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【標準】標本平均の分布と正規分布

ここでは、標本平均の分布と正規分布に絡んだ問題を見ていきます。

📘 目次

例題1

例題
母平均 $50$、母標準偏差 $10$ をもつ母集団があるとします。正規分布表を使って以下の問いに答えなさい。
(1) 大きさ $400$ の無作為標本を抽出するとき、その標本平均 $\bar{X}$ が $51$ より大きい値をとる確率を求めなさい。四捨五入して、小数第2位まで求めなさい。
(2) 標本平均が $51$ より大きい値をとる確率が $0.006$ 以下となるようにするには、標本の大きさをいくつ以上にする必要があるか答えなさい。一の位を四捨五入して答えなさい。

【基本】標本平均の分布で見た内容を踏まえて考えていきます。

標本平均の平均は、母平均と同じ $50$ です。また、標本平均の標準偏差は、母標準偏差を、標本の大きさのルートで割った $\dfrac{10}{\sqrt{400}}=0.5$ となります。

よって、 $Z=\dfrac{\bar{X}-50}{0.5}$ は、近似的に標準正規分布に従います。
\begin{eqnarray} \bar{X} \gt 51 \\[5pt] \bar{X}-50 \gt 1 \\[5pt] \frac{\bar{X}-50}{0.5} \gt \frac{1}{0.5} \\[5pt] Z \gt 2 \\[5pt] \end{eqnarray}であり、正規分布表を使うと \begin{eqnarray} P(\bar{X} \gt 51) &=& P(Z \gt 2) \\[5pt] &=& 0.5-P(0\leqq Z \leqq 2) \\[5pt] &=& 0.5-0.4772 \\[5pt] &=& 0.1228 \end{eqnarray}となるので、答えは $0.12$ となります。

例題2

例題
母平均 $50$、母標準偏差 $10$ をもつ母集団があるとします。
(1) 大きさ $400$ の無作為標本を抽出するとき、その標本平均 $\bar{X}$ が $51$ より大きい値をとる確率を求めなさい。四捨五入して、小数第2位まで求めなさい。
(2) 標本平均が $51$ より大きい値をとる確率が $0.006$ 以下となるようにするには、標本の大きさをいくつ以上にする必要があるか答えなさい。一の位を四捨五入して答えなさい。

標本の大きさを $n$ とすると、標準偏差は $\dfrac{10}{\sqrt{n}}$ となります。

$Z=\dfrac{\bar{X}-50}{10/\sqrt{n}}$ は、近似的に標準正規分布に従います。
\begin{eqnarray} \bar{X} \gt 51 \\[5pt] \bar{X}-50 \gt 1 \\[5pt] \frac{\bar{X}-50}{10/\sqrt{n}} \gt \frac{1}{10/\sqrt{n}} \\[5pt] Z \gt \frac{\sqrt{n}}{10} \\[5pt] \end{eqnarray}となります。

ここで、 $P(Z\gt z_0)\leqq 0.006$ とは $P(0\leqq Z\leqq z_0)\geqq 0.494$ と同値であり、正規分布表を使うとこれを満たす最小の $z_0$ は $2.51$ です。なので、
\begin{eqnarray} 2.51 \leqq \frac{\sqrt{n}}{10} \\[5pt] 25.1 \leqq \sqrt{n} \\[5pt] n \geqq 25.1^2=630.01 \end{eqnarray}となるので、 $630$ 以上であればいいことがわかります。

おわりに

ここでは、標本の大きさが十分大きいとき、標本平均の分布が正規分布で近似できることを利用して問題を解く方法を見ました。確率を計算するだけでなく、確率から標本の大きさを考えさせる問題も出題される可能性があります。

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