【標準】球面の方程式と空間ベクトル
ここでは、球面の方程式を見た後に、球面の方程式を空間ベクトルで表す方法を見ていきます。
球面の方程式
平面では、ある点から一定の距離だけ離れた点の集まりは、円周になります。これが空間の世界になると、球面となります。
球の中心を $(a,b,c)$ とし、半径を $r$ とします。このとき、球面上の点 $(x,y,z)$ は、中心との距離が $r$ なので、
\begin{eqnarray}
(x-a)^2+(y-b)^2+(z-c)^2 &=& r^2
\end{eqnarray}という式が成り立ちます。逆にこの式を満たしていれば、中心との距離が $r$ だから球面上にあることがわかります。
このことから、この式を球面の方程式といいます(球の方程式ということもあります)。
特に、原点が中心の場合は\[ x^2+y^2+z^2=r^2 \]となります。円の方程式と比べると、 $z^2$ が追加されただけですね。
例えば、「原点を中心とし、 $(1,2,-3)$ を通る球面の方程式は?」という問題があったとします。このとき、原点とこの点との距離の2乗は\[ 1^2+2^2+(-3)^2=14 \]なので、球面の方程式は\[ x^2+y^2+z^2=14 \]となります。
球面のベクトル方程式
球面の方程式を空間ベクトルを使って表してみます。
球面の中心を $\mathrm{C}(\vec{c})$ とし、半径を $r$ とします。このとき、球面上の点 $\mathrm{P}(\vec{p})$ について考えます。
球面上の点は、中心からの距離が $r$ である、と言い換えられるので、これをそのままベクトルで表せば\[ |\vec{p}-\vec{c}| = r \]となります。これを球面のベクトル方程式といいます。球面の方程式のベクトル版です。
なお、この式を2乗して成分で書けば、先ほどの球面の方程式と同じ形の式が出てきます。
直径と球面のベクトル方程式
球面の方程式を考えるときに、直径から出発することもあります。
$\mathrm{A}(\vec{a})$, $\mathrm{B}(\vec{b})$ とします。このとき、線分 $\mathrm{AB}$ を直径とするような球面の方程式を求めてみます。
球面の中心は、線分 $\mathrm{AB}$ の中点なので、位置ベクトルは $\dfrac{\vec{a}+\vec{b}}{2}$ となります。また、半径は、この線分の長さの半分なので $\left|\dfrac{\vec{b}-\vec{a}}{2}\right|$ です。以上から\[ \left|\vec{p}-\dfrac{\vec{a}+\vec{b}}{2}\right| = \left|\dfrac{\vec{b}-\vec{a}}{2}\right| \]となります。
この式を整理してみます。
\begin{eqnarray}
\left|\vec{p}-\dfrac{\vec{a}+\vec{b}}{2}\right|^2 &=& \left|\dfrac{\vec{b}-\vec{a}}{2}\right|^2 \\[5pt]
|\vec{p}|^2-\vec{p}\cdot (\vec{a}+\vec{b})+\frac{|\vec{a}|^2+2\vec{a}\cdot\vec{b}+|\vec{b}|^2}{4}
&=&
\dfrac{|\vec{a}|^2-2\vec{a}\cdot\vec{b}+|\vec{b}|^2}{4} \\[5pt]
|\vec{p}|^2-\vec{p}\cdot (\vec{a}+\vec{b})+\vec{a}\cdot\vec{b} &=& 0 \\[5pt]
(\vec{p}-\vec{a}) \cdot (\vec{p}-\vec{b}) &=& 0 \\[5pt]
\end{eqnarray}このようになります。これは、直径から考えた場合の球面の方程式です。
実は、この形は、【標準】円のベクトル方程式と同じです。このリンク先と同じように考えれば、 $\mathrm{P}$ は、 $\angle\mathrm{APB}=90^{\circ}$ を満たす点と考えることができます。
例題
中心と原点との距離は\[ 1^2+2^2+(-3)^2=14 \]なので、この球面の方程式は\[ (x-1)^2+(y-2)^2+(z+3)^2=14 \]となります。 $xy$ 平面とは、 $z$ 座標が $0$ の点の集まりなので、この式に $z=0$ を代入して
\begin{eqnarray}
(x-1)^2+(y-2)^2+(0+3)^2 &=& 14 \\[5pt]
(x-1)^2+(y-2)^2 &=& 5 \\[5pt]
\end{eqnarray}となります。これは円の方程式ですね。この式から、切り口は、中心が $(1,2,0)$ で半径が $\sqrt{5}$ の円となります。
おわりに
ここでは、球面の方程式を見ました。また、空間ベクトルで表現する方法も見ました。球の表し方は、円の表し方を参考にするとわかりやすいでしょう。