【標準】整式の積分の計算
ここでは、積分の性質を使って、いろいろな整式の積分の計算を見ていきます。
被積分関数をまとめる
(1) $\displaystyle \int (x+1)^3 dx -\int (x-1)^3 dx$
(2) $\displaystyle \int_{-1}^1 (x+1)^3 dx -\int_{-1}^1 (x-1)^3 dx$
(1)は不定積分、(2)は定積分です。
どちらも、それぞれの積分を計算してから引く、とやってもいいのですが、もう少し簡単に計算できます。【基本】整式の不定積分や【基本】定積分の性質で見たように、「和の積分 と 積分の和 は等しい」が成り立ちます。これは、引き算の場合も成り立ちます。つまり、積分される関数(被積分関数といいます)を引いてから積分すればいいんですね。
(1)は次のように計算できます。
\begin{eqnarray}
& &
\int (x+1)^3 dx -\int (x-1)^3 dx \\[5pt]
&=&
\int \{ (x+1)^3-(x-1)^3 \} dx \\[5pt]
&=&
\int (6x^2+2) dx \\[5pt]
&=&
2x^3+2x+C \\[5pt]
\end{eqnarray}このように計算できます(C は積分定数)。
同様に、(2)は
\begin{eqnarray}
& &
\int_{-1}^1 (x+1)^3 dx -\int_{-1}^1 (x-1)^3 dx \\[5pt]
&=&
\int_{-1}^1 \{ (x+1)^3-(x-1)^3 \} dx \\[5pt]
&=&
\int_{-1}^1 (6x^2+2) dx \\[5pt]
&=&
\Big[ 2x^3+2x \Big]_{-1}^1 \\[5pt]
&=&
(2+2)-(-2-2) \\[5pt]
&=&
8 \\[5pt]
\end{eqnarray}と計算できます。定積分の場合は、積分区間が一致している必要がある、ということに注意しましょう。積分区間が異なる場合は、それぞれの積分を計算することになります(もしくは、積分区間がかぶっているところだけまとめて、他の部分は別に計算する)。
積分区間をまとめる
これも、もちろん、それぞれの積分を計算してから引く、とやってもいいのですが、積分される関数(被積分関数)を見ると、まとめることができそうですね。もしまとめられれば、計算回数を減らすことができます。
しかし、積分区間は、 $-2$ から $1$ まで、と、 $2$ から $1$ まで、となっています。そのため、【基本】定積分の性質で見たように、積分区間をまとめることは、このままの状態ではできません。ただ、2つ目の積分の前にはマイナスがついていますね。同じリンク先で見たように、積分区間のスタートとエンドを入れ替えると、符号が反転します。つまり、
\begin{eqnarray}
-\int_2^1 x dx =\int_1^2 x dx
\end{eqnarray}が成り立ちます。このように変形すれば、積分区間は、 $-2$ から $1$ まで、と、 $1$ から $2$ まで、となり、さらに、被積分関数も同じであるため、まとめることができます。こうして、次のように計算することができます。
\begin{eqnarray}
& &
\int_{-2}^1 x dx -\int_2^1 x dx \\[5pt]
&=&
\int_{-2}^1 x dx +\int_1^2 x dx \\[5pt]
&=&
\int_{-2}^2 x dx \\[5pt]
&=&
\Big[ \frac{1}{2}x^2 \Big]_{-2}^2 \\[5pt]
&=&
\frac{4-4}{2} \\[5pt]
&=&
0 \\[5pt]
\end{eqnarray}となります。2つの積分をそれぞれ計算するよりも、まとめられる場合はまとめたほうが計算が簡単になる場合が多いです。
ただ、注意としては、被積分関数が同じでないといけないこと、そして、積分区間がきちんとつながっていること(a→c, c→b となっていること)、この2つが満たされていないとまとめられない、という点です。この点に注意して計算しましょう。
おわりに
ここでは、整式の積分を計算する際、被積分関数をまとめたり、積分区間をまとめることで、計算が楽になる例を見ました。使いどころには注意が必要ですが、積分の計算は面倒なことが多いため、楽ができる場合は楽ができる方法を積極的に使うようにしましょう。