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京都大学 理系 2026年度 第3問 解説

問題編

問題

 $n$ は正の整数とする。整数係数の多項式\[ (x+1)^{2^{n+1}}-(x^2+1)^{2^n} \]のすべての係数が $2^m$ で割り切れるような正の整数 $m$ のうち、最大のものは $n+1$ であることを示せ。

 ただし、 $(x+1)^{2^{n+1}}$ は $x+1$ の $2^{n+1}$ 乗を表す。 $(x^2+1)^{2^n}$ は $x^2+1$ の $2^n$ 乗を表す。 $2^m$ は $2$ の $m$ 乗を表す。

考え方

指数のところにまた指数があり、少し考えづらいです。すぐに指数は大きくなるので、 $n=1,2$ くらいでしか実験できません。

実験してもなかなか思いつきにくいかもしれませんが、式をいろいろいじってみるしかないです。ここでは2通りの方法で解いてみます。


解答編

問題

 $n$ は正の整数とする。整数係数の多項式\[ (x+1)^{2^{n+1}}-(x^2+1)^{2^n} \]のすべての係数が $2^m$ で割り切れるような正の整数 $m$ のうち、最大のものは $n+1$ であることを示せ。

 ただし、 $(x+1)^{2^{n+1}}$ は $x+1$ の $2^{n+1}$ 乗を表す。 $(x^2+1)^{2^n}$ は $x^2+1$ の $2^n$ 乗を表す。 $2^m$ は $2$ の $m$ 乗を表す。

解答

$(x+1)^{2^{n+1}}$ の $x$ の係数は\[ {}_{2^{n+1}}\mathrm{C}_1=2^{n+1} \]であり、 $(x^2+1)^{2^n}$ は偶数乗の項しかないので、\[ (x+1)^{2^{n+1}}-(x^2+1)^{2^n} \]の $x$ の係数は、 $2^{n+1}$ である。よって、 $m\geqq n+2$ のときは、 $2^m$ で割り切れない係数が存在する。

以下では、係数が $2^{n+1}$ で割り切れることを数学的帰納法を使って示す。

(i) $n=1$ のとき

\begin{eqnarray} & & (x+1)^{2^2}-(x^2+1)^{2^1} \\[5pt] &=& (x+1)^4-(x^2+1)^2 \\[5pt] &=& (x^4+4x^3+6x^2+4x+1)-(x^4+2x^2+1) \\[5pt] &=& 4x^3+4x^2+4x \\[5pt] &=& 2^{1+1} (x^3+x^2+x) \\[5pt] \end{eqnarray}なので、 $2^{n+1}$ で割り切れる。

(ii) $n=k$ のとき

\[ (x+1)^{2^{k+1}}-(x^2+1)^{2^k} \]の係数がすべて $2^{k+1}$ で割り切れるとすると、 $n=k+1$ のとき
\begin{eqnarray} & & (x+1)^{2^{(k+1)+1}}-(x^2+1)^{2^{k+1}} \\[5pt] &=& (x+1)^{2^{k+1} \cdot 2}-(x^2+1)^{2^k \cdot 2} \\[5pt] &=& \{ (x+1)^{2^{k+1}} \}^2 -\{ (x^2+1)^{2^k} \} ^2 \\[5pt] &=& \{ (x+1)^{2^{k+1}} -(x^2+1)^{2^k} \} \\ & & \times \{ (x+1)^{2^{k+1}} +(x^2+1)^{2^k} \} \\[5pt] &=& \{ (x+1)^{2^{k+1}} -(x^2+1)^{2^k} \} \\ & & \times \{ (x+1)^{2^{k+1}} -(x^2+1)^{2^k} +2(x^2+1)^{2^k} \} \\[5pt] \end{eqnarray}となる。仮定より、最後の式の一つ目の波かっこ内の係数はすべて $2^{k+1}$ で割り切れる。また、2つ目の波かっこ内は、係数がすべて $2^{k+1}$ で割り切れるものに偶数係数の式を足しているので、波かっこ内全体でも偶数係数である。よって、最後の式の係数は $2^{k+1}\cdot 2=2^{k+2}$ で割り切れるから、$n=k+1$ の時も成り立つことがわかる。

(i)(ii)より、数学的帰納法から、係数が $2^{n+1}$ で割り切れることが分かったので、すべての係数が $2^m$ で割り切れるような正の整数 $m$ のうち、最大のものは $n+1$ であることが示せた。
(終)

