共通テスト 数学I・数学A 2023年度追試 第4問 解説
【第3問~第5問から2問選択】
問題編
問題
$x,y,z$ についての二つの式をともに満たす整数 $x,y,z$ が存在するかどうかを考えてみよう。
(1) 二つの式が\[ 7x+13y+17z=8 \quad \cdots ① \]と\[ 35x+39y+34z=37 \quad\cdots② \]の場合を考える。①, ②から $x$ を消去すると\[ \myBox{アイ}y+\myBox{ウエ}z=3 \quad\cdots ③ \]を得る。③を $y,z$ についての不定方程式とみると、その整数解のうち、 $y$ が正の整数で最小になるのは\[ y=\myBox{オ},\ z=\myBox{カキ} \]である。よって、③のすべての整数解は、 $k$ を整数として\[ y=\mybox{オ}-\myBox{クケ}k,\ z=\mybox{カキ}+\myBox{コサ}k \]と表される。これらを①に代入して $x$ を求めると\[ x=31k-3+\dfrac{\myBox{シ}k+2}{7} \]となるので、 $x$ が整数になるのは、 $k$ を $7$ で割ったときの余りが $\myBox{ス}$ のときである。
以上のことから、この場合は、二つの式をともに満たす整数 $x,y,z$ が存在することがわかる。
(2) $a$ を整数とする。二つの式が\[ 2x+5y+7z=a \quad \cdots ④ \]と\[ 3x+25y+21z=-1 \quad\cdots⑤ \]の場合を考える。⑤-④から\[ x=-20y-14z-1-a \quad\cdots ⑥ \]を得る。また、⑤×2-④×3から\[ 35y+21z=-2-3a \quad\cdots ⑦ \]を得る。このとき
$a$ を $\myBox{セ}$ で割ったときの余りが $\myBox{ソ}$ である
ことは、⑦を満たす整数 $y,z$ が存在するための必要十分条件であることがわかる。そのときの整数 $y,z$ を⑥に代入すると、 $x$ も整数になる。また、そのときの $x,y,z$ は④と⑤をともに満たす。
以上のことから、この場合は、 $a$ の値によって、二つの式をともに満たす整数 $x,y,z$ が存在する場合と存在しない場合があることがわかる。
(3) $b$ を整数とする。二つの式が\[ x+2y+bz=1 \quad \cdots ⑧ \]と\[ 5x+6y+3z=5+b \quad\cdots⑨ \]の場合を考える。⑨-⑧×5 から\[ -4y+(3-5b)z=b \quad\cdots ⑩ \]を得る。⑩の左辺の $y$ の係数に着目することにより
$b$ を $4$ で割ったときの余りが $\myBox{タ}$ または $\myBox{チ}$ である
ことは、⑩を満たす整数 $y,z$ が存在するための必要十分条件であることがわかる。ただし、 $\mybox{タ}\lt \mybox{チ}$ とする。
そのときの整数 $y,z$ を⑧に代入すると、 $x$ も整数になる。また、そのときの $x,y,z$ は⑧と⑨をともに満たす。
以上のことから、この場合は、 $b$ の値によって、二つの式をともに満たす整数 $x,y,z$ が存在する場合と存在しない場合があることがわかる。
(4) $c$ を整数とする。二つの式が\[ x+3y+5z=1 \quad \cdots ⑪ \]と\[ cx+3(c+5)y+10z=3 \quad\cdots⑫ \]の場合を考える。これまでと同様に、 $y,z$ についての不定方程式を考察することにより
$c$ を $\myBox{ツテ}$ で割ったときの余りが $\myBox{ト}$ または $\myBox{ナニ}$ である
ことは、⑪と⑫をともに満たす整数 $x,y,z$ が存在するための必要十分条件であることがわかる。
考え方
不定一次方程式の整数解を考える問題です。整数解が存在するための条件を考えるのですが、何に注目すればいいか、意識しながら解いていきましょう。
(2)以降は、小問1つにつき穴埋め1つとなっており、文章も長く、1つ1つが重たいです。適宜、不要なところを飛ばしながら解いていきましょう。
解答編
問題
$x,y,z$ についての二つの式をともに満たす整数 $x,y,z$ が存在するかどうかを考えてみよう。
(1) 二つの式が\[ 7x+13y+17z=8 \quad \cdots ① \]と\[ 35x+39y+34z=37 \quad\cdots② \]の場合を考える。①, ②から $x$ を消去すると\[ \myBox{アイ}y+\myBox{ウエ}z=3 \quad\cdots ③ \]を得る。③を $y,z$ についての不定方程式とみると、その整数解のうち、 $y$ が正の整数で最小になるのは\[ y=\myBox{オ},\ z=\myBox{カキ} \]である。よって、③のすべての整数解は、 $k$ を整数として\[ y=\mybox{オ}-\myBox{クケ}k,\ z=\mybox{カキ}+\myBox{コサ}k \]と表される。これらを①に代入して $x$ を求めると\[ x=31k-3+\dfrac{\myBox{シ}k+2}{7} \]となるので、 $x$ が整数になるのは、 $k$ を $7$ で割ったときの余りが $\myBox{ス}$ のときである。
