【基本】分数式の足し算・引き算
ここでは、分数式の足し算・引き算を見ていきます。掛け算・割り算よりも、少し計算が複雑になります。
分母が同じ分数式の足し算と引き算
分数の足し算や引き算をするとき、分母が同じであれば、分子を足したり引いたりするだけでしたね。\[ \frac{3}{5}+\frac{1}{5}=\frac{4}{5} \]などと計算していました。
分数式の足し算や引き算の場合も同様です。分母が同じであれば、分子を足したり引いたりするだけです。\[ \frac{2x}{x+y} + \frac{y}{x+y} \]であれば、分子同士を足して $\dfrac{2x+y}{x+y}$ となります。
また、\[ \frac{b}{a-b}-\frac{a}{a-b} \]であれば、分子の引き算を行って
\begin{eqnarray}
\frac{b}{a-b}-\frac{a}{a-b}
&=&
\frac{b-a}{a-b} \\[5pt]
&=&
\frac{-(a-b)}{a-b} \\[5pt]
&=&
-1
\end{eqnarray}となります。約分ができるときは、約分をしてから答えます。
分母が違う分数式の足し算と引き算
少し面倒なのは、分母が異なる場合です。分数の場合は、次のように計算していました。
\begin{eqnarray}
\frac{1}{3}+\frac{1}{5}
&=&
\frac{5}{15}+\frac{3}{15} \\[5pt]
&=&
\frac{8}{15}
\end{eqnarray}分母が同じになるように、それぞれの分数の分母・分子に同じ数を掛けてから計算するのでしたね。このように分母を合わせることを「通分」というのでした。
分数式の場合も、「通分」があります。分母が異なる足し算・引き算の場合は、まず分母をそろえる必要があります。例えば、次の計算を考えてみましょう。\[ \frac{1}{x^2+x} -\frac{1}{x^2-1} \]通分をするために、それぞれ分母を $(x^2+x)(x^2-1)$ となるようにしてもいいのですが、今の場合、分母はもっと簡単に表すことができます。まずは、因数分解をします。
\begin{eqnarray}
& &
\frac{1}{x^2+x} -\frac{1}{x^2-1} \\[5pt]
&=&
\frac{1}{x(x+1)} -\frac{1}{(x-1)(x+1)} \\[5pt]
\end{eqnarray}こうすると、分母を $x(x-1)(x+1)$ にすればいいことがわかります。つまり、1つ目の分数式には、分母・分子に $x-1$ を掛け、2つ目の分数式には、分母・分子に $x$ を掛ければいいことがわかります。このように通分をしてさらに計算をすると
\begin{eqnarray}
& &
\frac{1}{x^2+x} -\frac{1}{x^2-1} \\[5pt]
&=&
\frac{1}{x(x+1)} -\frac{1}{(x-1)(x+1)} \\[5pt]
&=&
\frac{x-1}{x(x-1)(x+1)} -\frac{x}{x(x-1)(x+1)} \\[5pt]
&=&
-\frac{1}{x(x-1)(x+1)}\\[5pt]
\end{eqnarray}となることがわかります。
分数式の掛け算・割り算の場合には、まずは因数分解をする必要がありましたが、足し算・引き算の場合にも、通分のために因数分解が必要なんですね。また、分子を足し引きした後は、約分することができないか、さらに確認する必要があります。そのため、足し引きしたあとに、再度因数分解を行うことになります。
おわりに
ここでは、分数式の足し算・引き算を見ました。一般的な形でまとめておきましょう。
\[ \frac{A}{B} +\frac{C}{D} = \frac{AD+BC}{BD} \]\[ \frac{A}{B} -\frac{C}{D} = \frac{AD-BC}{BD} \]
つまり、通分をしてから計算する、ということです。通分のために、因数分解が必要で、分子の計算を行った後に、さらに約分ができないかを確認することを忘れないようにしましょう。