【標準】三角比を含んだ式の値

ここでは、三角比を含んだ式の値を求める問題を考えます。【標準】対称式の値で見た内容と、三角比の相互関係を絡ませて解く問題がよく出ます。

例題1

【例題】
$0^{\circ}\leqq\theta\leqq 180^{\circ}$ とする。$\displaystyle \sin\theta+\cos\theta=\frac{2}{3}$ のとき、次の値を求めなさい。
(1) $\sin\theta\cos\theta$
(2) $\sin^3\theta +\cos^3\theta$
(3) $\sin\theta -\cos\theta$

与えられた条件から $\theta$ を求めるのは難しそうです。 $\sin$ だけ、 $\cos$ だけの式にするのも難しそうです。

こういう場合は、 $\theta$ そのものを求めずに式の値を計算していくことになります。そういう時に使えるのが、三角比の相互関係です(参考:【基本】三角比の相互関係(鈍角))。これを使って、問題を考えていきましょう。

与えられた条件や(1)の式 $\sin\theta\cos\theta$ を見ると、相互関係の中で $\sin^2\theta+\cos^2\theta=1$ という式を使うんじゃないかと予想できます。そのため、条件式を2乗してみましょう。
\begin{eqnarray}
( \sin\theta+\cos\theta )^2 &=& \left(\frac{2}{3}\right)^2 \\[5pt] \sin^2\theta +2\sin\theta\cos\theta +\cos^2\theta &=& \frac{4}{9} \\[5pt] 1 +2\sin\theta\cos\theta &=& \frac{4}{9} \\[5pt] \sin\theta\cos\theta &=& \frac{1}{2}\times\left(\frac{4}{9}-1\right) \\[5pt] \sin\theta\cos\theta &=& -\frac{5}{18} \\[5pt] \end{eqnarray}うまい具合に、求めたい値が出てきましたね。2行目から3行目への式変形で、三角比の相互関係を使っています。

例題2

【例題】
$0^{\circ}\leqq\theta\leqq 180^{\circ}$ とする。$\displaystyle \sin\theta+\cos\theta=\frac{2}{3}$ のとき、次の値を求めなさい。
(2) $\sin^3\theta +\cos^3\theta$

次に、(2)を考えてみます。「3乗+3乗」は、因数分解することができますね。
\begin{eqnarray}
& &
\sin^3\theta +\cos^3\theta \\
&=&
(\sin\theta +\cos\theta)(\sin^2\theta -\sin\theta\cos\theta +\cos^2\theta) \\
\end{eqnarray}ここで、条件式、(1)の結果、三角比の相互関係を使うと、次のように計算できます。
\begin{eqnarray}
& &
(\sin\theta +\cos\theta)(\sin^2\theta -\sin\theta\cos\theta +\cos^2\theta) \\
&=&
\frac{2}{3}\times \left(1 +\frac{5}{18} \right) \\
&=&
\frac{23}{27} \\
\end{eqnarray}

また、【標準】対称式の値でも用いた方法ですが、\[ x^3+y^3=(x+y)^3-3xy(x+y) \]と変形することもできます。これを使えば、次のように計算することもできます。
\begin{eqnarray}
& &
\sin^3\theta +\cos^3\theta \\
&=&
(\sin\theta +\cos\theta)^3 -3\sin\theta\cos\theta(\sin\theta+\cos\theta) \\
&=&
\left(\frac{2}{3}\right)^3 -3\times \left(-\frac{5}{18}\right) \times \frac{2}{3} \\[5pt] &=&
\frac{8}{27} +\frac{5}{9} \\[5pt] &=&
\frac{23}{27} \\[5pt] \end{eqnarray}

例題3

【例題】
$0^{\circ}\leqq\theta\leqq 180^{\circ}$ とする。$\displaystyle \sin\theta+\cos\theta=\frac{2}{3}$ のとき、次の値を求めなさい。
(3) $\sin\theta -\cos\theta$

(3)はなかなか難しいですが、三角比の相互関係を使うという発想で、(1)と同様に2乗してみます。
\begin{eqnarray}
& &
(\sin\theta -\cos\theta)^2 \\
&=&
\sin^2\theta -2\sin\theta\cos\theta +\cos^2\theta \\[5pt] &=&
1 -2\times\left(-\frac{5}{18}\right) \\[5pt] &=&
\frac{14}{9} \\[5pt] \end{eqnarray}となります。2行目から3行目の変形で、三角比の相互関係と(1)の結果を使っています。このことから、\[ \sin\theta -\cos\theta=\pm\frac{\sqrt{14}}{3} \]が求められます。しかし、この符号はどうやって決まるのでしょうか。

実は、(1)を見るとその答えが分かります。(1)の結果から、 $\sin\theta\cos\theta$ が負であることがわかるので、 $\cos\theta$ が負で、 $\theta$ が鈍角であることが分かります。よって、 $\sin\theta -\cos\theta$ は正です。つまり、\[ \sin\theta -\cos\theta=\frac{\sqrt{14}}{3} \]となります。

おわりに

ここでは、三角比を含んだ式の値を見てきました。 $\sin^2\theta+\cos^2\theta=1$ という条件が隠れているので難しいですが、これを使いこなして計算するできるようになりましょう。