東京大学 文系 2023年度 第2問 解説
問題編
問題
座標平面上の放物線 $y=3x^2-4x$ を $C$ とおき、直線 $y=2x$ を $\ell$ とおく。実数 $t$ に対し、 $C$ 上の点 $\mathrm{P}(t,3t^2-4t)$ と $\ell$ の距離を $f(t)$ とする。
(1) $-1\leqq a \leqq 2$ の範囲の実数 $a$ に対し、定積分\[ g(a)=\int_{-1}^a f(t)dt \]を求めよ。
(2) $a$ が $0\leqq a \leqq 2$ の範囲を動くとき、 $g(a)-f(a)$ の最大値および最小値を求めよ。
考え方
場合分けをして計算する必要はありますが、計算はそれほど大変ではありません。(2)の最小値は、少し工夫して計算する必要がありますが、これもそんなに大変ではありません。落ち着いて計算しましょう。これで何を求めたいのかはよくわかりません。
解答編
問題
座標平面上の放物線 $y=3x^2-4x$ を $C$ とおき、直線 $y=2x$ を $\ell$ とおく。実数 $t$ に対し、 $C$ 上の点 $\mathrm{P}(t,3t^2-4t)$ と $\ell$ の距離を $f(t)$ とする。
(1) $-1\leqq a \leqq 2$ の範囲の実数 $a$ に対し、定積分\[ g(a)=\int_{-1}^a f(t)dt \]を求めよ。
解答
点 $\mathrm{P}$ と $2x-y=0$ との距離 $f(t)$ は
\begin{eqnarray}
\frac{|2t-(3t^2-4t)|}{\sqrt{2^2+(-1)^2}}
&=&
\frac{|3t^2-6t|}{\sqrt{5}}
\end{eqnarray}である。ここで、 $0\leqq t\leqq 2$ のときに $3t^2-6t$ は $0$ 以下の値をとり、これ以外のときは正の値をとる。
よって、 $-1\leqq a \lt 0$ のとき
\begin{eqnarray}
g(a)
&=&
\int_{-1}^a \frac{|3t^2-6t|}{\sqrt{5}} dt \\[5pt]
&=&
\int_{-1}^a \frac{3t^2-6t}{\sqrt{5}} dt \\[5pt]
&=&
\frac{1}{\sqrt{5}} \left[t^3-3t^2\right]_{-1}^a \\[5pt]
&=&
\frac{1}{\sqrt{5}} (a^3-3a^2+1+3) \\[5pt]
&=&
\frac{\sqrt{5}}{5} (a^3-3a^2+4) \\[5pt]
\end{eqnarray}となる。また、 $0\leqq a \leqq 2$ のとき
\begin{eqnarray}
g(a)
&=&
\int_{-1}^a \frac{|3t^2-6t|}{\sqrt{5}} dt \\[5pt]
&=&
\int_{-1}^0 \frac{3t^2-6t}{\sqrt{5}} dt+\int_0^a \frac{-3t^2+6t}{\sqrt{5}} dt \\[5pt]
&=&
\frac{4}{\sqrt{5}} +\frac{1}{\sqrt{5}} \left[-t^3+3t^2\right]_0^a \\[5pt]
&=&
\frac{4}{\sqrt{5}}+ \frac{1}{\sqrt{5}}(-a^3+3a^2) \\[5pt]
&=&
\frac{\sqrt{5}}{5} (-a^3+3a^2+4) \\[5pt]
\end{eqnarray}となる。
まとめると、
$-1 \leqq a \lt 0$ のとき、 $g(a)=\dfrac{\sqrt{5}}{5} (a^3-3a^2+4)$
$0 \leqq a \leqq 2$ のとき、 $g(a)=\dfrac{\sqrt{5}}{5} (-a^3+3a^2+4)$
となる。(答)
解答編 つづき
問題
(2) $a$ が $0\leqq a \leqq 2$ の範囲を動くとき、 $g(a)-f(a)$ の最大値および最小値を求めよ。
解答
$0\leqq a \leqq 2$ のとき
\begin{eqnarray}
f(a) &=& \frac{|3a^2-6a|}{\sqrt{5}} = \frac{-3a^2+6a}{\sqrt{5}} \\[5pt]
g(a) &=& \dfrac{1}{\sqrt{5}} (-a^3+3a^2+4)
\end{eqnarray}である。よって、 $h(a)=g(a)-f(a)$ とおくと
\begin{eqnarray}
h(a)
&=&
\dfrac{1}{\sqrt{5}} (-a^3+3a^2+4) - \frac{-3a^2+6a}{\sqrt{5}} \\[5pt]
&=&
\dfrac{1}{\sqrt{5}} (-a^3+6a^2-6a+4) \\[5pt]
\end{eqnarray}となる。ここで、
\begin{eqnarray}
h'(a) &=& \dfrac{1}{\sqrt{5}} (-3a^2+12a-6) \\[5pt]
&=& \dfrac{-3}{\sqrt{5}} (a^2-4a+2) \\[5pt]
\end{eqnarray}である。 $a^2-4a+2=0$ とすると $a=2\pm\sqrt{2}$ だから、増減表は次のようになる。
\begin{array}{c|ccccc}
a & 0 & \cdots & 2-\sqrt{2} & \cdots & 2 \\
\hline
h'(a) & & - & 0 & + & \\
\hline
h(a) & & \searrow & & \nearrow &
\end{array}
$a=0,2$ のときの $h(a)=\dfrac{1}{\sqrt{5}} (-a^3+6a^2-6a+4)$ の値は
\begin{eqnarray}
h(0) &=& \frac{4}{\sqrt{5}} \\[5pt]
h(2) &=& \frac{-8+24-12+4}{\sqrt{5}} = \frac{8}{\sqrt{5}} \\[5pt]
\end{eqnarray}だから、最大値は $\dfrac{8\sqrt{5}}{5}$ である。
また、 $a=2-\sqrt{2}$ とすると、 $a^2-4a+2=0$ だから
\begin{eqnarray}
\sqrt{5} h(2-\sqrt{2})
&=&
-a^3+6a^2-6a+4 \\[5pt]
&=&
-a(4a-2)+6(4a-2)-6a+4 \\[5pt]
&=&
-4a^2+2a +24a-12-6a+4 \\[5pt]
&=&
-4a^2+20a-8 \\[5pt]
&=&
-4(4a-2)+20a-8 \\[5pt]
&=&
4a \\[5pt]
&=&
4(2-\sqrt{2}) \\[5pt]
\end{eqnarray}だから、最小値は $\dfrac{4\sqrt{5}(2-\sqrt{2})}{5}$ となる。
まとめると、
最大値は $\dfrac{8\sqrt{5}}{5}$ $(a=2$ のとき $)$
最小値は $\dfrac{4\sqrt{5}(2-\sqrt{2})}{5}$ $(a=2-\sqrt{2}$ のとき $)$
となる。(答)