共通テスト 数学I・数学A 2025年度 第4問 解説
【必答問題】
問題編
問題
ある行事で、主催者が次の ゲーム を計画している。
ゲーム
参加者はくじを最大3回引き、当たりが出たら、1200円相当の景品を主催者から受け取り、以降はくじを引かない。参加者はくじを1回目、2回目、3回目で異なる箱から引く。1回目のくじ引きで当たりが出なかった場合は2回目のくじを引き、2回目のくじ引きでも当たりが出なかった場合は3回目のくじを引く。主催者は、当たりの出る確率について次のとおり設定する。
- 1回目に当たりが出る確率は $\dfrac{3}{16}$ である。
- 1回目に当たりが出ず、かつ2回目に当たりが出る確率は $\dfrac{1}{8}$ である。
- 1回目、2回目ともに当たりが出ず、かつ3回目に当たりが出る確率は $\dfrac{1}{16}$ である。
ゲーム の参加料について、主催者は2種類の支払い方法を考えている。参加料に関する設定の妥当性について、主催者は判断を行う。
(1) 1回目または2回目に当たりが出る確率は $\dfrac{\myBox{ア}}{\myBox{イウ}}$ である。このことから、1回目、2回目ともに当たりが出ない確率は $\dfrac{\myBox{エオ}}{\myBox{カキ}}$ であることがわかる。1回も当たりが出ない確率は $\dfrac{\myBox{ク}}{\myBox{ケ}}$ である。
以下では、主催者が参加者に対して負担する金額を $X$ 円とする。すなわち、参加者が ゲーム で景品を受け取るとき $X=1200$、参加者が ゲーム で景品を受け取らないとき $X=0$ である。
(2)
(i) 数量 $X$ の期待値は $\myBox{コサシ}$ である。なお、必要に応じて、次に示す表を用いて考えてもよい。
$X$ $0$ $1200$ 計 確率 $1$ (ii) 次の支払い方法1を考える。
支払い方法1
参加者は1回目のくじを引く直前に参加料 500円を支払う。支払い方法1の場合、主催者が負担する金額 $X$ 円の期待値が、参加料の金額 500円未満であるとき、主催者は参加料の設定は妥当であると判断し、参加料の金額 500円以上であるとき、参加料の設定は妥当ではないと判断する。
(i)で求めた $X$ 円の期待値 $\mybox{コサシ}$ 円は参加料の金額 500円 $\dBox{ス}$ 。したがって、主催者は参加料 500円という設定について $\dBox{セ}$ と判断する。
$\dbox{ス}$ の解答群
0: 未満である
1: 以上である$\dbox{セ}$ の解答群
0: 妥当である
1: 妥当ではない(3) $a$ を正の整数とする。次の 支払い方法2 を考える。
支払い方法2
参加者は1回目、2回目、3回目のくじを引く直前にそれぞれ料金 $a$ 円を支払う。なお、この料金をくじ引き料といい、当たりが出た後は、くじを引かないため、くじ引き料を支払わないことになる。支払い方法2 で、ゲーム を通して参加者が支払うくじ引き料の合計を参加料とし、$Y$ 円で表す。
(i) $a=170$ とする。このとき、次が成り立つ。
- 1回目に当たりが出るとき、$Y=170$ である。
- 1回目に当たりが出ず、かつ2回目に当たりが出るとき、$Y=340$ である。
- 1回目、2回目ともに当たりが出ないとき、$Y=510$ である。
数量 $Y$ の期待値は $\myBox{ソタチ}$ である。なお、必要に応じて、次に示す表を用いて考えてもよい。
$Y$ $170$ $340$ $510$ 計 確率 $1$ (ii) 支払い方法2 の場合、主催者が負担する金額 $X$ 円の期待値が、参加料 $Y$ 円の期待値未満であるとき、主催者はくじ引き料の設定は妥当であると判断し、参加料 $Y$ 円の期待値以上であるとき、くじ引き料の設定は妥当ではないと判断する。
(2)の(i)で求めた $X$ 円の期待値 $\mybox{コサシ}$ 円は、$a=170$ と設定した場合の 支払い方法2 で参加者が支払う参加料 $Y$ 円の期待値 $\mybox{ソタチ}$ 円 $\dBox{ツ}$ 。したがって、主催者はくじ引き料 170円という設定について $\dBox{テ}$ と判断する。
