【基本】平面上の点の運動
ここでは、平面上を運動する点の速度などについて見ていきます。物理の分野のような内容です。
平面上の点の運動
平面上を運動する点 $\mathrm{P}$ があったとします。この点の座標を $(x,y)$ とすると、 $x,y$ は $t$ の関数になっています。この運動を、 $x$ 軸方向と $y$ 軸方向に分けて考えれば、 $\mathrm{P}$ の $x$ 軸方向の速度は\[ \frac{dx}{dt} \]となり、 $y$ 軸方向の速度は\[ \frac{dy}{dt} \]となります。
そのため、平面の場合は、速度は次のようにベクトルで表します。\[ \vec{v}=\left(\frac{dx}{dt}, \frac{dy}{dt}\right) \]直線上の点の運動と同じく、これも速度といいますが、ベクトルで表しているので、速度ベクトルともいいます。
直線上の点の運動の場合、速度の大きさを速さといいましたが、平面の場合は、速度ベクトルの大きさを速さといいます。つまり
\begin{eqnarray}
|\vec{v}| = \sqrt{ \left(\frac{dx}{dt}\right)^2+\left(\frac{dy}{dt}\right)^2 }
\end{eqnarray}を速さといいます。
加速度も同様に、ベクトルで表します。加速度(加速度ベクトル) $\vec{\alpha}$は
\begin{eqnarray}
\vec{\alpha} = \left(\frac{d^2x}{dt^2}, \frac{d^2y}{dt^2}\right)
\end{eqnarray}であり、加速度の大きさは
\begin{eqnarray}
|\vec{\alpha}| = \sqrt{ \left(\frac{d^2x}{dt^2}\right)^2+\left(\frac{d^2y}{dt^2}\right)^2 }
\end{eqnarray}となります。
式で見ると複雑そうですが、ベクトルは、左右方向、上下方向に分けて計算しているだけです。大きさは、三平方の定理を使っているだけです。
なお、 $\dfrac{dx}{dt}\ne 0$ のとき、速度ベクトルの傾きは、次のように変形できます。(参考:【基本】媒介変数表示と微分)
\begin{eqnarray}
\frac{\frac{dy}{dt}}{\frac{dx}{dt}} &=& \dfrac{dy}{dx}
\end{eqnarray}右辺は、点 $(x,y)$ における接線の傾きです。つまり、速度ベクトルの傾きと接線の傾きは一致するということです。
等速円運動
それぞれの成分を微分するだけです。速度ベクトルは\[ (-r\omega\sin \omega t, r\omega\cos \omega t) \]なので、この大きさは
\begin{eqnarray}
& &
\sqrt{(-r\omega\sin \omega t)^2+(r\omega\cos \omega t)^2} \\[5pt]
&=&
\sqrt{r^2\omega^2\sin^2\omega t+r^2\omega^2\cos^2\omega^2 t} \\[5pt]
&=&
r\omega \sqrt{\sin^2\omega t+\cos^2\omega^2 t}=r\omega
\end{eqnarray}となります。
また、加速度ベクトルは\[ (-r\omega^2\cos \omega t, -r\omega^2\sin \omega t) \]なので、この大きさは
\begin{eqnarray}
& &
\sqrt{(-r\omega^2\cos \omega t)^2+(-r\omega^2\sin \omega t)^2} \\[5pt]
&=&
\sqrt{r^2\omega^4\cos^2\omega t+r^2\omega^4\sin^2\omega^4 t} \\[5pt]
&=&
r\omega^2 \sqrt{\sin^2\omega t+\cos^2\omega^2 t}=r\omega^2
\end{eqnarray}となります。
よって、速さは $r\omega$ で、加速度の大きさは $r\omega^2$ となります。
ところで、この点 $\mathrm{P}$ は半径 $r$ の円周上を動くことがわかります。また、先ほどの計算から、速さは $r\omega$ なので、ずっと一定であることがわかります。このように、円周上を一定の速度で動くような運動は等速円運動と呼ばれています。また、 $\omega$ は、角速度といいます。
おわりに
ここでは、平面上の点の運動について見てきました。二次元になっても、縦と横に分解して考えるだけなので、式の見た目の複雑さに惑わされないようにしましょう。