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【基本】対数関数と不等式

ここでは、対数関数を含んだ不等式について見ていきます。方程式のときとは異なり、いろいろ気をつけないといけない点が増えていきます。

📘 目次

底が1より大きい場合

例題1
次の不等式を解きなさい。
(1) $\log_2 x\gt 3$
(2) $\log_2 x\lt 3$

まず、底がどうなっているかを確認しておきましょう。底は $1$ より大きいので、 $y=\log_2 x$ のグラフは右肩上がりになることをおさえておきましょう。

\[ 3=\log_2 2^3=\log_2 8 \]なので、(1)は、\[ \log_2 x\gt \log_2 8 \]を解けばいいわけですね。底が $1$ より大きいため、これより、\[ x\gt 8 \]となることがわかります。「対数が大きい方が真数も大きくなる」ことが成り立つからですね。 $y=\log_2 x$ のグラフが右肩上がりになることからもわかります。

では、(2)はどうなるでしょうか。(1)と比べると、不等号の向きが変わっているだけなので、 $x\lt 8$ になる、と考えてしまうかもしれませんが、それは間違いです。この場合も、真数条件(真数は正である、という条件)を考えて答えなくてはいけません(参考:【基本】対数)。今の場合、真数が正であることから、 $x\gt 0$ が成り立ちます。この2つの不等式を合わせて\[ 0\lt x \lt 8 \]が答えとなります。

(1)は、 $x\gt 8$ という答えでしたが、この場合は真数が常に正なので問題ありません。(2)は、真数の大きさだけしか考えていないと、 $x\lt 8$ と答えてしまいがちなので注意しましょう。

底が1より小さい場合

例題2
次の不等式を解きなさい。
(1) $\log_{0.5} (x-1)\geqq 3$
(2) $\log_{0.5} (x-1)\leqq 3$

今度は、底が $1$ より小さいです。 $y=\log_{0.5} x$ のグラフは右肩下がりになります(参考:【基本】対数関数の性質)。これを踏まえて考えていきます。

また、真数条件も考えておきましょう。(1)も(2)も、真数が正なので、\[ x\gt 1 \]であることがわかります。これも踏まえて不等式を考えていきましょう。

\[ 3=\log_{0.5} 0.5^3=\log_{0.5} \frac{1}{8} \]なので、(1)は、次の不等式を考えればいいことがわかります。\[ \log_{0.5} (x-1) \geqq \log_{0.5} \frac{1}{8} \]底が $1$ より小さいため、これより、\[ x-1 \leqq \frac{1}{8} \]が成り立つことがわかります。これを解き、さらに真数条件と合わせれば\[ 1\lt x \leqq \dfrac{9}{8} \]が解であることがわかります。

(2)も同様にすると、\[ \log_{0.5} (x-1) \leqq \log_{0.5} \frac{1}{8} \]と変形でき、底が $1$ より小さいことから\[ x-1\geqq \frac{1}{8} \]となることがわかります。これと真数条件を合わせると、\[ x\geqq \frac{9}{8} \]が解であることがわかります。(2)の場合は、 $x-1\geqq \dfrac{1}{8}$ の解が、真数条件も満たすため、表面上、解には真数条件が現れていないように見えますが、必ず真数が正であることは考えておく必要があります。

おわりに

ここでは、対数関数を含んだ不等式を考えてきました。底が $1$ より大きいかどうか、真数が正であるかどうか、を確認する必要があります。指数関数を含む不等式や、対数関数を含む方程式よりも、気にしないといけない点が増えているので注意しましょう。

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