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【基本】極座標

ここでは、極座標について見ていきます。

📘 目次

極座標

今まで、平面上の点の位置を表すには、「基準である原点から、上下左右にどれだけ移動した場所にあるか」という情報を使っていました。

右に $a$ 、上に $b$ だけ移動した点を $(a,b)$ と表します(反対方向の場合は負の数で表します)。このように点の位置を表したものを、その点の座標といいます。

今まで、座標といえば、この表し方を使っていましたが、点の場所を表すには他にも方法があります。その一つが、このページで紹介する、極座標です。

極座標(polar coordinates) では、点の位置を表すのに、基準の点 $\mathrm{O}$ からの距離と方向を使います。

点 $\mathrm{P}$ と点 $\mathrm{O}$ との距離を $r$ とします。また、点 $\mathrm{O}$ から伸びる、ある半直線を基準として、反時計回りに $\theta$ だけ回転した半直線上に点 $\mathrm{P}$ があるとします。このとき、点 $\mathrm{P}$ の極座標を\[ (r,\theta) \]と表します。

基準の点である点 $\mathrm{O}$ のことを、(polar) といいます。また、基準の半直線を 始線 といい、角 $\theta$ のことを 偏角 といいます。

極座標に対して、今まで使っていた座標は、直交座標といいます。 $x$ 軸と $y$ 軸が直交していることから、この名前がついています。

例えば、直交座標で $(1,\sqrt{3})$ という点は、極座標で表すと $\left(2,\dfrac{\pi}{3}\right)$ となります。


極座標では、角の表し方は1通りには決まりません。例えば、 $\left(2,\dfrac{\pi}{3}\right)$ も、 $\left(2,\dfrac{7}{3}\pi\right)$ も $\left(2,-\dfrac{5}{3}\pi\right)$ もすべて同じ点を表します。角が $2\pi$ の整数倍だけズレていても、同じ点を表します。

また、原点は、 $(0,\theta)$ と表し、この場合の角は何でもいいものとします。

これらは、直交座標の場合と大きく異なります。直交座標では点と座標は1対1に対応しますが、極座標の場合はそうはなりません。極座標では、座標を決めると点は1つに決まりますが、点を決めても座標が1つに決まるわけではありません。1つに決めるには、 $0\leqq \theta\lt 2\pi$ とするなどの制限が必要です。

なお、上のように決めれば $r$ は負になることはないのですが、それでは都合が悪いこともあるので、実は負になることもOKと考えます。負の場合にどのような点を表すかは、このページの後半で紹介します。

極座標と直交座標の変換

極座標も直交座標も、点の場所を表すものであり、互いに変換することができます。(極は原点と同じ点とし、始線は $x$ 軸の正の部分とします)

極座標で $(r,\theta)$ と表される点があったとします。この点を直交座標で表すと、三角比・三角関数でやったことを思い出せば、\[ (r\cos\theta, r\sin\theta) \]となります。

逆に、直交座標で $(x,y)$ と表される点があったとします。この点と原点との距離 $r$ は\[ r=\sqrt{x^2+y^2} \]です。角度 $\theta$ は、きれいに求まるとは限りませんが、原点以外のときは\[ \cos\theta=\frac{x}{\sqrt{x^2+y^2}},\ \sin\theta=\frac{y}{\sqrt{x^2+y^2}} \]を満たす角となります。

互いに変換できるなら、わざわざ極座標なんて導入しなくてもいいじゃないか、と思うかもしれません。しかし、極座標には

  • 曲線の方程式が表しやすくなるケースがある
  • 回転、振り子、万有引力など、「縦と横」より「距離と角度」のほうが考えやすい物理現象がある
などのメリットがあるので、利用されることがあります。とはいえ、直交座標に比べると、かなり出番は少ないです。

rが負の場合

先ほど、極座標と直交座標の間には
\begin{eqnarray} x &=& r\cos\theta \\[5pt] y &=& r\sin\theta \\[5pt] \end{eqnarray}の関係があることを見ました。ここで、角度を $\theta+\pi$ とすると \begin{eqnarray} & & r\cos(\theta+\pi)=-r\cos\theta \\[5pt] & & r\sin(\theta+\pi)=-r\sin\theta \\[5pt] \end{eqnarray}となります。なので、極座標では、 $(r,\theta+\pi)$ と $(-r,\theta)$ は同じ点を表すと考えることができます。つまり、 $r$ を $-1$ 倍して $\theta$ から $\pi$ を引いても、表す点は変わらないということです。 $2\pi$ のズレは無視できるので、さらにいうと、 $r$ を $-1$ 倍して $\theta$ に $\pi$ を足しても、表す点は変わりません。

このことから、 $r$ が負の場合、 $(r,\theta)$ は $(-r,\theta+\pi)$ の点を表している、と考えます。こうすれば、 $r$ と $\theta$ はどんな実数でも、座標を決めれば、それに対応する点が1つ決まることになります。

例えば、極座標で $\left(-\sqrt{2},\dfrac{\pi}{4}\right)$ という点は、 $\left(\sqrt{2},\dfrac{\pi}{4}+\pi\right)$ のことであり、直交座標でいうと $(-1,-1)$ となります。

おわりに

ここでは、極座標について見てきました。極座標では、極からの距離と角(方向)で点を位置を表します。次以降では、極座標を使った方程式の表し方を見ていきます(参考:【基本】円の極方程式)。

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