共通テスト 数学I・数学A 2023年度追試 第2問 [3] 解説
【必答問題】
問題編
問題
変量 $x,y$ の値の組\[ (-1,-1),\ (-1,1),\ (1,-1),\ (1,1) \]をデータ $W$ とする。データ $W$ の $x$ と $y$ の相関係数は $0$ である。データ $W$ に、新たに1個の値の組を加えたときの相関係数について調べる。なお、必要に応じて、後に示す表1の計算表を用いて考えてもよい。
$a$ を実数とする。データ $W$ に $(5a,5a)$ を加えたデータを $W'$ とする。 $W'$ の $x$ の平均値 $\bar{x}$ は $\dBox{ニ}$、 $W'$ の $x$ と $y$ の共分散 $s_{xy}$ は $\dBox{ヌ}$ となる。ただし、 $x$ と $y$ の共分散とは、 $x$ の偏差と $y$ の偏差の積の平均値である。
$W'$ の $x$ と $y$ の標準偏差を、それぞれ $s_x$, $s_y$ とする。積 $s_x s_y$ は $\dBox{ネ}$ となる。また相関係数が $0.95$ 以上となるための必要十分条件は $s_{xy}\geqq 0.95 s_x s_y$ である。これより、相関係数が $0.95$ 以上となるような $a$ の値の範囲は $\dBox{ノ}$ である。
表1 計算表 $x$ $y$ $x-\bar{x}$ $y-\bar{y}$ $(x-\bar{x})(y-\bar{y})$ $-1$ $-1$ $-1$ $1$ $1$ $-1$ $1$ $1$ $5a$ $5a$ $\dbox{ニ}$ の解答群
0: $0$
1: $5a$
2: $5a+4$
3: $a$
4: $a+\dfrac{4}{5}$$\dbox{ヌ}$ の解答群
0: $4a^2$
1: $4a^2+\dfrac{4}{5}$
2: $4a^2+\dfrac{4}{5}a$
3: $5a^2$
4: $20a^2$$\dbox{ネ}$ の解答群
0: $4a^2+\dfrac{16}{5}a+\dfrac{4}{5}$
1: $4a^2+1$
2: $4a^2+\dfrac{4}{5}$
3: $2a^2+\dfrac{2}{5}$
$\dbox{ノ}$ の解答群
0: $-\dfrac{\sqrt{95}}{4} \leqq a \leqq \dfrac{\sqrt{95}}{4}$
1: $a\leqq -\dfrac{\sqrt{95}}{4},\ \dfrac{\sqrt{95}}{4} \leqq a$
2: $-\dfrac{\sqrt{95}}{5} \leqq a \leqq \dfrac{\sqrt{95}}{5}$
3: $a\leqq -\dfrac{\sqrt{95}}{5},\ \dfrac{\sqrt{95}}{5} \leqq a$
4: $-\dfrac{2\sqrt{19}}{5} \leqq a \leqq \dfrac{2\sqrt{19}}{5}$
5: $a\leqq -\dfrac{2\sqrt{19}}{5},\ \dfrac{2\sqrt{19}}{5}\leqq a$
考え方
具体的な値を使って相関係数を求めさせるのはめずらしいです(標準偏差などの計算結果を与えて相関係数を求めさせるケースは多いですが)。
一般的に共分散や標準偏差の計算は手間ですが、計算が簡単になるように値を選んでくれてますし、計算しやすいように表までつけてくれてます。相関係数の式まで教えてくれていて、単純な計算問題になってしまっています。
【必答問題】
解答編
問題
変量 $x,y$ の値の組\[ (-1,-1),\ (-1,1),\ (1,-1),\ (1,1) \]をデータ $W$ とする。データ $W$ の $x$ と $y$ の相関係数は $0$ である。データ $W$ に、新たに1個の値の組を加えたときの相関係数について調べる。なお、必要に応じて、後に示す表1の計算表を用いて考えてもよい。
$a$ を実数とする。データ $W$ に $(5a,5a)$ を加えたデータを $W'$ とする。 $W'$ の $x$ の平均値 $\bar{x}$ は $\dBox{ニ}$、 $W'$ の $x$ と $y$ の共分散 $s_{xy}$ は $\dBox{ヌ}$ となる。ただし、 $x$ と $y$ の共分散とは、 $x$ の偏差と $y$ の偏差の積の平均値である。
$W'$ の $x$ と $y$ の標準偏差を、それぞれ $s_x$, $s_y$ とする。積 $s_x s_y$ は $\dBox{ネ}$ となる。また相関係数が $0.95$ 以上となるための必要十分条件は $s_{xy}\geqq 0.95 s_x s_y$ である。これより、相関係数が $0.95$ 以上となるような $a$ の値の範囲は $\dBox{ノ}$ である。
