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【標準】二項定理と式の証明

ここでは、二項定理を使った式の証明問題を見ていきます。二項定理を使うことがわかればそんなに難しくありませんが、それを使うことがひらめかないと解くのがすごく難しくなります。

📘 目次

二項定理に数を代入してみよう

二項定理は、 $(x+y)^n$ の展開に関する定理でしたね。【標準】n乗の展開と二項定理でも書きましたが、具体的に書くと次のようになります。
\begin{eqnarray} & & (x+y)^n \\[5pt] &=& {}_n \mathrm{ C }_n x^n +{}_n \mathrm{ C }_{n-1} x^{n-1} y +{}_n \mathrm{ C }_{n-2} x^{n-2} y^2 +\cdots \\[5pt] & & \cdots +{}_n \mathrm{ C }_{k} x^k y^{n-k} +\cdots +{}_n \mathrm{ C }_1 x y^{n-1} +{}_n \mathrm{ C }_0 y^n \end{eqnarray} ここに数字を入れてももちろん成り立ちます。例えば、 $x=y=1$ としてみましょう。そうすると、 x, y は何乗しても1なので、次のようなシンプルな式になります。
\begin{eqnarray} 2^n &=& {}_n \mathrm{ C }_n +{}_n \mathrm{ C }_{n-1} +{}_n \mathrm{ C }_{n-2} +\cdots \\[5pt] & & \cdots +{}_n \mathrm{ C }_{k} +\cdots +{}_n \mathrm{ C }_1 +{}_n \mathrm{ C }_0 \end{eqnarray}

また、 $x=1$, $y=-1$ とすると、今度は次のような式になります。
\begin{eqnarray} 0 &=& {}_n \mathrm{ C }_n -{}_n \mathrm{ C }_{n-1} +{}_n \mathrm{ C }_{n-2} -\cdots \\[5pt] & & \cdots +(-1)^{n-k} {}_n \mathrm{ C }_{k} +\cdots +(-1)^{n} {}_n \mathrm{ C }_0 \end{eqnarray}

二項定理を使うと、 ${}_n \mathrm{ C }_{k}$ を使ったいろんな式が得られます。しかし、逆に、式を見て二項定理を使うんだ、と気づくのはなかなか難しいです。

二項定理を使った等式の証明

例題
次の等式を証明しなさい。
\begin{eqnarray} & & {}_n \mathrm{ C }_0 -2 {}_n \mathrm{ C }_1 +2^2 {}_n \mathrm{ C }_2 -\cdots \\[5pt] & & \cdots +(-2)^k {}_n \mathrm{ C }_{k} +\cdots +(-2)^n {}_n \mathrm{ C }_n \\ &=& (-1)^n \end{eqnarray}

この式を見て「二項定理を使えば証明できる」と気づくのはなかなか難しいのではないでしょうか。まずは ${}_n \mathrm{ C }_{k}$ を式変形してみる、という行動をとってしまいがちです。

1つ注目すべきなのは、左辺の各項に ${}_n \mathrm{ C }_{k}$ がついていることです。このことから、二項定理を思い出さなければいけません。

二項定理では、 $x^k y^{n-k}$ の形の項が出てきますが、それに対応するものを式の中から探すと $(-2)^k$ だと気付きます。なので、片方が $1$ で、もう片方が $-2$ なんだろう、と予想できます。そして、右辺を見ると $(-1)^n=(1-2)^n$ と変形できることから、 $x=1$ で $y=-2$ とすればよさそうだ、と考えられます。

これを踏まえて二項定理を使いましょう。二項定理より、次の等式が成り立ちます。
\begin{eqnarray} & & {}_n \mathrm{ C }_n -2 {}_n \mathrm{ C }_{n-1} +2^2 {}_n \mathrm{ C }_{n-2} -\cdots \\[5pt] & & \cdots +(-2)^k {}_n \mathrm{ C }_{n-k} +\cdots +(-2)^n {}_n \mathrm{ C }_0 \\ &=& (-1)^n \end{eqnarray}また、一般的に、 ${}_n \mathrm{ C }_{n-k}={}_n \mathrm{ C }_k$ が成り立ちます(参考:【標準】組合せ#残す方法)。これを代入すると、与えられた式が得られます。

おわりに

ここでは、二項定理を使った式の証明問題を見ました。式の形を見て「二項定理を使う」ことに気づかないと、証明するのはとても難しいです。大量の ${}_n \mathrm{ C }_{k}$ を見て、ピンと来るようにしましょう。

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