【基本】対数の基本性質
ここでは、対数の復習をした後に、対数の定義からすぐにわかるいくつかの性質について見ていきます。なお、ここでは、$a\gt 0, a\ne 1$ とします。
対数の復習
【基本】対数で見た、対数を復習しましょう。 $a^p=M$ が成り立っていれば、 $p$ のことを「 $a$ を底とする $M$ の対数」というのでしたね。そして、それを次のような記号 $\log$ で表します。\[
\log_a M=p \]$M$ を真数といい、真数はつねに正になるのでしたね。
例えば、 $8=2^3$ なので、 $\log_2 8=3$ となります。 $\log_2 8$ とは、「2を何乗すると8になるか」を表す数なので、3になるわけですね。
また、 $\sqrt{5}=5^{\frac{1}{2} }$ なので、 $\log_5 \sqrt{5}=\dfrac{1}{2}$ となります。 $\dfrac{1}{3}=3^{-1}$ なので、 $\log_3 \dfrac{1}{3}=-1$ となります。
対数の定義を直接使った性質
$a^p=M$ と $\log_a M=p$ は同じことを表しています。1つ目は「 $a$ を $p$ 乗したら、 $M$ になる」という意味で、2つ目は「 $a$ を何乗すると $M$ になるか、その答えは $p$ 乗だ」ということなので、言い換えているだけですね。 $p$ 乗した値に着目しているのか、 $p$ 乗という指数に着目しているのか、の違いだけです。
$a^p=M$ と $\log_a M=p$ は同じ内容なので、1つ目を2つ目に代入した次の式が成り立ちます。\[ \log_a a^p=p \]これは、意味を考えれば当たり前です。左辺は、「 $a$ を何乗すると $a^p$ になるか」を表していますが、その答えはもちろん $p$ 乗だからです。
また、2つ目を1つ目に代入して得られる次の式も成り立ちます。\[ a^{\log_a M}=M \]こちらは少し難易度が上がりますが、こちらも対数の定義からすぐにわかる式です。 $\log_a M$ というのは、 $a$ をこれだけ乗すれば、 $M$ になる、という値です。左辺は $a$ を $\log_a M$ 乗したのだから、定義通り $M$ となります。
\begin{eqnarray} \log_a a^p&=&p \\[5pt] a^{\log_a M}&=&M \\[5pt] \end{eqnarray}
これらは、定義からすぐにわかることですが、意外に忘れてしまいやすい性質でもあります。特に、2つ目を見て、「対数の定義をそのまま使った性質だ」ということは、すぐに気づけるようになっておきたいですね。
特別な対数の値
$a$ がどんな値でも $a^0=1$ なので、 $1$ の対数はつねに $0$ となります。そのため、\[ \log_a 1=0 \]が成り立ちます。
また、 $a^1=a$, $a^{-1}=\dfrac{1}{a}$ も成り立つので、
\begin{eqnarray}
\log_a a &=& 1 \\[5pt]
\log_a \frac{1}{a} &=& -1 \\[5pt]
\end{eqnarray}となります。
これらは、 $a$ がどんな値でも成り立つもので、よく使う内容です。
おわりに
ここでは、対数の基本的な性質を見ました。見慣れない記号があって難しく思うかもしれませんが、慣れればそれほど難しい性質ではないことがわかると思います。これからさらに複雑になっていくので、いくつか計算問題を解いて、早く慣れていくようにしましょう。