【標準】円の極方程式
ここでは、円の極方程式を見ていきます。中心が始線上にない場合を扱います。
円の極方程式その1
ここでは、円の極方程式を見ていきますが、まずは、直交座標での方程式を変換する方法を使ってみます。
直交座標で表された、次の方程式を考えます。\[ (x-\sqrt{3})^2+(y-1)^2=4 \]もちろん、これは、中心 $(\sqrt{3},1)$ で半径が $2$ の円です。これを極方程式に変換してみましょう。
直交座標と極座標の間には、次のような関係式があるのでした。(参考:【基本】極座標)\[ x=r\cos\theta,\ y=r\sin\theta \]これを上の式に代入してみましょう。途中で、 $x^2+y^2=r^2$ という関係式も使っています。
\begin{eqnarray}
(x-\sqrt{3})^2+(y-1)^2 &=& 4 \\[5pt]
x^2-2\sqrt{3}x+3+y^2-2y+1 &=& 4 \\[5pt]
r^2-2\sqrt{3}r\cos\theta -2r\sin\theta &=& 0 \\[5pt]
r(r-2\sqrt{3}\cos\theta-2\sin\theta) &=& 0 \\[5pt]
\end{eqnarray}よって、 $r=0$ または $r=2\sqrt{3}\cos\theta+2\sin\theta$ となります。後者の式に $\theta=\dfrac{2}{3}\pi$ を代入すると $r=0$ が得られるので、前者は後者に含まれています。そのため、\[ r=2\sqrt{3}\cos\theta+2\sin\theta \]が、中心 $\left(2,\dfrac{\pi}{6}\right)$ で半径が $2$ の円の極方程式となります。
最後に出てきた極方程式の形では、中心の $\dfrac{\pi}{6}$ との関係がわかりにくいですね。極方程式をもう少し変形してみます。
$\sin$ で合成をすると\[ r=4\sin\left(\theta+\frac{\pi}{3}\right) \]となり、 $\dfrac{\pi}{6}$ がでてきません。しかし、 $\cos$ で合成をすると、(加法定理を使って変形したときに角度がうまくいくようにすると)\[r=4\cos\left(\theta-\frac{\pi}{3}\right)\]となります。この形であれば、式に $\dfrac{\pi}{3}$ が出てきて、角度と極方程式が対応しているように見えますね。
円の極方程式その2
先ほど見た内容を踏まえて、今度は図形を使って考えてみます。より一般的な場合を考えます。
極座標で考えます。中心が $(a,\alpha)$ で半径が $a$ の円を考えます。つまり、極を通る円を考えます。
円周上の点 $\mathrm{P}$ をとってきます。また、 $\mathrm{B}(2a,\alpha)$ とします。
点 $\mathrm{P}$ が $\mathrm{OB}$ 上にない場合は、三角形 $\mathrm{OBP}$ は直角三角形であり、 $\angle\mathrm{BOP}=\theta-\alpha$ なので、\[ r=2a \cos(\theta-\alpha) \]が成り立ちます。
もちろん、これに $(a,\alpha)=\left(2,\dfrac{\pi}{3}\right)$ を代入すれば、先ほどの式と一致します。
こうして、一般的な円の極方程式が得られました。
中心が始線上にあるときは、 $\alpha=0$ なので、極方程式は\[ r=2a\cos\theta \]となり、【基本】円の極方程式で見た内容と同じになります。
おわりに
ここでは、円の中心が始線上にない場合の極方程式を見ました。始線上にあるときと比べて式は少し複雑になるだけですが、導くのは少し思いつきにくくなります。