解答編 つづき

別解

(係数が $2^{n+1}$ で割り切れることを示す部分)
\begin{eqnarray} & & (x+1)^{2^{n+1}}-(x^2+1)^{2^n} \\[5pt] &=& (x+1)^{2\cdot 2^n}-(x^2+1)^{2^n} \\[5pt] &=& (x^2+2x+1)^{2^n}-(x^2+1)^{2^n} \\[5pt] &=& \{(x^2+1)+2x\}^{2^n}-(x^2+1)^{2^n} \\[5pt] &=& \sum_{k=0}^{2^n} {}_{2^n}\mathrm{C}_k (x^2+1)^{2^n-k}(2x)^k-(x^2+1)^{2^n} \\[5pt] &=& \sum_{k=1}^{2^n} {}_{2^n}\mathrm{C}_k (x^2+1)^{2^n-k}\cdot 2^k x^k \\[5pt] &=& \sum_{k=1}^{2^n} 2^k {}_{2^n}\mathrm{C}_k (x^2+1)^{2^n-k}x^k \\[5pt] \end{eqnarray}となる。以下、 $1\leqq k\leqq 2^n$ における $2^k {}_{2^n}\mathrm{C}_k$ について考える。ここで、自然数 $N$ に対し、 $2^m$ で割り切れる最大の $m$ を $v(N)$ で表す。

まず、 $k=1$ のときは $2^k {}_{2^n}\mathrm{C}_k=2^{n+1}$ である。

次に、 $k\geqq 2$ のとき、
\begin{eqnarray} {}_{2^n}\mathrm{C}_k &=& \frac{2^n(2^n-1)(2^n-2)\cdots(2^n-k+1)}{k\cdot (k-1)\cdots\cdot 2\cdot 1} \end{eqnarray}である。ここで、 $1\leqq a\leqq k-1$ のとき、分母の右から $a$ 番目の数は $a$ で、分子の左から $a+1$ 番目の数は $2^n-a$ である。 $i\leqq n$ のとき、 $a$ が $2^i$ で割り切れることと $2^n-a$ が $2^i$ で割り切れることは同値なので、\[ v(a)=v(2^n-a) \]が成り立つ。これが $a=1,2,\cdots,k-1$ について成り立つので、\[ v((k-1)!)=v((2^n-1)(2^n-2)\cdots(2^n-k+1)) \]が成り立つ。なので、結局、${}_{2^n}\mathrm{C}_k$ は、「 $2^n\times$(奇数)」を「$k\times$ (奇数)」で割る形で書けるので\[ v({}_{2^n}\mathrm{C}_k)=v(2^n)-v(k)=n-v(k) \]が成り立つ。

$k\geqq 1$ のとき、 $k=2^{v(k)} \times$ (奇数) と書けるから、\[ k\geqq 2^{v(k)} \geqq v(k)+1 \]なので
\begin{eqnarray} v(2^k {}_{2^n}\mathrm{C}_k) &=& k+n-v(k) \\[5pt] &\geqq& n+1 \\[5pt] \end{eqnarray}だから、 $2^k {}_{2^n}\mathrm{C}_k$ は $2^{n+1}$ で割り切れる。よって\[ \sum_{k=1}^{2^n} 2^k {}_{2^n}\mathrm{C}_k (x^2+1)^{2^n-k}x^k \]の各項はすべて $2^{n+1}$ で割り切れるので、 \[ (x+1)^{2^{n+1}}-(x^2+1)^{2^n} \]の係数も $2^{n+1}$ で割り切れる。 (終)

解説

別解の解き方は、式で書くと大変なことをしているように見えますが、あまり大したことはやっていません。たとえば
\begin{eqnarray} {}_{32}\mathrm{C}_6 &=& \frac{32\cdot31\cdot30\cdot29\cdot28\cdot27}{6\cdot 5\cdot4\cdot3\cdot 2\cdot 1} \end{eqnarray}という式で見ると、分母の $1,2,3,4,5$ と $31,30,29,28,27$ とを対応させると、2で割り切れる回数は同じです。つまり、分母・分子で2を約分していくと、2番目以降には分母にも分子にも2が残らないということです。

なので、 $2^n$ と $k$ がどれだけ2で割れるかを考えればよく、そのあとに掛ける $2^k$ も合わせると、必ず $k$ より $2^k$ のほうが $2$ で割れる回数が多くなることを使って、 $n+1$ 回以上割れる、という話を書いています。

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