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東京大学 理系 2014年度 第6問 解説

問題編

問題

 座標平面の原点を O で表す。
 線分 $y=\sqrt{3} x$ $(0\leqq x \leqq 2)$ 上の点 P と、線分 $y=-\sqrt{3} x$ $(-2 \leqq x \leqq 0)$ 上の点 Q が、線分 OP と線分 OQ の長さの和が $6$ となるように動く。このとき、線分 PQ の通過する領域を D とする。

(1) s を $0\leqq s \leqq 2$ をみたす実数とするとき、点 $(s,t)$ が D に入るような t の範囲を求めよ。
(2) D を図示せよ。

考え方

$x=s$ で切ったときに、断面がどうなるかを考えて領域を求める問題です。流れはよくあるものですが、計算が少しややこしく、細々した条件が抜けやすいので注意が必要です。

(2)は(1)ができれば問題なくできるでしょう。


解答編

問題

 座標平面の原点を O で表す。
 線分 $y=\sqrt{3} x$ $(0\leqq x \leqq 2)$ 上の点 P と、線分 $y=-\sqrt{3} x$ $(-2 \leqq x \leqq 0)$ 上の点 Q が、線分 OP と線分 OQ の長さの和が $6$ となるように動く。このとき、線分 PQ の通過する領域を D とする。

(1) s を $0\leqq s \leqq 2$ をみたす実数とするとき、点 $(s,t)$ が D に入るような t の範囲を求めよ。
(2) D を図示せよ。

解答

(1) P, Qx 座標を、それぞれ、 p, q とする。このとき、 $\mathrm{ P }(p,\sqrt{3} p)$, $\mathrm{ Q }(q,-\sqrt{3} q)$ となる。

また、 $0\leqq p \leqq 2$, $-2\leqq q \leqq 0$ なので、線分 OP, OQ の長さは、それぞれ $2p$, $-2q$ となる。

条件より $\mathrm{ OP }+\mathrm{ OQ }=6$ なので
\begin{eqnarray} 2p-2q &=& 6 \\ q &=& p-3 \end{eqnarray}が成り立つ。 $-2 \leqq q \leqq 0$ より、 $-2 \leqq p-3 \leqq 0$ 、つまり、 $1 \leqq p \leqq 3$ を満たす。もともと $0\leqq p \leqq 2$ も満たすので、条件を満たすように PQ が動くとき、 p がとる値の範囲は\[ 1 \leqq p \leqq 2 \]となることがわかる。

直線 PQ の式は、次のようになる。
\begin{eqnarray} y &=& \frac{\sqrt{3}p-(-\sqrt{3}q)}{p-q}(x-p)+\sqrt{3}p \\[5pt] &=& \frac{\sqrt{3}(2p-3)}{3}(x-p)+\sqrt{3}p \\[5pt] \end{eqnarray}

点 $(s,t)$ が線分 PQ 上にあるとすると、 $q=p-3 \leqq s \leqq p$ から p の範囲は\[ s \leqq p \leqq s+3 \]となる。また、このとき、 s, t について次が成り立つ。
\begin{eqnarray} t &=& \frac{\sqrt{3}(2p-3)}{3}(s-p)+\sqrt{3}p \\[5pt] &=& \sqrt{3} \left\{ -\frac{2}{3}p^2 + \left( \frac{2}{3}s+2 \right)p -s \right \} \\[5pt] &=& \sqrt{3} \left\{ -\frac{2}{3}\left\{ p^2 -\left( s+3 \right)p \right\} -s \right\} \\[5pt] &=& \sqrt{3} \left\{ -\frac{2}{3}\left( p -\frac{s+3}{2} \right)^2 +\frac{2}{3}\left(\frac{s+3}{2}\right)^2 -s \right\} \\[5pt] &=& \sqrt{3} \left\{ -\frac{2}{3}\left( p -\frac{s+3}{2} \right)^2 +\frac{s^2+9}{6} \right\} \\[5pt] \end{eqnarray}

