【基本】条件の否定
ここでは、ある条件に対して、"その条件以外"という「条件の否定」を見ていきます。
「条件の否定」は、今後出てくる「対偶」のところで必要になってきます。そして、この「対偶」は、証明問題で頻繁に使用されます。「条件の否定」は、証明問題を解く上での基礎知識として重要です。
条件の否定
ライブに行くと、お客さんに呼び掛けてお客さんが反応する場面があります。「男子ー!(イェーイ!)」「女子ー!(イェーイ!)」「そうでない人ー!(イェーイ!)」というように。最後は、男子でも女子でもない人が「イェーイ!」と言ってるわけですね。
数学でも「ある条件を満たすもの」に対して、「その条件を満たさないもの」を考えることがあります。例えば、 $x=0$ という条件に対して、これを満たさないもの、つまり、 $x\ne 0$ という条件を考えることがあるんですね。
このように、条件 p に対して、「p でない」という条件を、条件 p の否定(negation) と呼びます。記号では、 $\bar{p}$ と書きます。
条件の否定の例
例えば、x が整数のときは、条件「x は偶数」の否定は、「x は偶数でない」、つまり、「x は奇数」となります。
x が実数のとき、条件「x は無理数」の否定は、「x は無理数でない」、つまり、「x は有理数」となります。
x が実数のとき、条件「 $x\gt 0$ 」の否定は、 $x\gt 0$ 以外なので、「 $x\leqq 0$ 」となります。イコールが入ることに注意です。
xが実数のとき、条件「 $1\lt x\lt 2$ 」の否定は、 $1\lt x\lt 2$ 以外のすべてが対象なので、「 $x\leqq 1$ または $x\geqq 2$ 」となります。数直線を用いて考えると、わかりやすいかもしれませんね。
条件と集合
【基本】命題と集合では、条件と集合が対応していることを見ました。それでは、「条件の否定」は集合でいうと何に対応しているのでしょうか。
条件 p を満たす集合を P としたとき、条件 p の否定を満たす集合というのは、P に属さないものを集めたものになるので、P の補集合になるということですね。
条件 p の否定が $\bar{p}$ で、集合 P の補集合が $\overline{P}$ であり、この2つが対応しているということです。記号も同じですね。
また、【標準】集合の演算に関する性質 #補集合に関する性質で見たように、「補集合の補集合は、元の集合」になるのでした。これを条件で書くと、「 $\bar{\bar{p} } = p$ 」となります。「条件の否定の否定は、元の条件」になる、ということですね。よく考えれば当たり前です。
おわりに
ここでは、「条件の否定」を見てきました。文章を反対にするだけで否定になるので、あまり難しくなかったかもしれません。ただ、条件に「かつ」や「または」が含まれた時の否定や、「すべての」や「ある」が含まれた時の否定は、少し難しくなります。これらについては、別ページで取り上げます。