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【基本】補集合の要素の個数

ここでは、補集合の要素の個数を数える問題を見ていきます。ここでも、【基本】和集合の要素の個数と同様に、倍数の個数に関する問題を見ていきます。なお、【標準】反対側を数えるの内容も参考になるでしょう。

📘 目次

割り切れないものの個数

例題
1から100までの整数のうち、次の個数を求めなさい。
(1) 2で割り切れないもの
(2) 7で割り切れないもの
(3) 3で割り切れるが、5で割り切れないもの

【基本】集合の要素の個数では、倍数の個数を考えましたが、ここでは「倍数でない」ものの個数を考えます。

(1)は、具体的に書くと、 $1,3,5,\cdots, 99$ ですね。これが何個あるかを数えるのは少し大変そうです。【基本】集合の要素の個数では、「3の倍数」を「3×〇」と書くと数えやすくなったので、ここでも同じようにしてみます。

といっても、2では割れないので、次のように商と余りを使って書いてみます。\[ 2\times0+1,\ 2\times1+1,\ 2\times2+1,\ \cdots ,\ 2\times49+1 \]「×」の後の数字を見れば、数えやすくなります。「0から49までの数」なので、全部で50個だとわかりますね(49個じゃないです!)。

続いて、「(2) 7で割り切れないもの」を考えてみましょう。具体的に書くと\[ 1,2,3,4,5,6,8,9,10,11,\cdots ,96,97,99, 100 \]となります。なんだか多そうです。先ほどと同じように、商と余りを使って書いてみると

$7\times0+1$
$7\times0+2$
$7\times0+3$
$7\times0+4$
$7\times0+5$
$7\times0+6$
$7\times1+1$
$7\times1+2$
 $\vdots$
$7\times13+5$
$7\times13+6$
$7\times14+1$
$7\times14+2$

となります。7で割ったときの商は、0から14まであります。商が0から13までのときは「余りは1から6の6通り」、商が14のときは「余りは1か2の2通り」なので、個数を数えると\[ 14\times 6 + 2=86 \]個となります。結構大変ですね。

補集合の要素数を考える

「7で割り切れないもの」を考えるのは結構大変でした。一方、【基本】集合の要素の個数で見た通り、「割り切れるもの=倍数」を数えるのは簡単でした。

よく考えると、今考えている世界「1から100までの整数全体」の中では、「7で割り切れないもの」と「7で割り切れるもの」の2種類しかありません。

この2種類しかないし、この2つはダブっていません。ということは、「7で割り切れないものを数える」には、「全体から、7で割り切れるものの個数をひく」ことでも求められることがわかります。全体の個数も7で割り切れるものの個数も数えやすいんだから、こっちのほうが楽に数えられます。実際にやってみましょう。

全体の個数(上の図の長方形の部分)とは、「1から100までの整数の個数」なので100個です。次に、7で割り切れるもの(色のついた部分)を考えます。 $100\div7=14.\cdots$ なので、7の倍数は $7\times1$, $7\times2$, $7\times3$, $\cdots$, $7\times14$ の14個であることがわかります。「7で割り切れないもの=7で割り切れるもの以外」(白い円の部分)が求めたいものなので\[ 100-14=86 \]個と求められます。上と同じ結果です。しかも、こっちのほうが楽ですね。

このように、「〇〇でないものの個数」を数えるときに「〇〇であるものの個数」の方が数えやすい場合は、補集合の要素数を数えたほうが楽に解けることがあるんですね。なお、補集合は、【基本】補集合で出てきた内容です。

最後の例題

最後に、「(3) 3で割り切れるが、5で割り切れないもの」を考えてみます。「割り切れないもの」なので、反対側を数えればいいんじゃないかという発想が出てきます。先ほどと同じように、ベン図をかいてみます。

今数えたいのは、色のついた部分です。数えやすい部分を組み合わせて、うまく数える方法を考えてみましょう。

まず、3の倍数(左側の円)を数えるのは簡単です。 $100\div3$ の商は33なので、33個です。しかし、これには2つの円が交わっている部分が含まれてしまっています。この重なっている部分は「3の倍数でも5の倍数でもある」数なので、「15の倍数」ということですね。つまり、15の倍数の個数を引けば、求めたい個数が求められる、ということです。$100\div15$ の商は6なので\[ 33-6=27 \]個が答えとなります。

この解き方は、「3で割り切れるが、5で割り切れないもの」を数えるために、「3で割り切れるもの」から「3でも5でも割り切れるもの」を引いて求めた、ということですね。

おわりに

ここでは、「〇〇でないものの個数」を数えるときに、「〇〇であるものの個数」を数えて全体から引く方法を見てきました。式を使ってまとめると、次のようになります。

補集合の要素の個数
全体集合を U とするとき、次が成り立つ。
\begin{eqnarray} & & n(\bar{A}) = n(U) -n(A) \\[5pt] & & n(B\cap\bar{A}) = n(B) -n(B\cap A) \end{eqnarray}
「じゃないほう」を数えるときにはよく使うテクニックなので、直接数えにくい場合は、この技が使えないか検討してみましょう。

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