以上のことから、この場合は、二つの式をともに満たす整数 $x,y,z$ が存在することがわかる。
解説
①×5は\[ 35x+65y+85z=40 \]となります。これから②を引くと\[ 26y+51z=3 \]が得られます。
$26\cdot2+51\cdot(-1)=1$ なので、3倍して\[ 26\cdot 6+51\cdot(-3)=3 \]が得られます。 $y$ が正の整数でこれより小さい整数解はありません。
これらを辺々引くと
\begin{eqnarray}
26(y-6)+51(z+3) &=& 0 \\[5pt]
26(y-6) &=& -51(z+3) \\[5pt]
\end{eqnarray}となります。 $26,51$ は互いに素なので、整数 $k$ を用いて $y-6=-51k$ と表せるので、\[ y=6-51k \]と書けます。これを代入すれば $z+3=26k$ より\[ z=-3+26k \]と表すことができます。
これらを①に代入すると
\begin{eqnarray}
7x+13(6-51k)+17(-3+26k) &=& 8 \\[5pt]
7x+78-13\cdot 51k-51+17\cdot 26k &=& 8 \\[5pt]
7x+13(-51+34)k &=& 8-78+51 \\[5pt]
7x-13\cdot 17k &=& -19 \\[5pt]
7x &=& 221k-19 \\[5pt]
x &=& \frac{221k-19}{7} \\[5pt]
&=& 31k-3+\frac{4k+2}{7} \\[5pt]
\end{eqnarray}となります。$x$ が整数になるのは、最後の分数の部分が整数のときであり、 $4k+2$ が $7$ の倍数のときです。 $k$ を $7$ で割ったときの余りと $4k+2$ を $7$ で割ったときの余りは、次のような関係になっています。
$k$ | 0 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
$4k+2$ | 2 | 6 | 3 | 0 | 4 | 1 | 5 |
これより、 $k$ を $7$ で割った余りが $3$ のときだとわかります。
解答
アイウエ:2651 (2点)
オカキ:6-3 (2点)
クケコサ:5126 (2点)
シ:4 (2点)
ス:3 (2点)
解答編 つづき
問題
(2) $a$ を整数とする。二つの式が\[ 2x+5y+7z=a \quad \cdots ④ \]と\[ 3x+25y+21z=-1 \quad\cdots⑤ \]の場合を考える。⑤-④から\[ x=-20y-14z-1-a \quad\cdots ⑥ \]を得る。また、⑤×2-④×3から\[ 35y+21z=-2-3a \quad\cdots ⑦ \]を得る。このとき
$a$ を $\myBox{セ}$ で割ったときの余りが $\myBox{ソ}$ である
ことは、⑦を満たす整数 $y,z$ が存在するための必要十分条件であることがわかる。そのときの整数 $y,z$ を⑥に代入すると、 $x$ も整数になる。また、そのときの $x,y,z$ は④と⑤をともに満たす。
以上のことから、この場合は、 $a$ の値によって、二つの式をともに満たす整数 $x,y,z$ が存在する場合と存在しない場合があることがわかる。
解説
⑦の左辺は $7$ の倍数なので、 $-2-3a=-(3a+2)$ は $7$ の倍数でないといけません。 $a$ を $7$ で割った余りと $3a+2$ を $7$ で割った余りの関係は次のようになっています。
$a$ | 0 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
$3a+2$ | 2 | 5 | 1 | 4 | 0 | 3 | 6 |
これより、 $a$ を $7$ で割った余りが $4$ のときだとわかります。このとき、⑦の右辺は $7$ で割り切れるため、「 $5y+3z=$ (整数)」という式に変形できます。 $5$ と $3$ は互いに素なので、必ずこれを満たす整数 $y,z$ が存在します。なので、これが求める条件であることがわかります。
解答
セソ:74 (3点)
解答編 つづき
問題
(3) $b$ を整数とする。二つの式が\[ x+2y+bz=1 \quad \cdots ⑧ \]と\[ 5x+6y+3z=5+b \quad\cdots⑨ \]の場合を考える。⑨-⑧×5 から\[ -4y+(3-5b)z=b \quad\cdots ⑩ \]を得る。⑩の左辺の $y$ の係数に着目することにより
$b$ を $4$ で割ったときの余りが $\myBox{タ}$ または $\myBox{チ}$ である
ことは、⑩を満たす整数 $y,z$ が存在するための必要十分条件であることがわかる。ただし、 $\mybox{タ}\lt \mybox{チ}$ とする。
そのときの整数 $y,z$ を⑧に代入すると、 $x$ も整数になる。また、そのときの $x,y,z$ は⑧と⑨をともに満たす。
