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京都大学 理学部特色入試 2026年度 第4問 解説

(2025年11月に行われた特色入試の問題です。)

問題編

問題

 $a,b$ を正の実数とし、 $a\gt 1$ とする。定義域を $x\geqq 0$ とする連続関数 $f(x),g(x),h(x)$ が次の3つの等式を満たしているとする。
\begin{eqnarray} f(x) &=& a \exp(-h(x)) \\[5pt] g(x) &=& b\exp\left(\int_0^x(f(y)-1)dy\right) \\[5pt] h(x) &=& \int_0^x g(y)dy \\[5pt] \end{eqnarray}ただし、 $\exp(x)=e^x$ とする。このとき、 $g(x)$ の最大値を求めよ。

考え方

$f$ の定義に $h$ を使っていて、 $h$ の定義に $g$ を使っていて、 $g$ の定義に $f$ を使っているので、循環しています。どれかをどれかに代入、と考えるとループしてしまうので、代入はせずに考えます。どこから手を付ければいいかわかりにくいですが、すぐにわかることから少しずつ積み上げていきましょう。

解答編

問題

 $a,b$ を正の実数とし、 $a\gt 1$ とする。定義域を $x\geqq 0$ とする連続関数 $f(x),g(x),h(x)$ が次の3つの等式を満たしているとする。
\begin{eqnarray} f(x) &=& a \exp(-h(x)) \\[5pt] g(x) &=& b\exp\left(\int_0^x(f(y)-1)dy\right) \\[5pt] h(x) &=& \int_0^x g(y)dy \\[5pt] \end{eqnarray}ただし、 $\exp(x)=e^x$ とする。このとき、 $g(x)$ の最大値を求めよ。

解答

まず、 $g(0)=b$ と $h(0)=0$ がわかる。これより、 $f(0)=a$ である。

$g(x)$ は連続関数なので、 $h(x)$ は微分可能であり
\begin{eqnarray} h'(x)=g(x) \end{eqnarray}となる。これより、 $f(x)$ も微分可能であることがわかり \begin{eqnarray} f'(x) &=& a\exp(-h(x)) \cdot (-h'(x)) \\[5pt] &=& -f(x) \cdot g(x) \\[5pt] \end{eqnarray}となる。また、 $f(x)$ は連続関数なので、 $g(x)$ も微分可能であり \begin{eqnarray} & & g'(x) \\[5pt] &=& b\exp\left(\int_0^x(f(y)-1)dy\right) \cdot (f(x)-1) \\[5pt] &=& g(x) \cdot (f(x)-1) \\[5pt] &=& f(x) \cdot g(x) -g(x) \\[5pt] \end{eqnarray}となることがわかる。以上より \begin{eqnarray} & & f'(x)+g'(x)+h'(x) \\[5pt] &=& -f(x) \cdot g(x)+(f(x) \cdot g(x) -g(x))+g(x) \\[5pt] &=& 0 \end{eqnarray}なので、 $f(x)+g(x)+h(x)$ は定数であることがわかる。\[ f(0)+g(0)+h(0)=a+b+0 \]なので、\[ f(x)+g(x)+h(x)=a+b \]が成り立つ。

問題文の等式より、 $f(x),g(x)$ はつねに正だから、 $f'(x)=-f(x)\cdot g(x)$ はつねに負である。よって、 $f(x)$ は狭義単調減少である。また、 $g'(x)=g(x)\cdot(f(x)-1)$ であり、 $f(0)=a\gt 1$ である。もし、つねに $f(x)\gt 1$ であれば、 $g(x)$ は狭義単調増加となり、 $g(x)\geqq b$ となるから、\[ h(x)\geqq bx \]となってしまうが、\[ h(x)\leqq a+b \]を満たさないので矛盾する。よって、 $f(x)=1$ を満たす $x$ がただ一つ存在する。そのときの $x$ の値を $c$ とおく。

$f(c)=1$ なので、 $g'(c)=0$ であり、 $x\lt c$ で $g'(x)\gt 0$ であり、 $x\gt c$ で $g'(x)\lt 0$ だから、 $g(x)$ は $x=c$ のときに最大となる。また、
\begin{eqnarray} f(c) &=& a \exp(-h(c)) \\[5pt] \exp(h(c)) &=& a \\[5pt] h(c) &=& \log a \\[5pt] \end{eqnarray}なので、 \begin{eqnarray} g(c) &=& a+b-f(c)-h(c) \\[5pt] &=& a+b-1-\log a \\[5pt] \end{eqnarray}となる。

よって、 $g(x)$ の最大値は、 $a+b-1-\log a$ …(答)

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