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センター試験 数学II・数学B 2016年度追試 第5問 解説

$\def\myBox#1{\bbox[2px, border:2px solid]{ \class{bold}{ \textsf{ #1 } } } }$ $\def\mybox#1{\bbox[2px, border:1px solid gray]{ \textsf{ #1 } } }$ $\def\dBox#1{\bbox[3px, border: 2px solid ]{\bbox[0px, border: 1px solid ]{ \class{bold}{ \textsf{ #1 } } } } }$ $\def\dbox#1{\bbox[4px, border: 1px solid ]{\bbox[0px, border: 1px solid ]{ \textsf{ #1 } } } }$

問題編

問題

(注:正規分布表は省略しています)

 ある母集団の確率分布が平均 m 、標準偏差 $9$ の正規分布であるとする。
 以下の問題を解答するにあたっては、必要に応じて29ページの正規分布表を用いてもよい。

(1) $m=50$ のときに、この母集団から無作為に抽出される標本の値を X とする。このとき\[ P(X\geqq 45.5) = 0.\myBox{アイウエ}, \quad P(X\geqq 63.5) = 0.\myBox{オカキク} \]が成り立つ。

(2) $m=50$ のときに、この母集団から無作為に大きさ $144$ の標本を抽出すると、その標本平均の平均(期待値)は $\myBox{ケコ}$ 、標準偏差は $\myBox{サ}.\myBox{シス}$ である。

(3) 母平均 m が分かっていないときに、無作為に大きさ $144$ の標本を抽出したところ、その標本平均の値は $51.0$ であった。母平均 m に対する信頼度 95% の信頼区間は $\myBox{セソ}.\myBox{タ}\leqq m \leqq \myBox{チツ}.\myBox{テ}$ である。

(4) 母平均 m がわかっていないときに、(3)と同様に、無作為に大きさ $144$ の標本を抽出して母平均 m に対する信頼度 95% の信頼区間を求めることを、304回繰り返す。このとき、それらの信頼区間のうち、母平均 m を含むものの数を Y とすると、確率変数 Y は二項分布に従うので、平均は $\myBox{トナニ}.\myBox{ヌ}$ 、標準偏差は $\myBox{ネ}.\myBox{ノ}$ である。

 $Y\leqq 285$ となる確率の近似値を求めよう。ここで\[ P(Y\leqq 285) = P\left( \frac{Y-\mybox{トナニ}.\mybox{ヌ}}{\mybox{ネ}.\mybox{ノ}} \leqq -\myBox{ハ}.\myBox{ヒフ} \right) \]である。標準正規分布に従う確率変数を Z とすると、304は十分に大きいので、求める確率の近似値は正規分布表から次のように求められる。\[ P\left(Z\leqq -\mybox{ハ}.\mybox{ヒフ}\ \right)=0.\myBox{ヘホ} \]

考え方

(1)は、標準正規分布になるように変形して考えます。(2)は標本平均の基本的な計算です。(3)は、母平均の推定です。

(4)では、「母平均 m に対する信頼度 95% の信頼区間」が「信頼区間に母平均 m が含まれる確率が 95%」と言い換えて解いていきます。ここでは、標本の大きさを使わなくても解けます。


解答編

問題

(注:正規分布表は省略しています)

 ある母集団の確率分布が平均 m 、標準偏差 $9$ の正規分布であるとする。
 以下の問題を解答するにあたっては、必要に応じて29ページの正規分布表を用いてもよい。

(1) $m=50$ のときに、この母集団から無作為に抽出される標本の値を X とする。このとき\[ P(X\geqq 45.5) = 0.\myBox{アイウエ}, \quad P(X\geqq 63.5) = 0.\myBox{オカキク} \]が成り立つ。

解説

標準正規分布に変換するには、 X を $\displaystyle \frac{X-50}{9}$ と置き換えればいいですね。この変換により、 $45.5$ と $63.5$ は、それぞれ
\begin{eqnarray} \frac{45.5-50}{9} &=& -\frac{4.5}{9} = -0.5 \\[5pt] \frac{63.5-50}{9} &=& \frac{13.5}{9} = 1.5 \\[5pt] \end{eqnarray}となります。

正規分布表の $0.50$ の部分を見ると、確率は $0.1915$ なので、
\begin{eqnarray} P(X\geqq 45.5) &=& 0.5+0.1915 \\ &=& 0.6915 \end{eqnarray}となります。

また、 $1.50$ の部分を見ると確率は $0.4332$ なので、
\begin{eqnarray} P(X\geqq 63.5) &=& 0.5-0.4332 \\ &=& 0.0668 \end{eqnarray}となります。

