、空間内の点 $\mathrm{P}$ に対し、 $\overrightarrow{\mathrm{OP}}$ を「点 $\mathrm{O}$ に関する点 $\mathrm{P}$ の位置ベクトル(position vector)」といいます。普通は基準を $\mathrm{O}$ にするため、基準が明らかなときは、単純に、点 $\mathrm{P}$ の位置ベクトルといいます。
点とベクトルとを対応させたものが位置ベクトル、と考えることができます。
位置ベクトルは小文字を使って、 $\vec{p}$ と表すことが多いです。点 $\mathrm{P}$ の位置ベクトルが $\vec{p}$ であることを、 $\mathrm{P}(\vec{p})$ とも表します。
一般のベクトルと位置ベクトル
$\mathrm{A}(\vec{a})$, $\mathrm{B}(\vec{b})$ とします。このとき、 $\mathrm{O}$ を基準としない、 $\overrightarrow{\mathrm{AB}}$ のようなベクトルは、位置ベクトルを使って
\begin{eqnarray}
\overrightarrow{\mathrm{AB}}
&=&
\overrightarrow{\mathrm{OB}} -\overrightarrow{\mathrm{OA}} \\[5pt]
&=&
\vec{b} -\vec{a}
\end{eqnarray}と表すことができます。つまり、どんなベクトルも、位置ベクトルを使って表すことができます。
内分点・外分点の位置ベクトル
【基本】座標空間における点で見たように、 $\mathrm{A}(x_1,y_1,z_1)$, $\mathrm{B}(x_2,y_2,z_2)$ のとき、線分 $\mathrm{AB}$ を $m:n$ に内分する点の座標は\[ \left(\dfrac{nx_1+mx_2}{m+n}, \dfrac{ny_1+my_2}{m+n}, \dfrac{nz_1+mz_2}{m+n}\right) \]となります。
また、 $\mathrm{A, B}$ の位置ベクトルを $\vec{a},\vec{b}$ とすれば、成分を考えると、内分点の位置ベクトルは\[ \frac{n\vec{a}+m\vec{b} }{m+n} \]となります。【基本】内分点と外分点の位置ベクトルで見た、平面ベクトルのときとまったく同じ式です。
同様に、外分点も座標と成分を比較することで、外分点の位置ベクトルが\[ \frac{-n\vec{a}+m\vec{b} }{m-n} \]でかけることがわかります。
\[ \vec{p}=\frac{n\vec{a}+m\vec{b} }{m+n},\ \vec{q}=\frac{-n\vec{a}+m\vec{b} }{m-n} \]
「空間」の場合と書いていますが、見た目は平面のときとまったく同じです。
このことを使うと、例えば、 $\mathrm{A}(\vec{a})$, $\mathrm{B}(\vec{b})$, $\mathrm{C}(\vec{c})$ のとき、線分 $\mathrm{BC}$ の中点 $\mathrm{M}$ の位置ベクトルは\[ \frac{\vec{b}+\vec{c}}{2} \]となります。また、線分 $\mathrm{AM}$ を $2:1$ に内分する点 $\mathrm{G}$ の位置ベクトルは
\begin{eqnarray}
& &
\frac{\vec{a}+2\cdot \overrightarrow{\mathrm{OM}} }{2+1} \\[5pt]
&=&
\frac{\vec{a}+\vec{b}+\vec{c} }{3} \\[5pt]
\end{eqnarray}となることがわかります。ちなみに、 $\mathrm{G}$ とは重心のことです。このこともよく使います。
これも、平面のときと式の形がまったく同じです。(参考:【基本】三角形の重心の位置ベクトル)
おわりに
ここでは、空間の場合の位置ベクトルについて見てきました。内分点・外分点や三角形の重心の位置ベクトルはよく使いますが、平面のときと同じ結果なので、見慣れているでしょう。