【基本】二重根号の外し方
【導入】二重根号についてで、二重根号の紹介をしました。$\sqrt{3+2\sqrt{2} }$ のように、「ルートの中にルートがある」というものでしたね。このページでは、基本的な「二重根号の外し方」を紹介していきます。
二重根号を外すとは
二重根号について考える前に、「そもそもルートとは何だったか」を思い出してみましょう。例えば、$\sqrt{2}$ というのは、「2乗したら2になる数」でしたね。こうなる数は2つありますが、そのうち正の数を $\sqrt{2}$ と呼ぶのでした。これと同じ発想で考えてみます。
例として、$\sqrt{2}+\sqrt{3}$ を二乗したらどうなるか、考えてみましょう。これを計算すると、次のようになります。
\begin{eqnarray}
(\sqrt{2}+\sqrt{3})^2
&=&
2+2\sqrt{6}+3 \\
&=&
5+2\sqrt{6} \\
\end{eqnarray}このように、$\sqrt{2}+\sqrt{3}$ を2乗すれば $5+2\sqrt{6}$ になります。$\sqrt{2}$ のときと同じように考えれば、$\sqrt{5+2\sqrt{6} }=\sqrt{2}+\sqrt{3}$ ということですね。このように、左辺から右辺に式変形をすることを「二重根号を外す」と言います。確かに、右辺では「ルートの中のルート」がなくなっていますね。
二重根号を外してみよう
それでは、いよいよ例題を解きながら、二重根号の外し方を見ていきましょう。
先ほどと同じように考えて、$\sqrt{p}+\sqrt{q}$ の二乗が $3+2\sqrt{2}$ となるものを求めてみましょう。
\begin{eqnarray}
(\sqrt{p}+\sqrt{q})^2
&=&
p+2\sqrt{pq}+q \\
&=&
(p+q)+2\sqrt{pq} \\
\end{eqnarray}なので、$p+q=3$, $pq=2$ となるものを探します。因数分解をするときと同じように考えれば、$2,1$の組み合わせが見つかります。このことから、$\sqrt{3+2\sqrt{2} }$ は $1+\sqrt{2}$ になることがわかります。これが答えです(実際、二乗すると同じ値になります)。
これを一般的に書くと、次のようになります。
二重根号を外すというのは、上の式で、左辺から右辺に変形することです。$\sqrt{3+2\sqrt{2} }$の場合は、足して3、掛けて2になるものを探しましたが、他の問題でも $\sqrt{\bigcirc+2\sqrt{\triangle} }$なら、「足して○、掛けて△」のものを探すことになります。
なお、ルートの中のルート($\sqrt{\triangle}$の部分)の前にある「2」はすごく重要です。ここが2でない場合は、式変形が必要になります。このことについては、【標準】二重根号の外し方で説明します。
二重根号を外してみようその2
これは先ほどの問題とは違って、ルートの中のルート(ややこしいですが、 $\sqrt{6}$ のことです)の前がマイナスになっています。前の問題で使った式変形をよく見て、どこがマイナスにならないといけないかを考えてみましょう。
すると、 $\sqrt{p}+\sqrt{q}$ ではなく、 $\sqrt{p}-\sqrt{q}$ を二乗するのではないか、と予想できるでしょう。 $\sqrt{p}-\sqrt{q}$ を二乗すると、次のようになります。
\begin{eqnarray}
(\sqrt{p}-\sqrt{q})^2
&=&
p-2\sqrt{pq}+q \\
&=&
(p+q)-2\sqrt{pq} \\
\end{eqnarray}
これが $5-2\sqrt{6}$ になるためには、$p+q=5$ で $pq=6$ となるものを探せばいいので、 $3,2$ の組み合わせであることがわかりますね。 $\sqrt{5-2\sqrt{6} }$ の候補としては、 $\sqrt{3}-\sqrt{2}$ と $\sqrt{2}-\sqrt{3}$ の2つがありますが、$\sqrt{5-2\sqrt{6} }$ は、「二乗して $5-2\sqrt{6}$ となる数のうち、正の数」のことなので、$\sqrt{3}-\sqrt{2}$ が正解となります。
マイナスの場合は、一般的には次のように書くことができます。
$\sqrt{5-2\sqrt{6} }$ の問題では、「足して5、掛けて6」の数字の組を探しました。符号に気を付ける必要はありますが、先ほどの問題(プラスのとき)とやることは共通していますね。
なお、ここでも、ルートの中のルート( $\sqrt{pq}$ の部分)の前にある「2」が重要です。ここが2でないときは、探す数字が変わってきます。
おわりに
ここでは、二重根号の外し方を見てきました。最後にまとめておきましょう。
\begin{eqnarray} \sqrt{ \bigcirc +2\sqrt{\triangle} } = \sqrt{p}+\sqrt{q} \\ \sqrt{ \bigcirc -2\sqrt{\triangle} } = \sqrt{p}-\sqrt{q} \end{eqnarray}
もし、$\sqrt{\triangle}$の前の数字が2でないときは、少し式変形が必要となります。その場合については、【標準】二重根号の外し方で取り上げます。
「足した答えと掛けた答え、どっちが○でどっちが△かわからなくなった」という場合には、このページの内容を思い出しましょう。「$\sqrt{p}+\sqrt{q}$ を二乗する」という考え方に立ち戻って考えてみると、和と積、○と△の対応の仕方がわかると思います。