以上のことから、この場合は、 $b$ の値によって、二つの式をともに満たす整数 $x,y,z$ が存在する場合と存在しない場合があることがわかる。
解説
⑩を満たす整数 $y,z$ が存在するかどうかを考えるためには、係数がどうなっているかを考える必要があります。 $y$ の係数 $4$ と $z$ の係数 $3-5b$ との最大公約数によって、右辺は次のようになっていることが必要です。
・最大公約数が $1$ : 右辺は何でもよい
・最大公約数が $2$ : 右辺は $2$ の倍数
・最大公約数が $4$ : 右辺は $4$ の倍数
これらのケースを考えるために、 $b$ と $3-5b$ について、 $4$ で割った余りの対応を調べると、次のようになります。
$b$ | 0 | 1 | 2 | 3 |
---|---|---|---|---|
$3-5b$ | 3 | 2 | 1 | 0 |
$b$ を $4$ で割ったときの余りが $3$ のとき、 $3-5b$ を $4$ で割った余りが $0$ になるので、 $4$ と $3-5b$ の最大公約数は $4$ となります。このとき、右辺は $4$ の倍数にならなければいけませんが、 $b$ は $4$ で割り切れないため、このケースは該当する組は存在しません。
$b$ を $4$ で割ったときの余りが $1$ のとき、 $3-5b$ を $4$ で割った余りが $2$ になるので、 $4$ と $3-5b$ の最大公約数は $2$ となります。このとき、右辺は $2$ の倍数にならなければいけませんが、 $b$ は $2$ で割り切れないため、このケースは該当する組は存在しません。
$b$ を $4$ で割ったときの余りが $0$ や $2$ のとき、 $4$ と $3-5b$ の最大公約数は $1$ となります。このとき、右辺はなんでもいいので、このケースは該当する組が存在します。
よって、⑩を満たす整数 $y,z$ が存在することと、 $b$ を $4$ で割ったときの余りが $0$ または $2$ となることは同値だとわかります。
解答
タチ:02 (3点)
解答編 つづき
問題
(4) $c$ を整数とする。二つの式が\[ x+3y+5z=1 \quad \cdots ⑪ \]と\[ cx+3(c+5)y+10z=3 \quad\cdots⑫ \]の場合を考える。これまでと同様に、 $y,z$ についての不定方程式を考察することにより
$c$ を $\myBox{ツテ}$ で割ったときの余りが $\myBox{ト}$ または $\myBox{ナニ}$ である
ことは、⑪と⑫をともに満たす整数 $x,y,z$ が存在するための必要十分条件であることがわかる。
解説
⑪を $c$ 倍したものを、⑫から引いて、 $x$ を消すと、次のようになります。\[ 15y+(10-5c)z=3-c \]左辺は $5$ の倍数なので、右辺は $5$ の倍数でないといけません。なので、上を満たす整数 $y,z$ が存在するためには、 $c$ を $5$ で割ったときの余りが $3$ であることが必要です。そこで、 $c=5m+3$ とおくことにします($m$ は整数)。これを上の式に代入すると
\begin{eqnarray}
15y+5(2-c)z &=& 3-c \\[5pt]
15y+5(2-5m-3)z &=& 3-(5m+3) \\[5pt]
15y+5(-5m-1)z &=& -5m \\[5pt]
3y-(5m+1)z &=& -m \\[5pt]
\end{eqnarray}$3$ と $5m+1$ との最大公約数によって、右辺は次のようになっていることが必要です。
・最大公約数が $1$ : 右辺は何でもよい
・最大公約数が $3$ : 右辺は $3$ の倍数
これらのケースを考えるために、 $m$ と $5m+1$ について、 $3$ で割った余りの対応を調べると、次のようになります。
$m$ | 0 | 1 | 2 |
---|---|---|---|
$5m+1$ | 1 | 0 | 2 |
$m$ を $3$ で割ったときの余りが $1$ のとき、 $5m+1$ を $3$ で割った余りが $0$ になるので、 $3$ と $5m+1$ の最大公約数は $3$ となります。このとき、右辺は $3$ の倍数にならなければいけませんが、 $m$ は $3$ で割り切れないため、このケースは該当する組は存在しません。
$m$ を $3$ で割ったときの余りが $0$ や $2$ のとき、 $5m+1$ は $3$ で割り切れないので、 $3$ と $5m+1$ の最大公約数は $1$ となります。このとき、右辺はなんでもいいので、このケースは整数の組 $y,z$ が存在します。
よって、 $m=3n$ または $m=3n+2$ と書けます($n$ は整数)。 $c=5m+3$ に代入すると、 $c=15n+3$ または $c=5(3n+2)+3=15n+13$ となることがわかります。
逆に、 $c$ がこの条件を満たすと、⑪と⑫を満たす整数 $y,z$ が存在し、 ⑪に代入すれば $x$ が整数になることがわかるので、⑪と⑫整数 $x,y,z$ が存在することがわかります。
解答
ツテトナニ:15313 (4点)