【応用】二変数二次関数の最大・最小(隠れた条件付)
【応用】二変数二次関数の最大・最小(条件付)では、条件のついている2つの変数が入った二次関数の最大値・最小値を求める問題を見ました。ここでは、同じような問題を考えるのですが、隠れた条件がついているものを取り上げます。
途中で、二次不等式の話が出てくるので、そこを勉強してからの方が分かりやすいと思います(参考:【導入】二次不等式)。
例題
次の例題を考えてみましょう。
【応用】二変数二次関数の最大・最小(条件付)では、変数に範囲が指定されていましたが、今回は特に指定されていません。式を見ると、条件式を使って $y^2$ を消す方針で考えたほうがよさそうですね。
条件式から $y^2=1-x^2$ なので、 $z=2x+y^2$ とおくと、次のように変形できます。
\begin{eqnarray}
z
&=&
2x+y^2 \\
&=&
2x+(1-x^2) \\
&=&
-x^2+2x+1 \\
&=&
-(x^2-2x)+1 \\
&=&
-(x-1)^2+2 \\
\end{eqnarray}これから、グラフは上に凸のグラフになることが分かります。しかし、どこまでも小さな値をとることができるか、というとそうではないんですね。例えば、 $x=100$ とすると、上の式の z は小さな値になりますが、 $x^2+y^2=1$ を満たす実数 y が存在しません。二乗してマイナスになる実数はありませんからね。
つまり、 x はどんな数でもいいわけではない、ということです。見えないけれど、条件があったんですね。それは、 $y^2\geqq 0$ という条件です。【応用】二変数二次関数の最大・最小(条件付)で、「文字を消去するときには、その文字に関する条件も考慮しないといけない」と書きましたが、ここでも同じです。実数なら二乗して0以上になるという条件を考慮しないといけません。書いていないけど、自分で思いつかなくてはいけいけません。
さて、文字を消去するために $y^2=1-x^2$ という条件式を使いましたが、 y は実数なので x には $1-x^2\geqq 0$ という条件があることに注意しないといけないんですね。二乗して1以下なので、 $-1 \leqq x \leqq 1$ という条件になります(ここの変形は、厳密には二次不等式の部分で学びます)。この範囲で考えないといけません。
以上から、グラフは次のようになります。
このことから、 $x=1, y=0$ のとき最大値 $2$ をとり、 $x=-1,y=0$ のとき最小値 $-2$ をとることがわかります。
おわりに
$x,y$ がとり得る値の範囲が書かれていないのに、自分で気づかないといけない点が難しいです。「実数」と書かれた変数を消去するときに、「そのような実数はきちんと存在するか」を意識するようにしましょう。特に、二乗されている場合(上の例題のようなケース)で「負にならない」という条件を使う場面はよくあるので覚えておきましょう。