京都大学 理系 2015年度 第1問 解説
問題編
【問題】
2つの関数 $\displaystyle y=\sin\left( x+\frac{\pi}{8}\right)$ と $y=\sin 2x$ のグラフの $\displaystyle 0\leqq x \leqq \frac{\pi}{2}$ の部分で囲まれる領域を、x軸のまわりに1回転させてできる立体の体積を求めよ。
【考え方】
これは単なる計算問題ですね。2つのグラフもそんなに複雑ではないし、交点が求めづらいわけでもありません。グラフが$x$軸を横断していると計算がめんどくさくなりますが、この問題はそんなこともないです。オーソドックスな問題なので、落ち着いて計算すれば問題ないと思います。
回転体の体積を求める際、$\sin^2x$の積分が出てきますが、半角の公式を使って処理するのもよくあるやり方です。
解答編
【問題】
2つの関数 $\displaystyle y=\sin\left( x+\frac{\pi}{8}\right)$ と $y=\sin 2x$ のグラフの $\displaystyle 0\leqq x \leqq \frac{\pi}{2}$ の部分で囲まれる領域を、x軸のまわりに1回転させてできる立体の体積を求めよ。
【解答】
まずは、2つのグラフの交点を求める。
\begin{eqnarray}
\sin \left( x + \frac{\pi}{8} \right) - \sin 2x
&=&
2\cos \left( \frac{ x + \frac{\pi}{8} + 2x }{2} \right) \sin \left( \frac{ x + \frac{\pi}{8} - 2x}{2} \right) \\[5pt]
&=&
2 \cos \left( \frac{3}{2} x + \frac{\pi}{16} \right) \sin \left( -\frac{1}{2} x + \frac{\pi}{16} \right) \\[5pt]
\end{eqnarray}
$0\leqq x \leqq \frac{\pi}{2}$ の範囲で $\cos \left( \frac{3}{2} x + \frac{\pi}{16} \right)=0$ となるのは、$\frac{3}{2} x + \frac{\pi}{16} = \frac{1}{2}\pi$、つまり、$x=\frac{7}{24}\pi$のとき。
$0\leqq x \leqq \frac{\pi}{2}$ の範囲で $\sin \left( -\frac{1}{2} x + \frac{\pi}{16} \right)=0$ となるのは、$-\frac{1}{2} x + \frac{\pi}{16}=0$、つまり、$x=\frac{1}{8}\pi$のとき。
次に2つの関数の大小関係を求める。$\frac{1}{8}\pi \leqq x \leqq \frac{7}{24}\pi$のとき、$\cos \left( \frac{3}{2} x + \frac{\pi}{16} \right) \geqq 0$で、$\sin \left( -\frac{1}{2} x + \frac{\pi}{16} \right) \leqq 0$なので、この範囲では、$\sin \left( x + \frac{\pi}{8} \right) \leqq \sin 2x$である。
よって、求める体積は
\begin{eqnarray}
& &
\pi \int_{\pi/8}^{7\pi/24} \left\{ \sin^2 2x - \sin^2 \left( x + \frac{\pi}{8} \right) \right\}dx
\\[5pt]
&=&
\pi \int_{\pi/8}^{7\pi/24} \left\{ \frac{1-\cos 4x}{2} - \frac{1-\cos \left(2x+\frac{\pi}{4}\right)}{2} \right\}dx
\\[5pt]
&=&
\frac{\pi}{2} \int_{\pi/8}^{7\pi/24} \left\{ -\cos 4x + \cos \left(2x+\frac{\pi}{4}\right) \right\}dx
\\[5pt]
&=&
\frac{\pi}{2} \left[ -\frac{1}{4}\sin 4x + \frac{1}{2} \sin \left(2x+\frac{\pi}{4} \right) \right]_{\pi/8}^{7\pi/24}
\\[5pt]
&=&
\frac{\pi}{2} \left( - \frac{1}{4}\sin \frac{7}{6}\pi + \frac{1}{2} \sin \frac{5}{6}\pi
+ \frac{1}{4}\sin \frac{\pi}{2} - \frac{1}{2} \sin\frac{\pi}{2}
\right)
\\[5pt]
&=&
\frac{\pi}{2} \left( \frac{1}{8} + \frac{1}{4} + \frac{1}{4}- \frac{1}{2} \right)
\\[5pt]
&=&
\frac{\pi}{16}
\\[5pt]
\end{eqnarray}となる。
【解答終】
【解説】
交点を求めるだけなら、$\sin \left( x + \frac{\pi}{8} \right) = \sin 2x$ から$x + \frac{\pi}{8}=2x$ または $x + \frac{\pi}{8}=\pi-2x$としてもいいかもしれません。しかし、回転体の体積を計算するうえで、大小関係も知る必要があるので、上の解説では和(差)を積に変換する公式を使いました。大小関係に何も言及しないのはまずいです。
$\sin^2$は半角の公式を用いています。こういう変換は積分ではよくでてくるので、使いこなせるようにしておきましょう。