【標準】二変数二次関数の最大・最小
ここでは、 $x,y$ という2つの変数が入った二次関数の最大・最小を考えます。2つの変数が独立して自由に動く場合を考えます。
例題1
$x,y$ という2つの変数が入った二次関数の最小値を求める問題です。変数が1つの場合、最大値や最小値を求めるには、平方完成をしました。今回も、平方完成を行います。
今の場合は、$x$ だけの部分と $y$ だけの部分にわけることができるので、分けて考えるといいです。
\begin{eqnarray}
& &
x^2+2x+3y^2+4y+5 \\[5pt]
&=& (x+1)^2-1+3\left(y+\frac{2}{3}\right)^2-\frac{4}{3}+5 \\[5pt]
&=& (x+1)^2+3\left(y+\frac{2}{3}\right)^2+\frac{8}{3} \\[5pt]
\end{eqnarray}となります。2乗の部分は $0$ 以上なので、全体では $\dfrac{8}{3}$ 以上であることがわかります。最小値を考えるには、2乗の部分が全部 $0$ のときを考えればいいですね。なので、 $x=-1$, $y=-\dfrac{2}{3}$ のときに、最小値 $\dfrac{8}{3}$ をとることがわかります。これが答えです。
例題2
今回も基本的には平方完成をします。ただ、 $-2xy$ の部分が少しやっかいそうです。 $x$ と $y$ が混ざっています。
このように2つの文字が混ざっている場合は、とりあえず、どちらかの文字に着目して考えるといいです。
まずは、 $x$ について考えることにしましょう。 $y$ は2乗の部分の係数が $1$ ではなく、計算しづらそうなので、後回しにしましょう。
\begin{eqnarray} & & x^2-2xy+3y^2+4x-5y+6 \\[5pt] &=& x^2+(-2y+4)x+3y^2-5y+6 \\[5pt] &=& (x-y+2)^2-(-y+2)^2+3y^2-5y+6 \\[5pt] &=& (x-y+2)^2+2y^2-y+2 \\[5pt] \end{eqnarray}こうして、残った部分はただの $y$ の二次関数なので、さらに平方完成をします。
\begin{eqnarray} & & x^2-2xy+3y^2+4x-5y+6 \\[5pt] &=& (x-y+2)^2+2y^2-y+2 \\[5pt] &=& (x-y+2)^2+2\left(y-\frac{1}{4}\right)^2-\frac{1}{8}+2 \\[5pt] &=& (x-y+2)^2+2\left(y-\frac{1}{4}\right)^2+\frac{15}{8} \\[5pt] \end{eqnarray}2乗の部分は $0$ 以上なので、全体では $\dfrac{15}{8}$ 以上だとわかります。最小値が $\dfrac{15}{8}$ かどうかは、2乗の部分がすべて $0$ になることがあるかどうかによります。つまり、次の2つを満たす $x,y$ が存在するかどうかを考えないといけません。
\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} x-y+2=0 \\ y-\dfrac{1}{4}=0 \end{array} \right. \end{eqnarray} これを解くと、 $x=-\dfrac{7}{4}$, $y=\dfrac{1}{4}$ となり、このときに2乗の部分がどちらも $0$ になることがわかります。以上から、 $x=-\dfrac{7}{4}$, $y=\dfrac{1}{4}$ のときに、最小値 $\dfrac{15}{8}$ をとることがわかります。
おわりに
ここでは、 $x,y$ という2つの変数が入った二次関数の最大・最小を考えました。ここで扱った問題は、2つの変数が独立して自由に動く場合でしたが、この場合は、平方完成をすればほぼ解決します。2つの変数が条件付きで動く場合は、もう少し考えないといけないことが増えますが、それについては別ページの 【応用】二変数二次関数の最大・最小(条件付) や 【応用】二変数二次関数の最大・最小(隠れた条件付) を見てみましょう。