【標準】垂直な2直線と空間ベクトル
ここでは、垂直な2直線を考えるときに、ベクトルを使う方法を見ていきます。
例題
ベクトルが出てきませんが、座標で考えるのは難しいので、ベクトルを使ってみます。今までに見た内容を組み合わせれば解くことができます。
$\mathrm{H}$ の座標を $(p,q,r)$ とします。
まず、3点 $\mathrm{A,B,H}$ は同一直線上にあるので、\[ \overrightarrow{\mathrm{AH}}=k \overrightarrow{\mathrm{AB}} \]を満たす $k$ が存在します(参考:【標準】同一直線上にある3点と空間ベクトル)。 成分で表すと
\begin{eqnarray}
(p-2,q-7,r+1) &=& k(1,-1,1) \\[5pt]
(p-2,q-7,r+1) &=& (k,-k,k) \\[5pt]
(p,q,r) &=& (k+2,-k+7,k-1) \\[5pt]
\end{eqnarray}となることがわかります。
もう一つの条件、 $\mathrm{AB\perp OH}$ を考えましょう。ベクトルで考えれば、内積が $0$ ということです(参考:【基本】空間ベクトルの内積となす角)。なので
\begin{eqnarray}
\overrightarrow{\mathrm{AB}} \cdot \overrightarrow{\mathrm{OH}} &=& 0 \\[5pt]
(1,-1,1) \cdot (p,q,r) &=& 0 \\[5pt]
p-q+r &=& 0 \\[5pt]
(k+2)-(-k+7)+(k-1) &=& 0 \\[5pt]
3k &=& 6 \\[5pt]
k &=& 2
\end{eqnarray}と求められます。これより、 $p=4$, $q=5$, $r=1$ だとわかります。
こうして、 $\mathrm{H}$ の座標は $(4,5,1)$ と求められます。
例題の別解
先ほどは内積を使って解きました。別の解き方として、距離に着目する方法もあります。
$\mathrm{AB\perp OH}$ ということは、 $\mathrm{H}$ は直線 $\mathrm{AB}$ 上の点の中で一番 $\mathrm{O}$ に近い点だ、ということができます。この条件で考えてみましょう。
直線 $\mathrm{AB}$ 上の点 $\mathrm{P}$ を考えます。この点の座標を $(p,q,r)$ とすると、先ほどと同じように\[ (p-2,q-7,r+1)=k(1,-1,1) \]を満たす $k$ が存在します。これより、\[ (p,q,r)=(k+2,-k+7,k-1) \]と書くことができます。
この点と $\mathrm{O}$ との距離を2乗したものは
\begin{eqnarray}
& & (k+2)^2+(-k+7)^2+(k-1)^2 \\[5pt]
&=& (k^2+4k+4)+(k^2-14k+49)+(k^2-2k+1) \\[5pt]
&=& 3k^2-12k+54 \\[5pt]
&=& 3(k-2)^2+42 \\[5pt]
\end{eqnarray}となるので、 $k=2$ のときに距離が最小になることがわかります。よって、 $k=2$ のときが $\mathrm{H}$ の座標であり、その座標は\[ (4,5,1) \]と求められます。当たり前ですが、先ほどと同じ値になりましたね。
おわりに
ここでは、垂直な2直線に関する問題で空間ベクトルを使う方法を見ました。内積を使う方法と、距離を使う方法、2つの方法を見ました。どちらもできるようになっておきましょう。