東京大学 文系 2026年度 第3問 解説
問題編
問題
$0\lt a\lt 1$ とし、関数 $f(x)$ を\[ f(x)=\dfrac{a}{8}(x-1)^2+\dfrac{2}{a}-3 \]と定める。
また、関数 $g(x)$ を次のように定める。整数 $n$ に対し、
$2n\leqq x\lt 2n+1$ のとき $g(x)=x-2n$
$2n+1\leqq x\lt 2n+2$ のとき $g(x)=-x+2n+2$とする。
(1) $x\geqq 4$ において $f(x)\gt g(x)$ を示せ。
(2) $\dfrac{1}{2}\lt a\lt \dfrac{2}{3}$ とする。座標平面上の $y=f(x)$ のグラフと $y=g(x)$ のグラフの $x\geqq 0$ の範囲における共有点の個数を求めよ。
考え方
二次関数の見た目は気になりますが、 $g(x)$ のほうはグラフはわかりやすく、何をすればいいかは把握しやすいです。
右の方にいけば $f(x)$ の値はどんどん大きくなるので、頂点の周りだけを考えればいいです。
解答編
問題
$0\lt a\lt 1$ とし、関数 $f(x)$ を\[ f(x)=\dfrac{a}{8}(x-1)^2+\dfrac{2}{a}-3 \]と定める。
また、関数 $g(x)$ を次のように定める。整数 $n$ に対し、
$2n\leqq x\lt 2n+1$ のとき $g(x)=x-2n$
$2n+1\leqq x\lt 2n+2$ のとき $g(x)=-x+2n+2$とする。
(1) $x\geqq 4$ において $f(x)\gt g(x)$ を示せ。
解答
(1)
(i) $4\leqq x\lt 5$ のとき
$g(x)=x-4$ だから、
\begin{eqnarray}
& &
f(x)-g(x) \\[5pt]
&=&
\dfrac{a}{8}(x-1)^2+\dfrac{2}{a}-3-(x-4) \\[5pt]
&=&
\dfrac{a}{8}(x-1)^2+\dfrac{2}{a}-(x-1) \\[5pt]
&=&
\dfrac{a}{8} \left\{ (x-1)^2 -\dfrac{8}{a}(x-1) +\dfrac{16}{a^2} \right\} \\[5pt]
&=&
\dfrac{a}{8} \left\{ (x-1) -\dfrac{4}{a} \right\}^2 \\[5pt]
\end{eqnarray}であり、 $x-1\lt 5-1=4$ と $\dfrac{4}{a}\gt 4$ から、 $x-1\lt\dfrac{4}{a}$ より、 $f(x)\gt g(x)$ であることがわかる。
(ii) $x\geqq 5$ のとき
$y=f(x)$ は下に凸の放物線で軸が $x=1$ なので、 $x\geqq 5$ では単調増加。なので
\begin{eqnarray}
f(x) -1
& \geqq &
f(5)-1 \\[5pt]
& = &
\dfrac{a}{8}(5-1)^2+\dfrac{2}{a}-3-1 \\[5pt]
& = &
2a+\dfrac{2}{a}-4 \\[5pt]
& = &
\dfrac{2a^2-4a+2}{a} \\[5pt]
& = &
\dfrac{2(a-1)^2}{a} \\[5pt]
& \gt &
0
\end{eqnarray}だから、 $f(x)\gt 1$ が成り立つ。
一方、 $2n\leqq x\lt 2n+1$ のとき、$g(x)=x-2n$ なので\[ g(x)\lt (2n+1)-2n=1 \]であり、 $2n+1\leqq x\lt 2n+2$ のときは、 $g(x)=-x+2n+2$ だから\[ g(x)\leqq -(2n+1)+2n+2=1 \]なので、 $g(x)\leqq 1$ が成り立つ。
よって、 $f(x)\gt g(x)$ が成り立つ。
(i)(ii)より、 $x\geqq 4$ において、 $f(x)\gt g(x)$ が成り立つ。
(終)
解答編 つづき
問題
(2) $\dfrac{1}{2}\lt a\lt \dfrac{2}{3}$ とする。座標平面上の $y=f(x)$ のグラフと $y=g(x)$ のグラフの $x\geqq 0$ の範囲における共有点の個数を求めよ。
解答
(2)
(1)より、 $x\geqq 4$ のときには2つのグラフは共有点をもたないことがわかるので、 $0\leqq x\lt 4$ の範囲を考えればよい。この範囲での $y=g(x)$ のグラフは以下のようになる。

