京都大学 文系 2022年度 第4問 解説
問題編
問題
$a,b$ を正の実数とする。直線 $L:ax+by=1$ と曲線 $y=-\dfrac{1}{x}$ との2つの交点のうち、 $y$ 座標が正のものを P、負のものを Q とする。また、 $L$ と $x$ 軸との交点を R とし、$L$ と $y$ 軸との交点を S とする。 $a,b$ が条件\[ \frac{\mathrm{ PQ } }{\mathrm{ RS } }=\sqrt{2} \]を満たしながら動くとき、線分 PQ の中点の軌跡を求めよ。
考え方
まずは、4点の座標を求めます。4点は同一直線上にあるので、線分の比は簡単に計算できます。 $a,b$ が満たす条件がわかれば、中点の座標から軌跡を求めましょう。
解答編
問題
$a,b$ を正の実数とする。直線 $L:ax+by=1$ と曲線 $y=-\dfrac{1}{x}$ との2つの交点のうち、 $y$ 座標が正のものを P、負のものを Q とする。また、 $L$ と $x$ 軸との交点を R とし、$L$ と $y$ 軸との交点を S とする。 $a,b$ が条件\[ \frac{\mathrm{ PQ } }{\mathrm{ RS } }=\sqrt{2} \]を満たしながら動くとき、線分 PQ の中点の軌跡を求めよ。
解答
直線 $L:ax+by=1$ と曲線 $y=-\dfrac{1}{x}$ との交点の $y$ 座標は
\begin{eqnarray}
a\cdot \left(-\frac{1}{y}\right) +by=1 \\[5pt]
by^2-y-a=0 \\[5pt]
\end{eqnarray}を満たす。 $a,b$ は正なので、これを満たす $y$ はつねに存在し、\[ y=\frac{1\pm\sqrt{1+4ab} }{2b} \]と求められる。
これより、P, Q の $y$ 座標の差は\[ \frac{1+\sqrt{1+4ab} }{2b}-\frac{1-\sqrt{1+4ab} }{2b}=\frac{\sqrt{1+4ab} }{b} \]となることがわかる。
R の $y$ 座標は $0$ で、 S の $y$ 座標は $\dfrac{1}{b}$ である。 P, Q, R, S の4点は同一直線上にあるので
\begin{eqnarray}
\frac{\mathrm{ PQ } }{\mathrm{ RS } }
&=&
\frac{\sqrt{1+4ab} }{b} \div \frac{1}{b} \\[5pt]
&=&
\sqrt{1+4ab} \\[5pt]
\end{eqnarray}となる。これが $\sqrt{2}$ となることは $ab=\dfrac{1}{4}$ となることと同値である。このことから、 $a,b$ は $a\gt 0$, $b\gt 0$, $ab=\dfrac{1}{4}$ の3つを満たしながら動くことがわかる。なお、2つ目と3つ目の条件から1つ目の条件が導けるので、$b\gt 0$, $ab=\dfrac{1}{4}$ の2つを満たしながら動くことがわかる。
このとき、 P の $y$ 座標は $\dfrac{1+\sqrt{2} }{2b}$ なので、 $x$ 座標は
\begin{eqnarray}
x &=& -\frac{1}{y} \\[5pt]
&=& -\frac{2b}{1+\sqrt{2} } \\[5pt]
&=& -\frac{2b(1-\sqrt{2})}{1-2} \\[5pt]
&=& 2b(1-\sqrt{2}) \\[5pt]
\end{eqnarray}となる。同様にして Q の $x$ 座標は $2b(1+\sqrt{2})$ と求められる。
よって、 PQ の中点の $x$ 座標は\[ \frac{2b(1-\sqrt{2})+2b(1+\sqrt{2})}{2}=2b \]で、 $y$ 座標は\[ \frac{1}{2} \left(\dfrac{1+\sqrt{2} }{2b}+\dfrac{1-\sqrt{2} }{2b}\right)=\frac{1}{2b} \]となることがわかる。これより、 $y=\dfrac{1}{x}$ が成り立つことがわかり、 $b$ は正の実数全体を動くので、線分 PQ の中点の軌跡は、曲線 $y=\dfrac{1}{x}$ の $x\gt 0$ の部分となる。(答)