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【基本】空間ベクトルの内積となす角

ここでは、空間ベクトルの内積と空間ベクトルのなす角についてみていきます。

📘 目次

空間ベクトルの内積となす角

【基本】空間ベクトルの内積で見た通り、 $\vec{a}$ と $\vec{b}$ の内積は $|\vec{a}||\vec{b}|\cos\theta$ で定義します。この $\theta$ は $\vec{a}$ と $\vec{b}$ のなす角です。

ただ、実際には「なす角がわからない」ケースが多いです。空間では図がかきづらく、かけたとしても角度がわかりにくいことがあります。しかし、ベクトルの成分がわかれば、内積もベクトルの大きさもわかるので、これらから逆に「なす角」を求めることもよくあります。

$\vec{a}=(a_1,a_2,a_3)$, $\vec{b}=(b_1,b_2,b_3)$ のとき、内積は\[ \vec{a}\cdot\vec{b}=a_1b_1+a_2b_2+a_3b_3 \]で表せます。また、大きさも成分で表せば、なす角 $\theta$ は、以下の式を満たすものだとわかります。

ベクトルのなす角
$\vec{0}$ でない2つのベクトル $\vec{a}=(a_1,a_2,a_3)$, $\vec{b}=(b_1,b_2,b_3)$ のなす角を $\theta$ とすると、次が成り立つ。
\begin{eqnarray} \cos\theta &=& \frac{\vec{a}\cdot\vec{b} }{|\vec{a}||\vec{b}|} \\[5pt] &=& \frac{a_1b_1+a_2b_2+a_3b_3}{\sqrt{a_1^2+a_2^2+a_3^2}\sqrt{b_1^2+b_2^2+b_3^2} } \\[5pt] \end{eqnarray}

平面のときと比べると、成分の数が増えただけで、似ている式であることがわかります。

ベクトルの垂直

$\vec{0}$ でない2つのベクトル $\vec{a}=(a_1,a_2,a_3)$, $\vec{b}=(b_1,b_2,b_3)$ のなす角が $90^{\circ}$ のとき、2つのベクトルは垂直である、といいます。また、記号で $\vec{a}\perp\vec{b}$ と書きます。

内積の定義から考えると、 $\vec{0}$ でない2つのベクトルに対し、2つのベクトルが垂直であることと2つのベクトルの内積が $0$ であることが同値であることはわかるでしょう。また、上で見た内容から、\[ a_1b_1+a_2b_2+a_3b_3=0 \]が成り立つこととも同値である、ということがわかります。

垂直であることを示す問題はよく出題されます。このとき、ベクトルを使って、内積が $0$ であることを示す、という解き方もよく使います。今後見ていくことになります。

ベクトルの垂直
$\vec{0}$ でない2つのベクトル $\vec{a}=(a_1,a_2,a_3)$, $\vec{b}=(b_1,b_2,b_3)$ について、次の3つは互いに同値である。
  • $\vec{a}\perp\vec{b}$
  • $\vec{a}\cdot\vec{b}=0$
  • $a_1b_1+a_2b_2+a_3b_3=0$

全然違う表現ですが、どれも、なす角が $90^{\circ}$ であることを表しています。

同じベクトル同士の内積

最後に、同じベクトル同士の内積を見ておきます。

$\vec{a}\cdot\vec{a}$ について考えてみましょう。自分と自分とのなす角は $0^{\circ}$ なので、これは、 $|\vec{a}|^2$ となります。成分で考えても、成り立つことがわかります。

よく考えれば当たり前ですが、結構使うところは多いです。

同じベクトル同士の内積
ベクトルの内積について、次が成り立つ。\[ \vec{a}\cdot\vec{a}=|\vec{a}|^2 \]

例えば、 $|\overrightarrow{\mathrm{OA}}|$, $|\overrightarrow{\mathrm{OB}}|$, $|\overrightarrow{\mathrm{AB}}|$ がわかっている場合に、 $\overrightarrow{\mathrm{OA}} \cdot \overrightarrow{\mathrm{OB}}$ を計算したいとしましょう。この場合、次のような式変形をよく行います。
\begin{eqnarray} |\overrightarrow{\mathrm{AB}}|^2 &=& |\overrightarrow{\mathrm{OB}}-\overrightarrow{\mathrm{OB}}|^2 \\[5pt] &=& |\overrightarrow{\mathrm{OB}}|^2 -2\overrightarrow{\mathrm{OA}} \cdot \overrightarrow{\mathrm{OB}} +|\overrightarrow{\mathrm{OA}}|^2 \\[5pt] \end{eqnarray}この式で、絶対値のところはすべて値がわかっているので、代入すれば内積もわかる、という流れです。

おわりに

ここでは、空間ベクトルの内積となす角について見てきました。定義では、角度から内積となっていますが、実際の問題では、内積から角度の流れで使うことが多いです。

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