【標準】等比数列の和
ここでは、等比数列の和に関する例題を見ていきます。
等比数列の和
【基本】等比数列の和で見た通り、初項が a で、公比が $r(\ne 1)$ で、項数が n の等比数列の和は、\[ \frac{a(r^n-1)}{r-1} \]となります。また、同じ内容ですが、分母・分子に $-1$ を掛けた次の式\[ \frac{a(1-r^n)}{1-r} \]も使われます。どちらを用いても構いませんが、公比が $1$ より大きいときは前者を、 $1$ より小さいときは後者を使うと、分母の符号がプラスとなるので考えやすくなります。
例えば、初項が $1$ で、公比が $2$ で、項数が $n$ の等比数列の和は、1つ目の式を使って
\begin{eqnarray}
\frac{1(2^n-1)}{2-1}=2^n-1
\end{eqnarray}となります。
また、初項が $0.3$ で、公比が $0.1$ で、項数が $n$ の等比数列の和は、2つ目の式を使って
\begin{eqnarray}
\frac{0.3(1-0.1^n)}{1-0.1}=\frac{1}{3}(1-0.1^n)
\end{eqnarray}となります。ちなみに、カッコ内は、 $0.99\cdots9$ という数字( $9$ が n 個並ぶ数)なので、この和は $0.33\cdots3$ という数字( $3$ が n 個並ぶ数)となります。
項数が少ない場合は、項を具体的に求めて計算することもできます。しかし、項数が多い場合や、項数が具体的な数でない場合(上の例のように、項数が n のときなど)は、上の公式を使うことが多いです。
項数が3の等比数列の和
等比数列の和に関して、項数が3の場合の問題を考えてみましょう。
項数が少ないので、具体的に書いて考えてみます。
一般項は $ar^{n-1}$ と書けます(参考:【基本】等比数列)。なので、第2項の条件から\[ ar=12 \]が成り立ちます。また、第3項までの和の条件から\[ a+ar+ar^2=52 \]が成り立ちます。
1つ目の式から $a=\dfrac{12}{r}$ と変形できるので、これを2つ目の式に代入すれば r だけの式になります。ただ、分数が出てくるので、もう少しうまいやり方で代入しましょう。2つ目の式の両辺に r を掛けたほうが、変形が少し楽になります。掛けた結果は\[ ar+ar^2+ar^3=52r \]となります。こうして $ar=12$ を代入すれば
\begin{eqnarray}
12+12r+12r^2 &=& 52r \\[5pt]
12r^2-40r+12 &=& 0 \\[5pt]
3r^2-10r+3 &=& 0 \\[5pt]
(3r-1)(r-3) &=& 0 \\[5pt]
r &=& 3,\frac{1}{3} \\[5pt]
\end{eqnarray}と求められます。 $a=\dfrac{12}{r}$ を2つ目の式に代入しても、途中から同じ流れになるのですが、上のように計算したほうが間違いが減るのではないかと思います。「等比数列の和に公比を掛ける」という発想は、【基本】等比数列の和でも出てきましたし、今後も登場する考え方です。
さて、公比が求められました。それぞれに対応する初項を求めましょう。
$ar=12$ なので、 $r=3$ のときは $a=4$ であり、 $r=\dfrac{1}{3}$ のときは $a=36$ となります。
よって、答えは、\[ (a,r)=(4,3),\left(36,\dfrac{1}{3}\right) \]となります。ちなみに、前者の場合、数列は $4,12,36$ となり、後者の場合は $36,12,4$ となります。順番が逆になっているんですね。
おわりに
ここでは、等比数列に関連する問題を見てきました。項数が少ない場合は直接書き出して、項数が多い場合・一般の場合は公式を使って考えるようにしましょう。