共通テスト 数学I・数学A 2023年度追試 第1問 [1] 解説
【必答問題】
問題編
問題
$k$ を定数として、 $x$ についての不等式\[ \sqrt{5}x \lt k-x \lt 2x+1 \quad \cdots ① \]を考える。
(1) 不等式 $k-x \lt 2x+1$ を解くと\[ x\gt \frac{k-\myBox{ア}}{\myBox{イ}} \]であり、不等式 $\sqrt{5}x \lt k-x$ を解くと\[ x\lt \frac{\myBox{ウエ}+\sqrt{5}}{\myBox{オ}}k \]である。
よって、不等式①を満たす $x$ が存在するような $k$ の値の範囲は\[ k\lt \myBox{カ}+\myBox{キ}\sqrt{5} \quad \cdots ② \]である。
(2) $p,q$ は $p\lt q$ を満たす実数とする。 $x$ の値の範囲 $p\lt x \lt q$ に対し、 $q-p$ をその範囲の幅ということにする。
②が成り立つとき、不等式①を満たす $x$ の値の範囲の幅が $\dfrac{\sqrt{5}}{3}$ より大きくなるような $k$ の値の範囲は\[ k\lt \myBox{クケ}-\myBox{コ}\sqrt{5} \]である。
考え方
(1)の終盤で出てくる「 $x$ が存在するような範囲」とは何を考えればいいか、初見だと難しいかもしれませんが、前半で求めたものをよく考えてみましょう。
(2)は「範囲の幅」という見慣れないものが出てきますが、落ち着いて考えれば何を指しているかは難しくはないでしょう。不等式や有理化の計算をするだけですが、少し手間がかかります。
【必答問題】
解答編
問題
$k$ を定数として、 $x$ についての不等式\[ \sqrt{5}x \lt k-x \lt 2x+1 \quad \cdots ① \]を考える。
(1) 不等式 $k-x \lt 2x+1$ を解くと\[ x\gt \frac{k-\myBox{ア}}{\myBox{イ}} \]であり、不等式 $\sqrt{5}x \lt k-x$ を解くと\[ x\lt \frac{\myBox{ウエ}+\sqrt{5}}{\myBox{オ}}k \]である。
よって、不等式①を満たす $x$ が存在するような $k$ の値の範囲は\[ k\lt \myBox{カ}+\myBox{キ}\sqrt{5} \quad \cdots ② \]である。
解説
\begin{eqnarray} k-x &\lt& 2x+1 \\[5pt] -x-2x &\lt& -k+1 \\[5pt] x &\gt& \frac{-k+1}{-3}=\frac{k-1}{3} \end{eqnarray}となります。また、 \begin{eqnarray} \sqrt{5}x & \lt & k-x \\[5pt] \sqrt{5}x+x & \lt & k \\[5pt] x & \lt & \frac{k}{\sqrt{5}+1} \\[5pt] & = & \frac{(-1+\sqrt{5})k}{(\sqrt{5}+1)(\sqrt{5}-1)} \\[5pt] & = & \frac{-1+\sqrt{5}}{4}k \\[5pt] \end{eqnarray}となります。以上から、不等式①を満たす $x$ が存在するためには、上の2つの不等式を同時に満たすものが存在すればいいので\[ \frac{k-1}{3} \lt \frac{-1+\sqrt{5}}{4}k \]が成り立てばいいことがわかります。これを解くと
\begin{eqnarray}
\frac{k-1}{3} &\lt& \frac{-1+\sqrt{5}}{4}k \\[5pt]
4(k-1) &\lt& 3(-1+\sqrt{5})k \\[5pt]
4k-3(-1+\sqrt{5})k &\lt& 4 \\[5pt]
(7-3\sqrt{5})k &\lt& 4 \\[5pt]
\end{eqnarray}となります。ここで、 $7^2=49$ で $(3\sqrt{5})^2=45$ なので、 $7-3\sqrt{5} \gt 0$ だから
\begin{eqnarray}
k &\lt& \frac{4}{7-3\sqrt{5}} \\[5pt]
&=& \frac{4(7+3\sqrt{5})}{(7-3\sqrt{5})(7+3\sqrt{5})} \\[5pt]
&=& \frac{4(7+3\sqrt{5})}{4} \\[5pt]
&=& 7+3\sqrt{5} \\[5pt]
\end{eqnarray}となります。
解答
アイ:13 (2点)
ウエオ:-14 (2点)
カキ:73 (3点)
解答編 つづき
問題
(2) $p,q$ は $p\lt q$ を満たす実数とする。 $x$ の値の範囲 $p\lt x \lt q$ に対し、 $q-p$ をその範囲の幅ということにする。
②が成り立つとき、不等式①を満たす $x$ の値の範囲の幅が $\dfrac{\sqrt{5}}{3}$ より大きくなるような $k$ の値の範囲は\[ k\lt \myBox{クケ}-\myBox{コ}\sqrt{5} \]である。
解説
②が成り立つとき、不等式①を満たす $x$ の値の範囲は\[ \frac{k-1}{3} \lt x \lt \frac{-1+\sqrt{5}}{4}k \]なので、範囲の幅が $\dfrac{\sqrt{5}}{3}$ より大きくなる時を考えると
\begin{eqnarray}
\frac{-1+\sqrt{5}}{4}k-\frac{k-1}{3} &\gt& \frac{\sqrt{5}}{3} \\[5pt]
3(-1+\sqrt{5})k-4(k-1) &\gt& 4\sqrt{5} \\[5pt]
(-3+3\sqrt{5}-4)k+4 &\gt& 4\sqrt{5} \\[5pt]
(-7+3\sqrt{5})k &\gt& -4+4\sqrt{5} \\[5pt]
\end{eqnarray}となります。 $7\gt 3\sqrt{5}$ なので
\begin{eqnarray}
k &\lt& \frac{-4+4\sqrt{5}}{-7+3\sqrt{5}} \\[5pt]
&=& \frac{4-4\sqrt{5}}{7-3\sqrt{5}} \\[5pt]
&=& \frac{4(1-\sqrt{5})(7+3\sqrt{5})}{(7-3\sqrt{5})(7+3\sqrt{5})} \\[5pt]
&=& \frac{4(7-15-7\sqrt{5}+3\sqrt{5})}{4} \\[5pt]
&=& -8-4\sqrt{5}
\end{eqnarray}と計算できます。
解答
クケコ:-84 (3点)