【発展】平面の方程式
ここでは、平面の方程式を見ていきます。
平面の方程式
点 $\mathrm{A}(p,q,r)$ を通り、 $\vec{n}=(a,b,c)$ に垂直な平面について考えてみます($\vec{n}\ne\vec{0}$ とします)。このような平面は1つだけです。
点 $\mathrm{P}(x,y,z)$ がこの平面上にあるとすると、「垂直」という条件から $\vec{n}\perp \overrightarrow{\mathrm{AP}}$ より
\begin{eqnarray}
(x-p,y-q,z-r)\cdot (a,b,c) &=& 0 \\[5pt]
a(x-p)+b(y-q)+c(z-r) &=& 0 \\[5pt]
\end{eqnarray}という式が得られます。垂直という条件からこの式が得られますし、逆にたどっていくと、最後の式を満たせば、 $\mathrm{P}(x,y,z)$ はこの平面上にあることがわかります。このことから、この式は 平面の方程式(equation of plane) と呼ばれます。
この式を展開すると\[ ax+by+cr-(ap+bq+cr) = 0 \]となります。最後の項 $-(ap+bq+cr)$ は、通る点 $(p,q,r)$ とベクトルの成分 $(a,b,c)$ の情報から計算できるので、定数です。そこで、ここを $d$ とおくと\[ ax+by+cr+d=0 \]となります。この形の式も平面の方程式といいます。 $a,b,c\ne 0$ のときは、 $x,y,z$ の一次式になっています。
また、平面 $ax+by+cr+d=0$ は、ベクトル $\vec{n}=(a,b,c)$ と垂直であることがわかります。このことから、このベクトル $\vec{n}=(a,b,c)$ のことを、平面 $ax+by+cz+d=0$ の 法線ベクトル(normal vector) といいます。
$\vec{n}=(a,b,c)$ は、平面 $ax+by+cz+d=0$ の法線ベクトルである。
平面ベクトルのところで見た【標準】法線ベクトルと見比べると、よく似ていることがわかります。
例題
この問題は、【標準】同一平面上にある4点と空間ベクトルで見た内容と同じです。今回はベクトルを使わずに解いてみます。
平面の方程式は $ax+by+cz+d=0$ とおくことができます。3点 $\mathrm{A,B,C}$ を通ることから
\begin{eqnarray}
b+c +d&=& 0 \\[5pt]
5a+2c +d&=& 0 \\[5pt]
3a-2b +d &=& 0 \\[5pt]
\end{eqnarray}の3つの式が成り立ちます。1つ目より、 $c=-b-d$ なので、これを2つ目に代入すると
\begin{eqnarray}
5a-2b -d&=& 0 \\[5pt]
\end{eqnarray}となります。この式から先ほどの3つ目の式 $3a-2b+d=0$ を引くと
\begin{eqnarray}
2a-2d &=& 0 \\[5pt]
a &=& d \\[5pt]
\end{eqnarray}となります。これを3つ目の式に代入して
\begin{eqnarray}
3d-2b+d &=& 0 \\[5pt]
b &=& 2d
\end{eqnarray}となります。これを1つ目の式に代入して
\begin{eqnarray}
2d+c+d &=& 0 \\[5pt]
c &=& -3d
\end{eqnarray}となります。以上から\[ dx+2dy-3dz+d=0 \]となります。 $d\ne 0$ なので、\[ x+2y-3z+1=0 \]が、3点 $\mathrm{A,B,C}$ を通る平面の方程式となります。実際、それぞれの座標を代入してみると、成り立つことがわかります。
点 $\mathrm{P}$ はこの平面上にあるので
\begin{eqnarray}
p+2\cdot(-1)-3\cdot(-2)+1 &=& 0 \\[5pt]
p-2+6+1 &=& 0 \\[5pt]
p &=& -5
\end{eqnarray}と求められます。リンク先で見た、空間ベクトルを使って求めた答えと一致していることがわかります。
おわりに
ここでは、平面の方程式について見てきました。また、係数を使って法線ベクトルが得られることも見ました。