【基本】整式の不定積分
ここでは、整式の不定積分の計算の例を見て、その後に不定積分の計算で使う性質について見ていきます。
不定積分の計算の例
微分して $f(x)$ になる関数のことを、不定積分というのでした(参考:【基本】不定積分)。ここでは、この不定積分の計算を具体的に計算してみます。
\[ \int (x^2+4x-3) dx \]を計算してみましょう。これは、関数 $x^2+4x-3$ の不定積分、を表しています。つまり、微分して、 $x^2+4x-3$ になる関数、を表しているということです。
【基本】整式の導関数でも見たように、「和の微分」は「微分したものの和」と等しくなります。不定積分を求める場合も、各項に注目して、後でくっつければ完成します。つまり、微分して、 $x^2$, $4x$, $-3$ になるものを考え、それらを後で足せばいい、ということです。
微分して $x^2$ になるものを考えましょう。 $x^n$ を微分すると $nx^{n-1}$ になることを考えると、 $x^3$ が出てくるということは予想できます。ただ、これだと、微分したときに $3x^2$ となってしまい、 $3$ が邪魔になります。なので、 $3$ で割っておけばいいですね。微分して $x^2$ になるものは、 $\dfrac{1}{3}x^3$ となります。
【基本】不定積分で見たように、本来であれば、積分定数を加える必要があります。ただ、今の段階では置いておいて、積分定数は最後にまとめて加えることとします。
次は、微分して $4x$ になるものを考えましょう。これは $x^2$ が関係していることがわかります。これを微分すると $2x$ なので、さらに2倍しないといけないですね。そのため、微分して $4x$ になるものは、 $2x^2$ となります。
最後に、微分して $-3$ になるものを考えましょう。これは、今までと同じように考えれば、 $-3x$ となることがわかります。
以上から、「微分して $x^2+4x-3$ になる関数」は、「 $\dfrac{1}{3}x^3+2x^2-3x+C$ (C は積分定数)」となります。つまり、\[ \int (x^2+4x-3) dx=\dfrac{1}{3}x^3+2x^2-3x+C \]ということです。
このように、各項の不定積分を考え、後で足せば、不定積分を求めることができます。
不定積分の性質
上の計算でも用いていますが、「和の不定積分」は「不定積分の和」と等しくなります。式で書くと、次が成り立ちます。\[ \int \{f(x)+g(x)\} dx = \int f(x) dx +\int g(x) dx \]左辺は微分すると $f(x)+g(x)$ となります(不定積分はそういう定義です)。右辺を微分したものは、それぞれを微分したものの和に等しいので、やはり $f(x)+g(x)$ になります。結果的に、両辺とも「微分すると $f(x)+g(x)$ になる関数」を表していることになります。
厳密にいえば、積分定数の分だけズレているのですが、不定積分の等式では、両辺の積分定数を調整して一致するように定めている(つまり、不定積分の等式では、積分定数のズレはない)、と考えます。
また、定数倍の不定積分は、不定積分の定数倍と等しくなります。式で書くと、\[ \int kf(x) dx = k\int f(x) dx\]ということです。これも、両辺を微分すると $kf(x)$ となり、一致することからわかります。
まとめると、次のようになります。
この性質を使えば、整式の不定積分は、結局 $x^n$ の不定積分(n は正の整数)と、定数の不定積分が計算できれば、すべて計算できることになります。 $x^{n+1}$ を微分すると $(n+1)x^n$ になることを考えれば、 $x^n$ の不定積分は次のようになることがわかります。
また、定数の不定積分は、 $\int 1 dx$ を計算すればいいですね。これは、 $1$ を省略して、 $\int dx$ と書くことがあります。 $x$ を微分すると $1$ になることから、定数の不定積分は次のようになりますね。
これらをまとめて用いると、冒頭の不定積分は
\begin{eqnarray}
& &
\int (x^2+4x-3) dx \\[5pt]
&=&
\int x^2 dx +4\int x dx -3 \int dx \\[5pt]
&=&
\frac{1}{3}x^3 +4\cdot \frac{1}{2}x^2 -3x +C \\[5pt]
&=&
\frac{1}{3}x^3 +2x^2 -3x +C \\[5pt]
\end{eqnarray}と計算できます(C は積分定数)。
おわりに
ここでは、整式の不定積分の計算で使ういろいろな性質を見てきました。基本的には、分解してそれぞれのパーツを積分すればおしまいです。微分の計算と混同しないように注意して計算しましょう。