解答

アイウエ:6915
オカキク:0668

解答編 つづき

問題

(2) $m=50$ のときに、この母集団から無作為に大きさ $144$ の標本を抽出すると、その標本平均の平均(期待値)は $\myBox{ケコ}$ 、標準偏差は $\myBox{サ}.\myBox{シス}$ である。

解説

標本平均の平均は、母平均と同じなので、 $50$ です。

標本平均の標準偏差は、母標準偏差を標本数の平方根で割ったものです。なので、
\begin{eqnarray} \frac{9}{\sqrt{144} }=\frac{3}{4}=0.75 \end{eqnarray}と求められます。

解答

ケコ:50
サシス:075

解答編 つづき

問題

(3) 母平均 m が分かっていないときに、無作為に大きさ $144$ の標本を抽出したところ、その標本平均の値は $51.0$ であった。母平均 m に対する信頼度 95% の信頼区間は $\myBox{セソ}.\myBox{タ}\leqq m \leqq \myBox{チツ}.\myBox{テ}$ である。

解説

標本平均を $\bar{X}$ とすると、これは正規分布であり、平均は m で、(2)と同様に計算すると標準偏差が $0.75$ になります。よって、 $\displaystyle \frac{\bar{X}-m}{0.75}$ は標準正規分布となります。

正規分布表より、確率が $0.95\div 2=0.475$ となるのは $1.96$ のところなので\[ P \left(-1.96\leqq \frac{\bar{X}-m}{0.75} \leqq 1.96\right) \fallingdotseq 0.95 \]となります。

\begin{eqnarray} -1.96\leqq \frac{\bar{X}-m}{0.75} \leqq 1.96 \\[5pt] -1.47\leqq \bar{X}-m \leqq 1.47 \\[5pt] \bar{X}-1.47\leqq m \leqq \bar{X}+1.47 \\[5pt] \end{eqnarray}であるので、標本平均の値が $51.0$ であれば、 m に対する信頼度 95% の信頼区間は\[ 49.53 \leqq m \leqq 52.47 \]となります。四捨五入して\[ 49.5 \leqq m \leqq 52.5 \]が答えになります。

解答

セソタ:495
チツテ:525

解答編 つづき

問題

(4) 母平均 m がわかっていないときに、(3)と同様に、無作為に大きさ $144$ の標本を抽出して母平均 m に対する信頼度 95% の信頼区間を求めることを、304回繰り返す。このとき、それらの信頼区間のうち、母平均 m を含むものの数を Y とすると、確率変数 Y は二項分布に従うので、平均は $\myBox{トナニ}.\myBox{ヌ}$ 、標準偏差は $\myBox{ネ}.\myBox{ノ}$ である。

解説

母平均 m がこの信頼区間に含まれる確率は 95% です。その回数が Y なので、Y の平均は、含まれる確率と回数の積となります。よって、\[ 0.95 \times 304 = 288.8 \]となります。

Y は二項分布なので、分散はこの平均に $1-0.95=0.05$ を掛けたものになります。よって、標準偏差は
\begin{eqnarray} \sqrt{304\times 0.95\times 0.05} &=& \sqrt{4^2\cdot19\times 0.1^2\cdot 19\cdot 5\times 0.1^2\cdot 5} \\ &=& 4\times 19\times 5\times 0.01 \\ &=& 3.8 \\ \end{eqnarray}となります。

解答

トナニヌ:2888
ネノ:38

解答編 つづき

問題

 $Y\leqq 285$ となる確率の近似値を求めよう。ここで\[ P(Y\leqq 285) = P\left( \frac{Y-\mybox{トナニ}.\mybox{ヌ}}{\mybox{ネ}.\mybox{ノ}} \leqq -\myBox{ハ}.\myBox{ヒフ} \right) \]である。標準正規分布に従う確率変数を Z とすると、304は十分に大きいので、求める確率の近似値は正規分布表から次のように求められる。\[ P\left(Z\leqq -\mybox{ハ}.\mybox{ヒフ}\ \right)=0.\myBox{ヘホ} \]

解説

Y を $\displaystyle \frac{Y-288.8}{3.8}$ と変形しているので、 $285$ を同じように変形すると
\begin{eqnarray} \frac{285-288.8}{3.8} = \frac{-3.8}{3.8}=-1 \end{eqnarray}となります。

正規分布表で $1.00$ のところをみると、確率は $0.3413$ となることがわかるので、
\begin{eqnarray} P(Z\leqq -1.00) &=& 0.5-P(0\leqq Z\leqq 1.00) \\ &=& 0.5-0.3413 \\ &=& 0.1587 \\ \end{eqnarray}となり、四捨五入して $0.16$ となります。

解答

ハヒフ:100
ヘホ:16

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