【標準】接線の傾きから三次関数を求める
ここでは、接線の傾きが "ある二次関数" であるときに、もとの三次関数を求める問題を見ていきます。
接線の傾きから三次関数を求める
関数から接線の傾きを求めるには微分を使いますが、ここでは、逆に、接線の傾きから関数を求めます。そこで、微分の逆に当たる積分を行います。 $f(x)$ は、次のように書くことができます。\[ f(x)=\int (3x^2-4x+1) dx +C \]ここで、 C は積分定数です。
さて、積分の部分を計算していきましょう。【基本】整式の不定積分で見たように、各パーツに分解して考えていけばいいんでしたね。
それぞれの項について考えていきましょう。積分の計算には、次の式を使うのが基本です。\[ \int x^n dx = \frac{x^{n+1} }{n+1}+C \]一旦、積分定数は置いておいて、進めていきます。微分して $3x^2$ になるものは、 $x^3$ ですね。積分をすると分数が出てくることが多いので、係数まで含めて考える方がいいです。 $x^2$ を積分してから $3$ をかけるのは面倒ですからね。
同様に考えていきます。微分して $-4x$ になるものは、 $-2x^2$ です。微分して $+1$ になるものは、 $x$ です。これらをつなげれば積分した結果が得られます。
\begin{eqnarray}
f(x)
&=&
\int (3x^2-4x+1) dx +C \\[5pt]
&=&
x^3-2x^2+x +C \\[5pt]
\end{eqnarray}となります。
接線の傾きだけが分かっている場合は、この C の部分は決まりません。グラフを上下に移動しても、接線の傾きは変わらないので、定数がどんな値でも条件を満たしてしまいます。ところが、今の問題では、通る点が分かっているため、この積分定数も求めることができます。
$y=f(x)$ が $(1,1)$ を通るということから、 $f(1)=1$ が成り立ちます。これを上の式に代入すると
\begin{eqnarray}
1-2+1+C &=& 1 \\[5pt]
C &=& 1 \\[5pt]
\end{eqnarray}となり、定数部分は $1$ であることがわかります。
以上から、\[ f(x)=x^3-2x^2+x+1 \]と求めることができます。
なお、この例題と本質的に同じですが、次のように出題されることもあります。
この場合もすることはまったく同じです。1つ目の式から、不定積分を計算します。これで、定数項以外の部分がわかります。さらに2つ目を使えば、定数項もわかる、という流れです。先ほどの例題と表現は違いますが、求めるものは同じです。
おわりに
ここでは、接線の傾きから三次関数を求める問題を見ました。積分することで定数以外の部分がわかります。通る点が与えられている場合は、定数部分も求めることができることに注意しましょう。