表1 計算表 $x$ $y$ $x-\bar{x}$ $y-\bar{y}$ $(x-\bar{x})(y-\bar{y})$ $-1$ $-1$ $-1$ $1$ $1$ $-1$ $1$ $1$ $5a$ $5a$ $\dbox{ニ}$ の解答群
0: $0$
1: $5a$
2: $5a+4$
3: $a$
4: $a+\dfrac{4}{5}$$\dbox{ヌ}$ の解答群
0: $4a^2$
1: $4a^2+\dfrac{4}{5}$
2: $4a^2+\dfrac{4}{5}a$
3: $5a^2$
4: $20a^2$$\dbox{ネ}$ の解答群
0: $4a^2+\dfrac{16}{5}a+\dfrac{4}{5}$
1: $4a^2+1$
2: $4a^2+\dfrac{4}{5}$
3: $2a^2+\dfrac{2}{5}$
$\dbox{ノ}$ の解答群
0: $-\dfrac{\sqrt{95}}{4} \leqq a \leqq \dfrac{\sqrt{95}}{4}$
1: $a\leqq -\dfrac{\sqrt{95}}{4},\ \dfrac{\sqrt{95}}{4} \leqq a$
2: $-\dfrac{\sqrt{95}}{5} \leqq a \leqq \dfrac{\sqrt{95}}{5}$
3: $a\leqq -\dfrac{\sqrt{95}}{5},\ \dfrac{\sqrt{95}}{5} \leqq a$
4: $-\dfrac{2\sqrt{19}}{5} \leqq a \leqq \dfrac{2\sqrt{19}}{5}$
5: $a\leqq -\dfrac{2\sqrt{19}}{5},\ \dfrac{2\sqrt{19}}{5}\leqq a$
解説
平均値は、値をすべて足して個数で割れば求められるので\[ \bar{x}=\frac{-1-1+1+1+5a}{5}=a \]となります。 $y$ の平均値も、同じく $a$ です。
共分散を求めるために、まずは $x$ の偏差と $y$ の偏差の積をすべて足したものを計算しておきます。
\begin{eqnarray}
& & (-1-a)(-1-a)+(-1-a)(1-a)\\
& & +(1-a)(-1-a)+(1-a)(1-a) \\
& & +(5a-a)(5a-a) \\[5pt]
&=& a^2+2a+1+a^2-1+a^2-1 \\
& & +a^2+2a+1+16a^2 \\[5pt]
&=& 20a^2
\end{eqnarray}これを個数 $5$ で割ったものが共分散なので、 $s_{xy}=4a^2$ となります。
次に、標準偏差を求めるために、まずは分散を求めます。 $x$ の偏差の2乗の和は
\begin{eqnarray}
& & (-1-a)^2+(-1-a)^2+(1-a)^2 \\
& & +(1-a)^2+(5a-a)^2 \\[5pt]
&=& 2(a^2+2a+1)+2(a^2-2a+1)+16a^2 \\[5pt]
&=& 20a^2+4 \\[5pt]
\end{eqnarray}となるので、$x$ の分散は\[ \dfrac{20a^2+4}{5}=4a^2+\frac{4}{5} \]となります。 $y$ の分散もおなじなので、標準偏差はどちらも\[ \sqrt{4a^2+\frac{4}{5}} \]となるので、\[ s_xs_y=4a^2+\frac{4}{5} \]となります。
相関係数は $\dfrac{s_{xy}}{s_xs_y}$ と表すことができるので、これが $0.95$ 以上となる場合を考えると
\begin{eqnarray}
s_{xy} & \geqq & 0.95s_xs_y \\[5pt]
4a^2 & \geqq & 0.95 \left( 4a^2+\frac{4}{5} \right) \\[5pt]
400a^2 & \geqq & 380a^2+76 \\[5pt]
20a^2 & \geqq & 76 \\[5pt]
a^2 & \geqq & \frac{76}{20}=\frac{19}{5} \\[5pt]
\end{eqnarray}となるので、\[ a\leqq -\dfrac{\sqrt{95}}{5},\ \dfrac{\sqrt{95}}{5}\leqq a \]となります。
解答
ニ:3 (2点)
ヌ:0 (3点)
ネ:2 (2点)
ノ:3 (2点)