$y=f(x)$ の頂点の $y$ 座標 $\dfrac{2}{a}-3$ は、 $a\gt\dfrac{1}{2}$ より、 $\dfrac{2}{a}-3\lt 2\cdot\dfrac{2}{1}-3=1$ であり、 $a\lt \dfrac{2}{3}$ より、 $\dfrac{2}{a}-3\gt 2\cdot\dfrac{3}{2}-3=0$ だから、\[ 0\lt\dfrac{2}{a}-3\lt 1 \]を満たす。 $g(1)=1$ だから、 $f(1)-g(1)\lt 0$ である。
また、 $y=f(x)$ は下に凸の放物線で、頂点の $x$ 座標が $1$ なので、\[ f(2)\gt f(1)\gt 0 \]であり、 $g(2)=0$ なので、 $f(2)-g(2)\gt 0$ である。
これらと、 $1\leqq x\leqq 2$ の範囲で、 $f(x)$ は狭義単調増加、 $g(x)=-x+2$ は狭義単調減少だから、 $f(x)-g(x)$ が狭義単調増加であることから、 $1\leqq x\leqq 2$ の範囲では、両端以外のところで2つのグラフは共有点を1つだけもつ。
$y=f(x)$ も $y=g(x)$ も直線 $x=1$ について対称だから、 $0\leqq x\leqq 1$ の範囲でも、両端以外のところで2つのグラフは共有点を1つだけ持つことがわかる。

以下では、 $2\leqq x\leqq 4$ での共有点について考える。
まず、 $f(3)\gt g(3)$ となる範囲を求める。 $g(3)=1$ だから
\begin{eqnarray}
f(3)-g(3)
&=&
\frac{a}{8}(3-1)^2+\frac{2}{a}-3 -1 \\[5pt]
&=&
\frac{a}{2}+\frac{2}{a}-4 \\[5pt]
&=&
\frac{a^2-8a+4}{2a} \\[5pt]
\end{eqnarray}となる。 $a\gt 0$ なので、分子が正となる範囲を考えればよい。分子が $0$ とすると、 $a=4\pm\sqrt{4^2-4}=4\pm2\sqrt{3}$ だから、 $f(3)\gt g(3)$ となる範囲は、 $a\lt 4-2\sqrt{3}$, $a\gt 4+2\sqrt{3}$ とわかる。
$1.73\lt \sqrt{3}\lt 1.74$ なので、 $3.46 \lt 2\sqrt{3} \lt 3.48$ だから、 $0.52 \lt 4-2\sqrt{3} \lt 0.54$ なので、\[ \frac{1}{2} \lt 4-2\sqrt{3} \lt \frac{2}{3} \]を満たす。
$2\leqq x\leqq 3$ の範囲では、
\begin{eqnarray}
f'(x)
&=& \frac{a}{8}(x^2-2x+1)' \\[5pt]
&=& \frac{a}{8}(2x-2) \\[5pt]
&=& \frac{a}{4}(x-1) \\[5pt]
&\lt & 1
\end{eqnarray}で $g'(x)=1$ だから、 $f(x)-g(x)$ は狭義単調減少である。
(i) $\dfrac{1}{2}\lt a\lt 4-2\sqrt{3}$ のとき
$f(3)-g(3)\gt 0$ なので、 $2\leqq x\leqq 3$ の範囲では、 $f(x)\gt g(x)$ となる。また、 $3\leqq x\leqq 4$ の範囲では $f(x)-g(x)$ は狭義単調増加だから、この範囲でも $f(x)\gt g(x)$ である。

よって、 $2\leqq x\leqq 4$ の範囲で、2つのグラフは共有点をもたない。
(ii) $a= 4-2\sqrt{3}$ のとき
$f(3)=g(3)$ である。 $2\leqq x\lt 3$ の範囲では、 $f(x)\gt g(x)$ であり、 $3\lt x\leqq 4$ の範囲でも $f(x)\gt g(x)$ である。

よって、 $2\leqq x\leqq 4$ の範囲で、2つのグラフは共有点を1つだけもつ。
(iii) $4-2\sqrt{3}\lt a\lt\dfrac{2}{3}$ のとき
$f(3)-g(3) \lt 0$ なので、 $2\leqq x\leqq 3$ の範囲では、両端以外で $f(x)=g(x)$ となることが1度だけある。また、 $3\leqq x\leqq 4$ の範囲では $f(x)-g(x)$ は狭義単調増加で $f(4)\gt 0=g(4)$ より、この範囲でも両端以外で一度だけ $f(x)=g(x)$ となる。

よって、 $2\leqq x\leqq 4$ の範囲で、2つのグラフは2つの共有点をもつ。
(i)(ii)(iii)より、
・$\dfrac{1}{2}\lt a\lt 4-2\sqrt{3}$ のときは、2個
・$a=4-2\sqrt{3}$ のときは、3個
・$4-2\sqrt{3}\lt a\lt\dfrac{2}{3}$ のときは、4個
となる。…(答)
参考
区間の両端での上下関係を調べるだけでは足りません。上の解答では単調性を調べていますが、これを調べないと、各区間での共有点は1個以下、とはいえません。極端な話でいうと、 $f(x)$ が $\sin$ のようなグラフだとうまくいきません。

「区間の左端で負、右端で正で、狭義単調増加だから、区間内で1度だけ 0 になる」とか「区間の右端で正で、狭義単調減少だから、区間内で 0 になることはない」は正しいですが、単調性がなければ一般には成り立ちません。
単調性を言わずに、 $f(x)$ の傾きが $-1$ より大きく $1$ より小さいと言ってもいいですが、何かしら言及が必要です。





