【標準】相加・相乗平均の関係
ここでは、相加・相乗平均の関係を使った不等式の証明問題を考えます。この関係をどう使えばいいか、いくつかの例を見ながら身につけていきましょう。
相加・相乗平均の関係を使った不等式の証明問題
相加・相乗平均の関係とは、次のような内容でした。
条件は正であることだけなので、使える箇所はすごくたくさんあります。たくさんあることはとてもいいのですが、条件がシンプル過ぎて、逆に、条件を見てもピンとこないので、困ってしまいます。
この問題文を見ても、はじめはなかなか「相加・相乗平均の関係を使う」とは気づきにくいです。しかし、使ってみると、次のようにうまくいくことがわかります。
$x\gt 0$ なので、 $\dfrac{1}{x} \gt0$ も成り立ちます。よって、相加・相乗平均の関係より
\begin{eqnarray}
& &
x+\frac{1}{x} \\[5pt]
&\geqq &
2\sqrt{ x\times\frac{1}{x} } \\[5pt]
&=&
2
\end{eqnarray}が成り立つことがわかります。うまい具合に、 $x$ と $\dfrac{1}{x}$ が消えてくれました。これで、不等式が成り立つことはわかりました。
等号が成り立つのは、足しているものが等しいとき、つまり、 $x=\dfrac{1}{x}$ のときです。今、 $x\gt 0$ なので、この式から $x=1$ のときであることがわかります。
もう一問、見てみましょう。
これも、先ほどと同様に、 $3a$ と $\dfrac{2}{a}$ を掛けると文字が消えることを思い描きつつ、考えていきます。
$a\gt 0$ より、 $3a,\dfrac{2}{a}\gt 0$ だから、相加・相乗平均の関係より
\begin{eqnarray}
& &
3a+\frac{2}{a} \\[5pt]
&\geqq&
2\sqrt{3a\times\frac{2}{a} } \\[5pt]
&=&
2\sqrt{6} \\[5pt]
\end{eqnarray}が成り立ちます。また、等号が成り立つのは、 $3a=\dfrac{2}{a}$ のとき、つまり、 $a=\dfrac{\sqrt{6} }{3}$ であることがわかります。
これらが、相加・相乗平均の関係を使った、シンプルな不等式の証明問題です。
おわりに
ここでは、相加・相乗平均の関係を使った、不等式の証明問題を見てきました。相乗平均が定数になることを利用した例を見ました。相加・相乗平均の関係は使い勝手がいいので、不等式の証明問題などで使えることができるかどうかよく考えるようにしましょう。