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【標準】実数の2乗と不等式の証明

ここでは、実数の2乗を使った、不等式の証明問題を見ていきます。実数の2乗が複数ある場合を見ていきます。

📘 目次

実数の2乗の和

【基本】実数の2乗と不等式の証明でも見ましたが、実数を2乗するとゼロ以上になるんでしたね。ここでは、実数の2乗の和について考えてみましょう。

実数 a, b に対して、 $a^2$ も $b^2$ もゼロ以上です。なので、この和も0以上になります。つまり、次の不等式が、どんな実数に対しても成り立ちます。\[ a^2+b^2\geqq 0 \]

この等号はいつ成り立つでしょうか。 $a^2$ も $b^2$ もゼロ以上なので、左辺がゼロになるのは、 $a^2$ も $b^2$ もゼロになるとき、つまり、 $a=b=0$ のときであることがわかります。

これらの内容も、よく考えれば当たり前のことですが、実際にどう使うかを次の例題で確認してみましょう。

実数の2乗の和に関する不等式の例題

例題
実数 a, b に対して、次の不等式が成り立つことを示しなさい。また、等号がいつ成立するかも答えなさい。\[ a^2-ab+b^2 \geqq 0 \]

$a^2$ も $b^2$ もゼロ以上ですが、問題は $-ab$ です。これはマイナスになることもあります。実際、 $a=b=1$ とすれば、 $-ab=-1$ なので負です。もちろん、左辺全体では0以上になりますが。

さて、このような $-ab$ の部分はどうすればいいでしょうか。2乗ではないので、ここがゼロ以上になることは言えないし、実際にゼロ以上になるとは限りません。

実は、これに似たことは、昔、二次関数のところでやったことがあるんですね。【標準】二次関数y=ax^2+bx+cのグラフ(具体例)では、 $y=ax^2+bx+c$ のグラフをかくときに、 $bx$ が邪魔なので、平方完成をしました。ここでも $-ab$ が邪魔なので、平方完成をしてみましょう。

$a$ の二次式だと思って、左辺を平方完成すると、次のようになります。
\begin{eqnarray} & & a^2-ab+b^2 \\[5pt] &=& \left( a-\frac{b}{2} \right)^2 -\frac{1}{4}b^2+b^2 \\[5pt] &=& \left( a-\frac{b}{2} \right)^2 +\frac{3}{4}b^2 \\[5pt] \end{eqnarray}

この最後の式をよく見ると、「実数の2乗+実数の2乗」となっています。ともにゼロ以上なので、最後の式から左辺がゼロ以上であることがわかります。これで、不等式が成り立つことが示せました。

また、等号が成立するのは、それぞれの項がゼロになるときです。つまり、 $a-\dfrac{b}{2}=0$ かつ $b=0$ のときです。これらから、等号が成立するのは $a=b=0$ のときであることがわかります。

2乗足す2乗がゼロ以上になること、2乗足す2乗がゼロなら各項がゼロになること、これらが成り立つことはすぐにわかりますが、証明問題で使うには、上のような変形が必要となります。

おわりに

ここでは、実数の2乗の和に関する不等式の問題を見てみました。どのように使うかは問題によって違いますが、基本的な使い方はこのページでおさえておきましょう。

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