【基本】不定一次方程式の整数解 ax+by=0の場合
ここでは、不定一次方程式「$ax+by=0$」の整数解を考えていきます。なお、このページでは、a, b は整数とします。
例題1
【導入】不定一次方程式の整数解でも書いた通り、文字が2つで式が1つなので、答えは1つには決まりません。実際、 $(x,y)=(0,0)$ も解になるし、 $(x,y)=(4,-3)$ も解になるし、 $(x,y)=(-4,3)$ も解になります。解は無限個あります。
ただ、整数解なので、解はある程度限定されます。例えば、$x=1$のときは、式を満たすyの値はありませんね。こういうケースは排除しないといけません。
さて、元の式を変形して、次のように書いてみます。\[ 3x=-4y \]このとき、右辺は4の倍数なので、左辺も4の倍数になります。3と4は互いに素(最大公約数が1)なので、xは4の倍数になります。つまり、「4 × ある整数」という形になっているということです。
このことから、xは、ある整数kを用いて、\[ x=4k \]と書けることが分かります。これを元の式に代入すると、
\begin{eqnarray}
3 \cdot 4k = -4y \\
y=-3k \\
\end{eqnarray}となります。逆に、$(x,y)=(4k,-3k)$ であれば、元の式を満たすことが分かります。つまり、kは整数であれば何でもいいということですね。
まとめると、解は次のようになります。あまり見慣れない書き方ですが、不定方程式の答えは次のように書きます。
$(x,y) = (4k,-3k)$ (k は整数)
また、このように書いても大丈夫です。
$x=4k,\ y=-3k$ (k は整数)
例題2
もう1問考えてみましょう。
先ほどと同じようにしてみます。まず、次のように書きます。\[ 52x = -91y \]このとき、右辺は91の倍数なので、左辺も91の倍数です。なので、xは「91 × ある整数」と書ける・・・わけじゃないんですね。
係数が互いに素(最大公約数が1)なら正しいのですが、今の場合互いに素ではありません。52も91も、13の倍数なんですね。なので、両辺を13で割って\[ 4x=-7y \]と変形します。こうすると、係数が互いに素になるので、xは7の倍数となり、ある整数kを用いて、$x=7k$と書けます。また、これを代入して $y=-4k$ も得られます。
よって答えは次のようになります。
$(x,y) = (7k,-4k)$ (k は整数)
$k=1$のときは、$(x,y)=(7,-4)$です。これは元の式を満たしますが、xは91の倍数ではないですね。上でも書いた通り、「91 × ある整数」と書けるわけではありません。
つまり、「係数が互いに素である」というのが、1つのポイントなんですね。
おわりに
最後に、$ax+by=0$ の解き方をまとめておきましょう。
まず、$ax=-by$ の形に変形します。そして、両辺の係数が互いに素になるように、両辺を $a,b$ の最大公約数で割ります。その結果、$a'x=-b'y$ となったとします。
次に、「左辺が $b'$ の倍数」であることを用いれば、整数kを使って、$x=b'k$ と書けることが言えます。元の式に代入して $y=-a'k$ と求められます。これで完成です。
試験などでは、「$ax+by=0$」ではなく、「$ax+by=c$」の形で出題されることが多いです。右辺が0ではないケースですね。ただ、「$ax+by=c$」を解くときは「$ax+by=0$」のケースに持ち込むのが一般的な方法です。詳しくは、「【標準】不定一次不等式の整数解 ax+by=cの場合」で解説します。