【基本】対数関数と方程式
ここでは、対数関数を含む方程式について見ていきます。
定義に基づいて解く問題
(1) $\log_2 x=3$
(2) $\log_3 (x-1)=2$
$a^p=M$ のときに、 $p=\log_a M$ と書くのでしたね。この対数の定義を使えば、すぐに求められます。
(1)は、対数の定義から\[ 2^3=x \]が成り立ちます。なので、 $x=8$ です。
(2)も、対数の定義から\[ 3^2=x-1 \]が成り立ちます。よって、 $x=10$ となります。
求めた値を式に代入してみると、たしかに条件式を満たしていることがわかりますね。
真数条件を考える問題
(1) $\log_2 x(x-7)=3$
(2) $\log_2 x +\log_2 (x-7)=3$
(1)も(2)もよく似ています。(2)は、積の対数(【基本】対数の性質(積や累乗の対数))の性質を使えば、左辺を\[ \log_2 x(x-7) \]と変形できるので、(1)の左辺と同じになります。では(1)(2)は同じ答えになるかというと、そうではないんですね。(1)と(2)は、真数条件が異なることに注意しなければいけません。
真数条件というのは、【基本】対数でも見たように、真数( $\log_a M$ の $M$ の部分)は正でないといけない、という条件です。これは、どんな対数でも満たしていないといけません。
(1)の場合、真数は $x(x-7)$ であり、これが正でないといけない、ということです。そのため、 $x\lt 0$ または $x\gt 7$ となります。
一方、(2)の場合は、真数は2つあります。 $x$ と $x-7$ です。このどちらもが正にならないといけません。そのため、(2)の真数条件は、 $x\gt 0$ かつ $x\gt 7$ となります。これは、 $x\gt 7$ ということです。
(1)と(2)では真数条件が違う、という点に注意しなければいけません。
(1)も(2)も、式変形は途中まで同じです。
\begin{eqnarray}
\log_2 x(x-7) &=& 3 \\[5pt]
x(x-7) &=& 2^3 \\[5pt]
x^2-7x-8 &=& 0 \\[5pt]
(x-8)(x+1) &=& 0 \\[5pt]
x &=& -1,8 \\[5pt]
\end{eqnarray}となります。
(1)の場合、真数条件から、 $x\lt 0$ または $x\gt 7$ となるので、今求めたものはどちらも条件を満たします。よって、(1)の解は\[ x=-1,8 \]となります。
一方、(2)の場合、真数条件から $x\gt 7$ なので、\[ x=8 \]のみが解となります。
実際、 $x=-1$ としてみると、(1)は次のような式になります。\[ \log_2 (-1)\times(-8)=3 \]この真数は正なので、問題はありません。しかし、(2)の場合は、 $\log_2 (-1)$ というものが出てきてしまいます。 $2^p=-1$ を満たす実数 $p$ は存在せず、このような対数は考えられないのでしたね。
対数関数を含む方程式の場合には、つねに真数が正であることを考えなくてはいけません。求めた答えが真数条件を満たすか、きちんと確認することが大事です。
おわりに
ここでは、対数関数を含む方程式を考えました。求めた解に対して、真数が正になるか確認することを忘れないようにしましょう。