【基本】曲線とx軸の間の面積と積分
ここでは、放物線と x 軸で囲まれた部分の面積を、積分を用いて求める方法を見ていきます。 x 軸より上の部分だけでなく、下の部分の面積をどう求めるかを見ていきます。
放物線とx軸の間の面積(x軸より上)
$y=-x^2+1$ と x 軸で囲まれた部分の面積を求めてみましょう。
【基本】2曲線間の面積と積分の前半部分で見た通り、グラフが x 軸より上にある場合は、そのまま積分すればいいのでした。区間は、囲まれている部分の左端から右端までなので、 $-1$ から $1$ までです。よって、面積は
\begin{eqnarray}
& &
\int_{-1}^1 (-x^2+1) dx \\[5pt]
&=&
\left[ -\frac{x^3}{3}+x \right]_{-1}^1 \\[5pt]
&=&
\left(-\frac{1}{3}+1\right) -\left(-\frac{-1}{3}-1\right) \\[5pt]
&=&
\frac{2}{3} +\frac{2}{3} \\[5pt]
&=&
\frac{4}{3} \\[5pt]
\end{eqnarray}と求めることができます。
放物線とx軸の間の面積(x軸より下)
一方、 $y=x^2-1$ と x 軸で囲まれた部分の面積がどうなるかを考えてみましょう。今回は、 x 軸より下の部分になってしまうため、今までの求め方を直接は使えません。しかし、結論から考えると、先ほどのグラフを上下反転しただけなので、面積も先ほどと同じになるはずです。どのように考えればいいでしょうか。
これは、【基本】2曲線間の面積と積分の後半部分を使って考えましょう。後半部分では、2つの曲線で囲まれた部分の面積を考える場合、上から下を引いて積分をすればいいのでした。これを今のケースで、上側が x 軸(つまり、 $y=0$ )、下側が $y=x^2-1$ と考えればいいわけです。「上から下を引いて積分する」と考えれば、次の式で面積を求めることができる、ということがわかります。
\begin{eqnarray}
& &
\int_{-1}^1 \{0- (x^2-1)\} dx \\[5pt]
&=&
\int_{-1}^1 (-x^2+1) dx \\[5pt]
\end{eqnarray}となります。これは、先ほどと同じ式ですね。なので、もちろん、面積も同じ結果になることがわかります。
x 軸より上の部分の面積も、 x 軸を $y=0$ という式のグラフだと思えば、「上引く下を積分する」と考えて
\begin{eqnarray}
\int_{-1}^1 \{(x^2-1)-0\} dx \\[5pt]
\end{eqnarray}を計算している、と見ることもできます。
「上から下を引いて積分する」という考えで、面積を求めることができます。
放物線とx軸の間の面積(x軸をまたぐ)
考えている区間全体が、 x 軸より上、もしくは、 x 軸より下となっていれば考えやすいのですが、次のようにまたいでいる場合も考えられます。
$y=x^2-1$ で、 $x=0$ と $x=2$ と x 軸で囲まれた2つの部分の面積の合計がどうなるかを考えてみましょう。この場合は、またいでいるので直接求めることはできません。
しかし、2か所の面積をそれぞれ出して、足せばいいですね。左側部分は、 x 軸が上なので
\begin{eqnarray}
& &
\int_0^1 \{0- (x^2-1)\} dx \\[5pt]
&=&
\int_0^1 (-x^2+1) dx \\[5pt]
\end{eqnarray}であり、右側の部分は
\begin{eqnarray}
& &
\int_1^2 \{(x^2-1)-0\} dx \\[5pt]
&=&
\int_1^2 (x^2-1) dx \\[5pt]
\end{eqnarray}となります。よって、面積は
\begin{eqnarray}
& &
\int_0^1 (-x^2+1) dx +\int_1^2 (x^2-1) dx \\[5pt]
&=&
\left[ -\frac{x^3}{3}+x \right]_0^1 +\left[ \frac{x^3}{3}-x \right]_1^2 \\[5pt]
&=&
\left(\frac{2}{3}-0\right) +\left(\frac{2}{3}+\frac{2}{3}\right) \\[5pt]
&=&
2
\end{eqnarray}と求められます。
上下が入れ替わる場合は、入れ替わるタイミングで区間を切って、それぞれを積分して足すことで求められます。
おわりに
ここでは、放物線と x 軸で囲まれた部分の面積を求める方法を見てきました。基本的には、「上から下を引いて積分」することで求められます。この位置関係を正しく把握しないと、面積がマイナスになったり、合算する方法を間違ってしまうことになります。グラフをかいて、位置関係を把握してから積分するようにしましょう。