$s(0\leqq s \leqq 2)$ を固定し、 p を動かしたときに、 t のとり得る範囲を求める。

まず、 $\displaystyle p=\frac{s+3}{2}$ となる場合を考える。 $\displaystyle s \leqq p \leqq s+3$ から、
\begin{eqnarray} & & s \leqq \frac{s+3}{2} \leqq s+3 \\[5pt] & \iff & 2s \leqq s+3 \leqq 2s+6 \\[5pt] & \iff & -3 \leqq s \leqq 3 \\[5pt] \end{eqnarray}となる。また、 $1 \leqq p \leqq 2$ から、 \begin{eqnarray} & & 1 \leqq \frac{s+3}{2} \leqq 2 \\[5pt] & \iff & 2 \leqq s+3 \leqq 4 \\[5pt] & \iff & -1 \leqq s \leqq 1 \\[5pt] \end{eqnarray}なので、 $\displaystyle p=\frac{s+3}{2}$ となりえるのは、 $0\leqq s \leqq 1$ のときであることがわかる。

(i) $0\leqq s \leqq 1$ のとき

$1 \leqq p \leqq 2$ と $s \leqq p \leqq s+3$ を同時に満たす範囲は\[ 1 \leqq p \leqq 2 \]なので、p はこの範囲の値をとる。

p, t の関係を表すグラフは、次のような形になる(横軸が p 軸、縦軸が t 軸)。

これより、 t は $\displaystyle p=\frac{s+3}{2}$ のとき、最大値 $\displaystyle \frac{\sqrt{3} }{6}(s^2+9)$ をとることがわかる。また、 $p=1$ のときに最小値をとり、その値は
\begin{eqnarray} & & \sqrt{3} \left( -\frac{2}{3}+\frac{2}{3}s+2 -s \right) \\[5pt] &=& \frac{\sqrt{3} }{3} (-s+4) \\[5pt] \end{eqnarray}となる。また、 t はこの間の値をすべてとる。

(ii) $1\lt s \leqq 2$ のとき

$1 \leqq p \leqq 2$ と $s \leqq p \leqq s+3$ を同時に満たす範囲は\[ s \leqq p \leqq 2 \]なので、p はこの範囲の値をとる。

このときは $\displaystyle \frac{s+3}{2} \gt 2$ なので、 p, t の関係を表すグラフは、次のようになる(横軸が p 軸、縦軸が t 軸)。

これより、 t は $p=2$ のとき最大値をとることがわかり、その値は
\begin{eqnarray} & & \sqrt{3} \left( -\frac{8}{3} + \frac{4}{3}s+4 -s \right) \\[5pt] &=& \frac{\sqrt{3} }{3} (s+4) \\[5pt] \end{eqnarray}となる。また、 $p=s$ のときに、最小値をとることがわかり、その値は \begin{eqnarray} & & \sqrt{3} \left\{ -\frac{2}{3}s^2 + \left( \frac{2}{3}s+2 \right)s -s \right \} \\[5pt] &=& \sqrt{3} s \\[5pt] \end{eqnarray}となる。また、 t はこの間の値をすべてとる。

(i)(ii) より、求める範囲は、次の通りとなる。

$0\leqq s \leqq 1$ のとき\[ \frac{\sqrt{3} }{3} (-s+4) \leqq t \leqq \frac{\sqrt{3} }{6}(s^2+9) \]
$1\lt s \leqq 2$ のとき\[ \sqrt{3} s \leqq t \leqq \frac{\sqrt{3} }{3} (s+4) \]

(2) Dy 軸について対称なので、(1)の結果から求める領域は下図の色のついた部分になる。ただし、境界線上の点をすべて含む。

解説

s を止めて p を動かし、 t の範囲を求める問題です。ただ、 p の範囲には少し注意が必要です。

p のとり得る範囲は、 $0\leqq p \leqq 2$ という条件以外に、 q に関する条件から出てくる $1\leqq p \leqq 3$ と、 $(s,t)$ が線分 PQ 上にあることから出てくる条件 $s\leqq p \leqq s+3$ があります。すべてを加味する必要があります。

さらに、 s, t に関する条件から出てくる二次関数は、 s の値によって最大・最小をとるときが変わることにも注意しないといけません。

ルートが出てきて計算しにくい上、条件式も多く、ごちゃごちゃしてしまいがちです。流れは一般的ですが、計算間違いしやすいです。(2)は(1)ができればすぐにできますが、図をかいてみて、明らかな計算間違いをしていないか確認しましょう。

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