【基本】対偶証明法
ここでは、命題の対偶を使った証明方法について見ていきます。対偶については、【基本】逆・裏・対偶でも出てきたので、忘れてしまった人はチェックしておきましょう。
対偶証明法
命題を考えるときに、条件を満たす集合を使うと考えやすくなる、ということを【基本】命題と集合で見ました。ここでも、この考え方を使ってみます。
命題 $p\implies q$ に対し、条件 p, q を満たすものの集合をそれぞれ P, Q とします。このとき、 $p\implies q$ が成り立つことと $P\subset Q$ が同じ意味になるんでしたね(参考:【基本】命題と集合)。
次に、 $p\implies q$ の対偶を考えてみます。対偶は、 $\bar{q}\implies \bar{p}$ となります。それぞれのパーツを集合で考えると $\overline{ Q }$ と $\overline{ P }$ に対応します。P が Q に含まれるのだから、上の図からもわかる通り、Q 以外の部分はP 以外に含まれます。よって、 $\overline{ Q } \subset \overline{ P }$ となります。
以上のことをまとめると、 $p\implies q$ が成り立つ時、 $\bar{q}\implies \bar{p}$ が成り立つことが分かります。
また、同様に考えれば、 $\overline{ Q } \subset \overline{ P }$ ならば、 $P\subset Q$ が成り立つこともわかるので、 $\bar{q}\implies \bar{p}$ が成り立つ時、 $p\implies q$ が成り立つことが分かります。
これらのことから、次のことが分かります。
このことから、「 $p\implies q$ が成り立つことを示しなさい」と言われれば、対偶を証明してもいいことが分かります。具体的に、証明問題でどのように使うかは、例を使って見てみましょう。
例題
nを整数とするとき、 $n^2$ が4の倍数でないならば、 $n$ は4の倍数でない
「 $n^2$ が4の倍数でない」というのが扱いにくそうです。一方、結論を否定したものは「 $n$ は4の倍数である」となり、扱いやすそうです。こういう場合は、もとの命題を証明するよりも、対偶を証明したほうが楽になります。
「nを整数とするとき、 $n$ が4の倍数ならば、 $n^2$ は4の倍数である」
$n$ が4の倍数のとき、ある整数 m を使って $n=4m$ と書ける。このとき \[ n^2 =16m^2 =4\times 4m^2\]なので、 $n^2$ は4の倍数となる。
よって、対偶が真なので、もとの命題も真となる。
(証明終)
もとの命題とその対偶の真偽は一致するので、命題を直接示しにくいときは対偶を示すことができないか、考えたほうがいいんですね。
ここで挙げた例は、【基本】逆・裏・対偶でも使った例です。上の命題を直接示す方法もリンク先のページで書いていますが、直接示すのは少し難しいことが分かります。
おわりに
ここでは、もとの命題とその対偶の真偽が一致すること、そして、それを利用して証明問題を解く例を紹介しました。この手法は、これからも頻繁に出てきますし、入試でもよく使います。
なお、対偶を証明するには、大前提として「条件の否定」を正しく書ける必要があるので、命題の否定についてもよく理解しておきましょう。