また、主催者がくじ引き料の設定が妥当であると判断するのは $a\gt \myBox{トナニ}$ のときであり、主催者がくじ引き料の設定が妥当ではないと判断するのは $a\leqq \mybox{トナニ}$ のときである。
$\dbox{ツ}$ の解答群
0: 未満である
1: 以上である$\dbox{テ}$ の解答群
0: 妥当である
1: 妥当ではない
考え方
確率の与え方が少し変わっていますが、途中の説明が丁寧なので、最初の設定さえクリアできれば、スムーズにいけそうです。
丁寧、というか、丁寧すぎるくらいです。表や $a=170$ のときの説明などは、普通は省略するでしょう。新課程で追加された「期待値」が出てくるので、はじめだから丁寧にしてくれたのかもしれません。
【必答問題】
解答編
問題
ある行事で、主催者が次の ゲーム を計画している。
ゲーム
参加者はくじを最大3回引き、当たりが出たら、1200円相当の景品を主催者から受け取り、以降はくじを引かない。参加者はくじを1回目、2回目、3回目で異なる箱から引く。1回目のくじ引きで当たりが出なかった場合は2回目のくじを引き、2回目のくじ引きでも当たりが出なかった場合は3回目のくじを引く。主催者は、当たりの出る確率について次のとおり設定する。
- 1回目に当たりが出る確率は $\dfrac{3}{16}$ である。
- 1回目に当たりが出ず、かつ2回目に当たりが出る確率は $\dfrac{1}{8}$ である。
- 1回目、2回目ともに当たりが出ず、かつ3回目に当たりが出る確率は $\dfrac{1}{16}$ である。
ゲーム の参加料について、主催者は2種類の支払い方法を考えている。参加料に関する設定の妥当性について、主催者は判断を行う。
(1) 1回目または2回目に当たりが出る確率は $\dfrac{\myBox{ア}}{\myBox{イウ}}$ である。このことから、1回目、2回目ともに当たりが出ない確率は $\dfrac{\myBox{エオ}}{\myBox{カキ}}$ であることがわかる。1回も当たりが出ない確率は $\dfrac{\myBox{ク}}{\myBox{ケ}}$ である。
以下では、主催者が参加者に対して負担する金額を $X$ 円とする。すなわち、参加者が ゲーム で景品を受け取るとき $X=1200$、参加者が ゲーム で景品を受け取らないとき $X=0$ である。
解説
(1)
起こりえるのは、次の4つのどれかで、どれか1つだけが起こります。
- 1回目で当たり
- 1回目がハズレ、2回目で当たり
- 1回目と2回目がハズレ、3回目で当たり
- 1回目、2回目、3回目がハズレ
1回目または2回目に当たりが出る確率は、1つ目と2つ目を合わせたものなので、\[ \frac{3}{16}+\frac{1}{8}=\frac{5}{16} \]となります。
なので、1回目、2回目ともに当たりが出ない確率は、余事象を考えればいいので\[ 1-\frac{5}{16}=\frac{11}{16} \]となります。
3回目に当たりが出る確率は $\dfrac{1}{16}$ なので、1回も当たりが出ない確率は\[ \frac{11}{16}-\frac{1}{16}=\frac{5}{8} \]となります。
解答
アイウ:516
エオカキ:1116
クケ:58
解答編 つづき
問題
(2)
(i) 数量 $X$ の期待値は $\myBox{コサシ}$ である。なお、必要に応じて、次に示す表を用いて考えてもよい。
$X$ $0$ $1200$ 計 確率 $1$ (ii) 次の支払い方法1を考える。
支払い方法1
参加者は1回目のくじを引く直前に参加料 500円を支払う。支払い方法1の場合、主催者が負担する金額 $X$ 円の期待値が、参加料の金額 500円未満であるとき、主催者は参加料の設定は妥当であると判断し、参加料の金額 500円以上であるとき、参加料の設定は妥当ではないと判断する。
(i)で求めた $X$ 円の期待値 $\mybox{コサシ}$ 円は参加料の金額 500円 $\dBox{ス}$ 。したがって、主催者は参加料 500円という設定について $\dBox{セ}$ と判断する。
$\dbox{ス}$ の解答群
0: 未満である
1: 以上である$\dbox{セ}$ の解答群
0: 妥当である
1: 妥当ではない
解説
(2)
(i)
1回も当たりが出ない確率は $\dfrac{5}{8}$ なので、どこかで当たりが出る確率は $\dfrac{3}{8}$ です。
つまり、 $X=1200$ となる確率が $\dfrac{3}{8}$ で、 $X=0$ となる確率が $\dfrac{5}{8}$ なので、期待値は\[ 1200\cdot\frac{3}{8}=450 \]となります。
(ii)
この期待値 $450$ は $500$ 未満なので、参加料の設定は妥当と判断できます。
解答
コサシ:450
ス:0
セ:0
解答編 つづき
問題
(3) $a$ を正の整数とする。次の 支払い方法2 を考える。
支払い方法2
参加者は1回目、2回目、3回目のくじを引く直前にそれぞれ料金 $a$ 円を支払う。なお、この料金をくじ引き料といい、当たりが出た後は、くじを引かないため、くじ引き料を支払わないことになる。支払い方法2 で、ゲーム を通して参加者が支払うくじ引き料の合計を参加料とし、$Y$ 円で表す。
(i) $a=170$ とする。このとき、次が成り立つ。
- 1回目に当たりが出るとき、$Y=170$ である。
- 1回目に当たりが出ず、かつ2回目に当たりが出るとき、$Y=340$ である。
- 1回目、2回目ともに当たりが出ないとき、$Y=510$ である。
数量 $Y$ の期待値は $\myBox{ソタチ}$ である。なお、必要に応じて、次に示す表を用いて考えてもよい。
$Y$ $170$ $340$ $510$ 計 確率 $1$
解説
(3)
(i)
$Y=170,340,510$ となる確率が、それぞれ $\dfrac{3}{16},\dfrac{1}{8},\dfrac{11}{16}$ なので、期待値は
\begin{eqnarray}
& &
170\cdot\frac{3}{16}+340\cdot\frac{1}{8}+510\cdot\frac{11}{16} \\[5pt]
&=&
\frac{170}{16}\cdot(1\cdot 3+2\cdot 2+3\cdot 11) \\[5pt]
&=&
\frac{170}{16}\cdot(3+4+33) \\[5pt]
&=&
425 \\[5pt]
\end{eqnarray}となります。
解答
ソタチ:425
解答編 つづき
問題
(ii) 支払い方法2 の場合、主催者が負担する金額 $X$ 円の期待値が、参加料 $Y$ 円の期待値未満であるとき、主催者はくじ引き料の設定は妥当であると判断し、参加料 $Y$ 円の期待値以上であるとき、くじ引き料の設定は妥当ではないと判断する。
(2)の(i)で求めた $X$ 円の期待値 $\mybox{コサシ}$ 円は、$a=170$ と設定した場合の 支払い方法2 で参加者が支払う参加料 $Y$ 円の期待値 $\mybox{ソタチ}$ 円 $\dBox{ツ}$ 。したがって、主催者はくじ引き料 170円という設定について $\dBox{テ}$ と判断する。
また、主催者がくじ引き料の設定が妥当であると判断するのは $a\gt \myBox{トナニ}$ のときであり、主催者がくじ引き料の設定が妥当ではないと判断するのは $a\leqq \mybox{トナニ}$ のときである。
$\dbox{ツ}$ の解答群
0: 未満である
1: 以上である$\dbox{テ}$ の解答群
0: 妥当である
1: 妥当ではない
解説
(3)
(ii)
$X$ の期待値 $450$ は、 $a=170$ としたときの $Y$ の期待値 $425$ 以上なので、くじ引き料の設定は妥当ではないと判断できます。
$Y$ の期待値の計算を見直すと、 $a=170$ ではなく、 $a$ を使って $Y$ の期待値を表すと\[ \frac{a}{16}\cdot(3+4+33)=\frac{10a}{4} \]だとわかります。くじ引き料の設定が妥当と判断するのは、 $X$ の期待値 $450$ が、この $Y$ の期待値 $\dfrac{10a}{4}$ 未満のときなので
\begin{eqnarray}
450 & \lt & \frac{10a}{4} \\[5pt]
a & \gt & 450\cdot \frac{4}{10} =180 \\[5pt]
\end{eqnarray}のときだとわかります。
解答
ツテ:11
トナニ:180